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ネットの話題

サイト不具合で「神奈川県町田市」 ネタにしては…管理人の反省の弁

「町田市が神奈川県になってないのを確認、再発防止に努めます」

JR町田駅前に伸びるメインストリート「原町田大通り」(2016年2月撮影)
JR町田駅前に伸びるメインストリート「原町田大通り」(2016年2月撮影)

目次

「【お詫び】東京都町田市が『神奈川県』となる不具合について」。町田市の魅力を発信する情報サイトが10月4日に発表した、こんなメッセージが話題となっています。自虐と愛憎が入り交じった古くからの定番ネタ「神奈川県町田市」が、思わぬ形で現実となったトラブル。町田を愛しすぎるサイト管理人を取材すると、ミスを深く反省しながらも、それでもめげない町田愛を語ってくれました。(北林慎也)

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地元住民の重要な情報源

東京都町田市に特化した情報サイト「変わりゆく町田の街並み」(https://kawariyuku-machida.com/)。
2007年1月に「町田の道路・建物・街!!」としてスタートし、同年10月、現在のサイト名に変わりました。

町田市と周辺地域の商業施設の開店・閉店情報やイベント情報を、コンスタントに取材・発信しています。
特に出店情報などでは、写真付きで店舗へのアクセス方法を紹介。さらに親切な地図表示も用意され、地元住民にとって買い物や食べ歩きに重宝する情報源となっています。

サイトの運営は開設以来ずっと、町田市出身・在住の管理人「machiro」さんが続けています。

町田市の情報に特化したサイト「変わりゆく町田の街並み」
町田市の情報に特化したサイト「変わりゆく町田の街並み」 出典:https://kawariyuku-machida.com/

地図サービス移行でトラブル

そして、話題となった不具合は10月4日未明、突如として起きました。

それまでサイトが使用していた地図サービスが10月末で終了するのを前に、別の地図サービスの利用を決め、4日にサービス移行を実施しました。
machiroさんによると、サイト自体の利用者も減少傾向にあり、これを機に地図表示の廃止も検討しましたが、「地図表示を廃止しないでほしい」というユーザーの強い要望を受け、地図表示機能の存続と代替サービスへの移行に踏み切ったそうです。

ところが、移行の結果、まさかの不具合が起きてしまいます。

もともと「東京都町田市」となっていた店舗情報の所在地住所の表示が、一斉に置き換わって「神奈川県町田市」と表示されてしまったのです。
一部プログラムが悪さをしたバグとみられ、この日のうちに表示を修正。現在は、新しい地図とともに「東京都町田市」という、本来の正しい住所が表示されています。

昔ながらの町田仲見世商店街(2018年4月撮影)
昔ながらの町田仲見世商店街(2018年4月撮影) 出典: 朝日新聞

「再発防止に努めてまいります」

そしてmachiroさんはすぐに、一連の不具合の経緯と対応についての報告をサイトにアップするとともに、SNSにも投稿しました。
この「お詫び」と銘打った文章を、machiroさんはこんな決意で締めています。

当サイトでは引き続き、町田市が神奈川県になっていないことを確認するとともに、再発防止に努めてまいります。
「変わりゆく町田の街並み」に掲載された「お詫び」メッセージ
「変わりゆく町田の街並み」に掲載された「お詫び」メッセージ 出典:https://kawariyuku-machida.com/

SNSで反響「ネタかと思った」

この、まるでフェイクニュースかのような事象と報告に、サイト利用者のみならず、ほかの多くのSNSユーザーからも大きな反響がありました。
ツイッターでは4日深夜現在、それぞれ1万ほどのリツイートと「いいね」が付いています。

反響の中には、「誰も気づかない」「違和感なし」「何も間違っていない」「東京都になるほうが不具合」といったツッコミの声に加え、あまりにも「ネタ」として出来すぎた報告内容に、「昔からあるテッパンネタかと思った」など、投稿自体をジョークだと勘違いする反応もありました。

都市公園の鶴間公園と一体整備された「南町田グランベリーパーク」(2019年11月撮影)
都市公園の鶴間公園と一体整備された「南町田グランベリーパーク」(2019年11月撮影) 出典: 朝日新聞

端境ゆえの流転の歴史

この「神奈川県町田市」という古くて新しいネタの背景には、地理的な要因と歴史的な経緯が深く横たわっています。

町田市は、島嶼部を除く東京都の南端に位置し、神奈川県の政令指定市である横浜・川崎・相模原の3市と隣接。幾度も自治体再編を繰り返す中で、明治時代には神奈川県の管内だった時期もあります。
さらに平成以降も、東京都と神奈川県の間を流れる境川の改修に伴い、町田市と相模原市の境界が何度か変更され、そのたびに新たに、神奈川県民から東京都民となる世帯があります。

そのため、都内の治安を預かる警視庁と神奈川県警との広域連携や、行政サービスの相互乗り入れが続くほか、周辺自治体との広域合併構想の浮上と消滅が繰り返されてきました。

「町田を知るきっかけに」

都県の端境に位置するがゆえに翻弄され続け、その姿形も変貌し続ける町田市。
そんな町田を愛するmachiroさんが手弁当で街の情報サイトを開設した理由もまた、そこにありました。

(2007年のサイト開設のきっかけは)近所の団地で1960年代に決定された道路計画が、約半世紀の時を経て開通に向けて動き出したことです。
道路の予定地はもともと、長らく駐車場や草むらだった場所で、子供だった頃に遊んだりしたことのある大変思い入れのある場所でした。
そうした場所の変化していく姿を記録していきたいと思いました。

そんな中で起きてしまった、愛する町田市を「神奈川県」と誤記してしまうトラブル。
machiroさんは「地域情報サイトとして本来あってはならないことですので、今後こうしたことがないよう再発防止に努めていく所存です」と神妙ながらも、反響の大きさに驚きつつ、これを前向きに捉えています。

市内の路線バスも大半が「神奈川中央交通」ですし、神奈川県を通らないと町田駅から都心には出られませんので、ネタにされることは致し方ないと思っています。
逆にネタであっても、町田を少しでも知ってもらうきっかけになれば、個人的には良いのかなと思っています。
周辺で開発が進む、町田市小山町の緑地「片所谷戸」(2008年7月撮影)
周辺で開発が進む、町田市小山町の緑地「片所谷戸」(2008年7月撮影) 出典: 朝日新聞

魅力は「便利なのに豊かな自然」

揶揄の対象になりがちな微妙な立ち位置ながらも、それを含めて地元住民に愛される町田市。
あらためて最後に、machiroさんにその魅力を聞きました。

町田の良い点は、町田駅周辺に行けば都心に出なくても一通りのものが揃い、少し駅を離れれば、自然豊かな公園など自然にも触れられるところです。
また、新宿や横浜などにも電車で30分ほどで行けるほか、新横浜に出れば新幹線にも乗れますし、箱根や江の島といった観光地にも電車1本で行けて、アクセス面でもお薦めです。

情報サイト「変わりゆく町田の街並み」(https://kawariyuku-machida.com/)では、「慢性的な運営資金不足により、厳しい運営状況が続いている」ため、運営の補助とすべく寄付金を募っています。

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