お金と仕事
10万円の給付金で何買った?大切な「同居相手」のため…部屋を大改造
「8年一緒に暮らすアースも私も住みやすく」
新型コロナウイルスの拡大感染を受けて生まれた「特別定額給付金」。1人あたり一律10万円の使い道からは、現代に生きるそれぞれの価値観が浮かび上がってきます。外出自粛、オンライン化など、新しい生活に向き合わなくてはいけなくなった中、世間の人たちは一体どんなものに給付金を使うのでしょうか? 都内に住む30代の女性は、特別給付金で部屋の断捨離と模様替えを決意。その理由は、8年一緒に暮らす「同居相手」のためでした。(ライター・安倍季実子)
大手健康食品会社のコールセンターで勤めるAさんは、愛犬のアースと暮らしはじめて8年目になる。
「実家で犬を飼っていたこともあって、昔から犬が大好きなんです。東京に来てからは飼っていなかったんですが、ある日、用事のついでにたまたま入ったペットショップでアースと出会いました。完全に一目ぼれです。出会った翌日に、家族に迎え入れました」
運命的な出会いを交わしたアースは、ミニチュアダックスフントの男の子。あまりほえないおとなしい性格だけど、少し気分屋なところもあって、散歩をしていても中断して帰ってしまうこともあるマイペースな犬なのだそう。
「ミニチュアダックスフントは、胴が長くて足が短い体形なので、椎間板(ついかんばん)ヘルニアになりやすいんです。腰を痛めないように、食生活や体重管理に気を付けていましたし、部屋の中では、床にマットを敷いてすべりにくくしたり、あまり段差を作らないように気を使っていたりしました。寝るときはベッドにスロープを設置して、上りやすくする工夫もしていました。でも、今年のGW中に、私が見ていない所で後ろ足の膝(しつ)関節を脱臼してしまったんです。実は、小型犬は膝蓋骨脱臼になりやすいんです……」
膝蓋骨脱臼
「あまりほえない子なのに、このときはキャンキャン吠えて……。本当に痛そうで、見ているのがつらかったですね。そして、かかりつけの動物病院に連れて行ったら、膝蓋骨脱臼のグレード3だと言われました」
「いきなりグレード3と言われて、本当に驚きました。膝蓋骨脱臼は完治しない病気ということもあって、これ以上悪化させないように過ごさせるためには、どうしたらいいのかと悩みました。でも、幸いなことに手術をするほどではなく、今まで通り生活できると言われて安心しました。とはいえ、油断は禁物で、いつ膝関節が外れるかわからない状態なので、段差のある場所やすべりやすい場所は避けるようにと言われました」
これをきっかけに、Aさんのお部屋改造計画がスタートした。
「膝関節が外れてしまう危険性が一番高いベッドから手をつけました。それまで使っていたベッドは、下に収納ケースが置けるように高さが調節できるタイプだったので、ひとまず高さを一番低い設定にしてみました。でも、これが思っていたよりも高さがあって、前と変わらずスロープを使っているアースを見て、気持ちがモヤモヤしました。そして、都内に住む妹も同じように室内犬を飼っていて、すでにローベッドを使っていたので、私も思い切ってベッドを変えようと決めました」
「その頃、模様替えの参考にInstagramを見るのが日課になっていたのですが、すのこベッドの投稿を発見して、『コレだ!』と思いました。ベッドのフレームがなければスロープが完全にいらなくなりますし、マットレス次第で高さも出ないように調整できます。それに、掃除もしやすいとメリットが多いことに気づいて、すぐにネットで注文しました」
「すのこベッドといえば木製のものしかないと思うかもしれませんが、実はプラスチック製もあるんです。プラスチック製は汚れにくく、軽くて持ち運びも楽ですし、ちょっと湿気のある所でもカビが生える心配がないので、こちらを選びました。実際に替えてみると、スロープを使わずに簡単にベッドに乗れるようになったので、アースもうれしそうです」
ベッドの次は、収納グッズの買い替えに着手した。
「すのこベッドに変えると、それまでベッド下に収納していた荷物の行き場がなくなってしまいます。本当ならシェルフやキャビネットが欲しいところですが、部屋の中に段差を作ると、アースの遊び場になって、また膝(ひざ)が外れてしまうかもしれません。なので、クローゼットの中を断捨離して、その中に荷物をしまい込む作戦を考えました。具体的には、それまで使っていた収納ケースを捨てて、自立する収納バッグやつり下げタイプの収納ラックなどのあまり場所をとらないアイテムを買いました」
収納を見直すことで、Aさんにとっての理想の部屋像が見えてきたそう。
「すのこベッドに変えたり、クローゼットの中をきれいにしたりすることで、部屋全体のコーディネートも気になりはじめました。Instagramのお部屋コーディネートを見ていて、白を基調としたナチュラルテイストが好きだと気づいたので、ベッドカバーもそれに合った色に変えました。あとは、家具の配置換えもして雰囲気をガラッと変えたいですね。それに、今回のコロナの件で、インスタント食料や洗剤のストックが増えてしまったので、このあたりの収納もキレイにしたいです」
「ホテルのような清潔感のある落ち着いた雰囲気で、小物がごちゃごちゃしていない、整理整頓された部屋が理想です。でも、私は昔から物持ちがいい方なので、まだクローゼットの中が完全には整っていません……。もっと断捨離に力を入れつつ、Instagramで収納方法や部屋のコーディネートを勉強して、アースも私も住みやすい部屋にするのが目標です」
核家族化や住宅環境の変化により、ペットの飼育環境も大きく変わり、今では室内飼育がスタンダードになってきた。
ペットフード協会の調査によると、2019年10月現在、全国の犬の飼育頭数は約879万7千頭、猫の飼育頭数は約977万8千頭と推計されている。最近は猫の飼育頭数の増加が目立ち、2017年に初めて犬の飼育数を上回ってからは、毎年、その差は開いている。
犬の飼育場所としては、「屋外のみ」は年々減っており、2019年10月現在、8.3%にとどまる。一方で、増えているのが「散歩・外出時以外は室内」の57.4%で、「室内のみ」と合わせると、86.8%にのぼる。
さらにペット自体の寿命も延びており、15歳をこえることも珍しくない。それに伴って、高齢化による病気やケガも増えているのが実情だ。
アイペット損害保険会社が行ったペットの支出に関する調査では、昨年度のペット関連の年間支出は、犬飼育者の場合は24%が「増えた」と答えており、「5万円以上~10万円未満」が37.7%と最多となっている。
何に対する費用が増えたのか、その内訳は「病気やケガの診療費」が54.5%とトップで、続いて「ワクチン・健康診断などの予防費用」が13.4%で2位となっている。
また、「ペットが高齢になった際に何に一番お金がかかると思いますか?」という質問には、85%以上が「病気やケガの診療費」と回答している。
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