ネットの話題
ビームスTシャツ「女性蔑視」批判で販売中止 アートとの線引きは?
「モチーフとされた事象へのアンチテーゼ、説明不足だった」
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「モチーフとされた事象へのアンチテーゼ、説明不足だった」
大手セレクトショップのビームス(BEAMS)が発売したTシャツに批判が集まり、8月31日に販売を中止したことが分かりました。ピンクチラシをモチーフとしたり性暴力を連想させたりする絵柄に対して、「女性蔑視だ」といった声が上がっていました。(北林慎也)
ビームスは、アパレルブランド「LABRAT/ラブラット」によるTシャツを2020年4月中旬から販売していました。
発売当時、ビームスは以下のような紹介文でSNS投稿していました。
その絵柄は2種類。
女性に拳銃を突きつけて口を押さえた、性暴力を連想させるような絵柄と、下着が見える体育座りの制服姿の女子生徒を思わせるイラストに「おまたせ~エ」「ギャル募集中」「(電話)5474-6060」といった文字が組み合わされた、ピンクチラシを連想する絵柄です。
前者についてはすでに完売しており、後者のピンクチラシ風の絵柄のみ、販売を続けていました。
この絵柄のアイテム名は「Just call me」で、定価8800円が50%OFFの4400円(税込み)で売られていました。
ビームスのウェブサイトでは、この「Just call me」について、こう紹介していました。
また、このブランド「LABRAT/ラブラット」のキャッチコピーを、こう紹介していました。
ビームスのサイト上の説明によると、このブランドとのコラボ企画としてデザインを担当したFACEさんのプロフィールは、次の通りです。
ビームスのウェブサイトでは、店舗スタッフらによる試着イメージ写真も掲載。次のようなコメントが添えられていました。
これに対してSNSでは、公式アカウントの商品紹介投稿や消費者による非難の投稿に、多くの批判の声が寄せられました。
ただ、その一方で、
といった擁護の声もありました。
これらの声を受けてwithnewsは8月31日、ビームスに見解と対応を聞きました。
ビームスでは取材を受けてすぐに販売の中止を決定。同日中に公式サイトからこの商品紹介ページを削除し、通信販売や店舗での販売を打ち切りました。
ビームス広報部は今回の商品企画について、このようにコメントしています。
また、「少女買春や性的搾取を肯定している」といった批判に対しては、こう釈明しています。
ビームスでは今回の事態を受けて、「商品のコンセプトを丁寧にお客様に伝えられなかった」として、販売の即時中止を決めました。
現在は商品紹介ページも削除されています。
一方で、ビームスの広報担当者は取材に対して、正直に苦渋を吐露しました。
「ラブラットさんはもともと、アートな表現を得意とするブランドです。今回の件を受けて、これまでのアーティスティックな作品までも否定され、ラブラットさんに迷惑がかかるような事態にならないか、心配でもあります」とのことでした。
芸術や表現の自由は尊重されるべきで、その権利は侵されるべきではありません。
ただ、美術館という仕切られた空間で表現されたり、見る側がアートだという前提で接するのが一般的な美術作品であるのに対し、アパレル商品は見る側のシチュエーションを選べません。
様々な反応を引き起こす可能性がある絵柄がいきなり目に飛び込んできた時、それを不快に感じる人への配慮も考えなければいけません。
コンビニエンスストアでの成人向け雑誌の販売規制など、表現の自由と商品流通の自由との折り合いをどう付けていくか?
引き続き辛抱強く、社会の側で議論を積み上げていく必要がありそうです。
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