twitter facebook hatebu line LINE! ネットの話題 2020/09/18 みんなの感想 ブラックモンブラン、東工大出身5代目がこだわった「当たり棒」AI化 竹下製菓の5代目、竹下真由さん。ロボコンにあこがれて東工大に進み、今も子どもの頃の「ワクワク」を大切にしています 出典: 朝日新聞 水野 梓 佐賀 九州 ご当地グルメ スイーツ 目次 この雪山にチョコレートをかけて食べたら…… 「当たり棒」を画像識別するAI機器導入 「地球は青かった」と言ってみたい 九州でおなじみのアイス「ブラックモンブラン」。製造販売している竹下製菓(佐賀県小城市)の5代目・竹下真由さんのアイスへの熱い思いは、パッケージの雪山モンブランを自ら撮影にいったり、「当たり棒」が正しくささっているか見極める最新のAI機器を導入したりするほどのものです。そんな竹下さんの夢はいつか宇宙旅行をすること。子どもの頃のワクワクを忘れない竹下さんに話を聞きました。 【PR】指点字と手話で研究者をサポート 学術通訳の「やりがい」とは? 竹下製菓の5代目・竹下真由さん 出典: 朝日新聞 【竹下真由(たけした・まゆ)さん プロフィール】1981年、佐賀県生まれ。東京工業大大学院・社会理工学研究科を卒業後、2007年にアクセンチュアへ入社。コンサルとして働いた後、結婚を機に2011年に家業の竹下製菓(佐賀県小城市)に入社。経営企画室で製造ラインの改善などに取り組む。商品開発室長を経て、2016年、34歳のときに代表取締役社長(5代目)に就任。娘2人、息子1人のママでもある。 ロボコンにあこがれ東工大へ進学 ――竹下さんは東工大の大学院を卒業されました。きっかけは「ロボコン」だったそうですね。 小学校2年生の時にNHKでやっていたロボコンを見て、「自分もやりたい」と東工大に行くことを決めました。当時は東工大しか出ていないIDCロボコンがあったんです。 機械いじりが好きだった父親の影響もあって、東工大へ進学しました。小さな頃から、いつか自分も父や祖父とお菓子をつくりたいなと思っていましたが、工場の中は機械だらけだし、学んでおいて損はないかなと思いました(笑) 父は祖父から「経営を学びなさい」と言われて工学部に行くのを諦めたそうなんです。なので私のことは応援してくれていたと思います。 九州のお土産として人気のブラックモンブランのクランチチョコバー 出典: 竹下製菓 ――大学卒業後にコンサル会社に入り、そこで出会った方と結婚を決めて、家業に戻られました。 家業の外で働くのは、父も「最大5年」と思っていたし、私もそう決めていました。先輩の「コンサルなら倍の経験ができるよ」という言葉も響いて、コンサルへ就職しました。 経営の「右腕」を連れて帰った方がいい、東京で結婚相手を見つけなきゃとも考えていました。大学時代からずっと「私、佐賀に帰って家業を継ぐから、ビジネスに興味のある人をぜひ紹介して」みたいな感じでオープンにしていました(笑) この雪山にチョコレートをかけて食べたら…… ――九州ではおなじみのアイス「ブラックモンブラン」ですが、竹下さんの祖父が考案されたアイスなんですね。 祖父がブラックモンブランを作ったのは、ヨーロッパを旅して、この雪山を見たとき、「この白い雪山にチョコレートをかけて食べたらさぞおいしかろう」と思ったことがきっかけです。 ――雪山からアイスへ、かなり発想が豊かですよね。 我が祖父ながら「すごいことを思いついたな」と思います(笑)。私自身も祖父の影響をかなり受けていて、いろんなものを見たり食べてみたり、インプットを大切にしています。 2019年にブラックモンブランは発売50周年を迎えましたが、そのときにパッケージをリニューアルしました。 そのパッケージに使った写真は、私が2年前にフランスのシャモニーの街に行って撮ってきたものです。 自分の目で見た「モンブラン」で入った気合い ――カメラマンにお願いしようと思わず、自分で撮ったのはなぜでしょう? 一番は「ネタになるかな」と思ったからです(笑) それと、一生のうちに絶対行きたい、自分の目で見たいとも思っていました。 実は、前のパッケージで使っていた写真も、街中のスナップ写真だったんです。 今ってデジタルカメラもかなり質がいいじゃないですか。だったら自分の写真でも使えるんじゃないか?と考えて、社内で相談して挑戦しました。版権が自分にあって自由に使えることももちろん大事なことです。 「次の50年」へ向けて、自分への気合いを入れることにもつながりました。 ブラックモンブラン 出典: 竹下製菓 ――実際にモンブランを見てどう思いましたか? 「ついに来たか~」「おじいちゃんも50年前にここに来ていたのか~」と感慨深くなりました。 ただ、氷河が年々短くなっているそうなんです。50数年前は、もっと手前まで長く伸びていたそうです。 「ブラックモンブランを残していかなければ」という思いと、風景さえ変わっているなかで、変わっていかなきゃいけない部分もあるんだなと突きつけられた気がしました。 「当たり棒」を画像識別するAI機器導入 ――アイスへの熱い思いといえば、竹下さんも「当たり棒」への熱い思いがありますね。アイスの棒が逆になっていて「はずれ」が見えてしまわないようにと、画像識別するAI機器を導入したとうかがいました。 やっぱりアイスを食べ終わる前に「はずれ」が分かってしまうのは悲しいですよね。これまでも人の目での検品はしていましたが、アイスの棒がうまくささっていないなど、万が一のことがあれば食品のクレームにもつながります。 それが自動化できそうだったので取り入れました。子どもの「当たり」の夢も守りつつ、食の安心・安全にもつながります。 「地球は青かった」と言ってみたい ――竹下さんが今後やりたいことはどんなことですか? 個人的なことをいえば、死ぬまでに宇宙へ行ってみたいです。「地球は青かった」と言ってみたい。そのために、ちゃんと働いて稼がなきゃいけないなということと、健康な身体を維持しなきゃいけないなと思います(笑) 今は宇宙旅行は高いので、自分が年齢を重ねつつも体力のあるうちに、値段が下がって……というのとうまくクロスすればいいなと。 ――ブラックモンブランと地球の2ショットを撮るというプロジェクトも計画しているそうですね。 出典:竹下製菓 ブラックモンブランをスペースバルーンにのせて宇宙に向けて飛ばし、地球と2ショットを撮るという挑戦のプロジェクト。新型コロナウイルスの影響で現在はストップしていますが、来春に再始動予定とのことです。ホームページでは、「《おいしい、楽しい商品を作って社会に奉仕する》 創業以来変わらない想いは アルプスのモンブランを越え、ついに宇宙へ」「ブラックモンブランを宇宙に向けて飛ばすという困難に、楽しみながらチャレンジする」「その姿を通して、新しいワクワクを世の中に届けたい」とプロジェクトへの思いがつづられています。 竹下製菓ホームページ ――非常にワクワクするプロジェクトですね。私も2ショット写真が見てみたいです。 「いつか宇宙に行ってみたい!」、その想いを実現させるためにも、この1歩はなんとしても歩みを進めたいと思っています。 そして子どもたちに、宇宙も身近に感じてもらえる、興味を持ってもらえるきっかけとなると嬉しいです。 竹下さん後継ぎインタビューはこちらから【会議で発言しないと「価値ゼロ」ブラックモンブランの社長が学んだこと】 九州でおなじみの「ブラックモンブラン」5代目社長の熱い思い 1/7枚 withnews