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ネットの話題

「食べないときは食べません」子育ての呪縛解く雑誌企画が集めた共感

クスリと笑え、のち、救われてホロリ

育児の壁にぶつかった親御さんたちに好評の雑誌企画です
育児の壁にぶつかった親御さんたちに好評の雑誌企画です 出典: kodomoe(白泉社)提供

目次

わが子が、ちゃんとご飯を食べてくれない……。多くの親御さんが直面し、途方に暮れてしまいがちな課題です。悩める子育て世代の間で、話題を呼んだ雑誌企画があります。「ダメなときは、何をしたってダメ」。そんなメッセージを打ち出し、肩の力を抜くよう促す内容がツイッター上で広く知られ、「救われた」との声があふれているのです。逆転の発想を生み出した編集担当者に、思いを聞きました。(withnews編集部・神戸郁人)

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子どもの「食」ユーモラスに解説

今年9月、「世界一役に立たない相談室」と題された、親子のイラスト付き文章の話題がツイッター上を駆け巡りました。このうち「子どものごはん乗り切りQ&A」というコーナーは、次のような内容です。

 

Q.小食で全然食べてくれません……。


A.お腹が空いていない時間に食事をしているのかもしれません。

たくさん運動させて規則正しい生活を。おやつの時間が食事の時間と近くないか、食べさせすぎていないかチェックを。お腹がすけば子どもは自然と食べません!

 

出典: kodomoe(白泉社)提供

 

Q.偏食がひどく同じメニューが続きます。


A.好きなものに違う食材を足してみて。
同じ食材でも調理法を変えてみたり、同じ味でも入れる食材を足したりと工夫してみましょう。たまには違う味も食べません!

 

出典: kodomoe(白泉社)提供

「食べないときはどうしたって食べません」「何か食べてれば大丈夫!」。子どもの食を巡る様々なお悩みに、実践的なアドバイスをしつつも、そんな一言で締める。「ダメなものはダメなのだ」と、良い意味で脱力し、吹っ切れてしまいそうになります。

「ほこり」だって立派なインテリアに

更に、「小さい子がいてもOK! 映える部屋づくりテク5」と題されたイラストも話題に。おもちゃで散らかり、洗濯物が出しっぱなしのまま。雑然とした部屋で、笑顔で壁に落書きをする子どもと、ゆっくり本を読む母親の姿が描かれています。

そして、過ごしやすい部屋をつくる上で大切な、五つのポイントについて紹介。「ほこり 目立たないように飾るのがアクセント」「大量のおもちゃ 大胆に散らかすとGood」。一見して、思わず面食らうような、何とも味のあるフレーズが並んでいるのです。

「声出して笑った」「育児の真実を言い当ててくれている」。ツイッター上には、現役の子育て世代とみられる人々の、好意的なコメントがあふれました。

出典: kodomoe(白泉社)提供

一人目の子育てに悩む親向けに企画

元となったのは、未就学の子どもと暮らす母親向けに、子育てにまつわる様々なコンテンツを取り扱う雑誌「kodomoe(コドモエ)」(白泉社)の企画です。9月7日に発売された10月号に、巻頭特集「#思ってたんとちがう! 本当の育児書」の一つとして収められました。

近藤多喜子編集長によると、企画の背景にあったのは「とりわけ一人目の子どもの育て方に悩む人々を応援したい」との思いだといいます。「これまで色々な企画を打ち出してきました。読者の方々の感想を読み、初めての育児で壁にぶつかる人が多いと気付いたんです」

「真面目な親御さんほど、『私のやり方は正しいのか』と考え、育児本などを熱心に参照されます。そのことが結果的に、自分自身へのプレッシャーを強めてしまう場合も少なくありません。『もっと肩の力を抜いて良いんだよ』というメッセージを届けたいと感じました」

注目したのが、SNS上の情報でした。実際に子育てを経験し、理想と現実のギャップに悩んだり、それを楽しんだりする親世代のリアルな声があふれているからです。

その中に漫画家・かねもとさん(@kanemotonomukuu)が昨年3月、「#世界一役に立たない育児書」のハッシュタグつきで投稿したツイートがありました。どれだけ親が手を尽くしても、子どもが食事をしないときはある。そうユーモラスに伝える2枚組のイラストです。

「企画のコンセプトにぴったり合う」。近藤さんたちはハッシュタグの言葉を企画名に生かし、雑誌向けにイラストを描き下ろしてもらうことを、かねもとさんに依頼。更に「映える部屋づくりテク5」のコーナー用として、オリジナル作品も提供してもらいました。

出典: kodomoe(白泉社)提供

「正しい育児」の呪縛、ほどくきっかけに

実は近藤さん自身、最初の子育てに戸惑いを覚えた一人。うまく授乳ができないことなどに悩み、ストレスから睡眠不足になったり、慢性的なじんましんに苦しんだり。だからこそ「今まさに課題に直面するママに、支えとなる言葉を贈りたい」と思ってきたそうです。

今回の企画に対しては、「雑誌がツイッターに追いついた」などの感想が寄せられました。「『思い悩んでいるのは自分だけじゃない』と感じてくれた方が、たくさんいた」。近藤さんは振り返ります。

そして、育児中の親御さんたちに対しては、次のようにエールを送りました。

「子どもと向き合っていると、自らの中にある『親の理想像』と闘ってしまいがちです。『世界一役に立たない相談室』がこれほど広く受け入れられたのは、『正しい親であらねばならない』というイメージの存在感が、今も昔も変わらず大きいからではないでしょうか」

「『kodomoe』を読むことで、そのような呪縛を少しでもほどいて頂けたら、うれしく思います」

【関連リンク】「kodomoe」の公式ウェブサイト

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