twitter facebook hatebu line LINE! 連載 2020/08/27 みんなの感想 #54 コミチ漫画コラボ 「かぶとさん またね」虫嫌いだった娘が…ひと夏の別れ、マンガに 「チャレンジは人を成長させるんだなぁ」 ひとりさんの漫画「ぽんすけ成長日記 カブトムシとの夏」より 出典: コミチ 野口みな子 漫画 子育て 夏休み #コミチ 目次 苦手だった虫…一緒に過ごした時間「だいすきだったの」 娘と一緒に世話「親の方も心を動かされた」 別れを経て、命を学んでいく娘 虫嫌だった女の子が、カブトムシとふれあい、命のかけがえのなさを学び、成長していく――。マンガ投稿サービスを運営する「コミチ」とwithnewsがコラボし、「#わたしの特別な夏休み」をテーマに作品を募集。大賞の漫画作品には、実際の出来事をもとに、娘とカブトムシの夏の思い出が、父親目線で描かれています。 【PR】手話ってすごい!小学生のころの原体験から大学生で手話通訳士に合格 「ぽんすけ成長日記 カブトムシとの夏」 ひとりさん(@hitorie1983)が描いた4コマ漫画集「ぽんすけ成長日記 カブトムシとの夏」。現在小学1年生の娘(愛称ぽんすけ)がカブトムシと過ごしたひと夏には、たくさんの勇気と成長が詰まっていました。 ひとりさんの漫画「ぽんすけ成長日記 カブトムシとの夏」より 出典:コミチ ひとりさんの娘は、月1回サイエンス教室に通っています。昨年の夏、生き物について学ぶため、1人ずつカブトムシのつがいが配られることになりました。 虫が苦手だった娘は当初悲壮感をあらわにしていましたが、教室の授業でびくびくしながらもカブトムシを持つことに成功。「カブトムシさんもってかえれる!」。それが自信となり、家でカブトムシを飼うことにも前向きになりました。 ひとりさんの漫画「ぽんすけ成長日記 カブトムシとの夏」より 出典:コミチ それからというもの、嫌がっていたのが噓のよう。娘は毎日カブトムシの面倒を見るようになり、ひとりさんも「チャレンジは人を成長させるんだなぁ…と思ったのでした」と感慨深く綴っています。 しかし、別れは突然訪れたのでした。 苦手だった虫…一緒に過ごした時間「だいすきだったの」 ある朝、ひとりさんが飼育ケースを見ると、オスのカブトムシが息を引き取っていました。保育園に向かう途中、娘はずっとカブトムシのことを話しています。 「なんでしんじゃったんだろうな」「さむかったのかな」「せまかったのかな」 いつもに増して早口でひたすらしゃべり続ける娘を、ひとりさんは「自転車が止まると倒れるみたい」と例えています。保育園に着くと、ちょっとしたきっかけで、娘はせきを切ったように涙を流し始めました。 ひとりさんの漫画「ぽんすけ成長日記 カブトムシとの夏」より 出典:コミチ 一緒に時間を過ごすうちに、娘の中でカブトムシの存在はずっと大きくなっていたのです。その日、娘は母にそっと胸の内を明かします。 「カブトさんのこと だいすきだったの」 残ったメスのカブトムシも大事に育てようとする娘。しかし、残念ながらメスもある日命が尽きてしまいます。 「今回は、泣かなかった。ただすこしのあいだ廊下に大の字になっていた。それが彼女なりの喪に服し方だったのだろう」 ひとりさんの漫画「ぽんすけ成長日記 カブトムシとの夏」より 出典:コミチ お別れのとき、娘はカブトムシにお手紙を書くことにしました。娘がそっと手を合わせた先に、「かぶとさん またね。」と綴られた手紙が描かれています。 ひとりさんはこのマンガをコミチに投稿し、「勇気を学んだ。自信を学んだ。命を学んだ。そんな去年の夏でした。」というコメントを添えています。 1回の成功体験が、大きな自信になった 「それまでうちでは生き物を飼うこともなく、身近に接する機会もほとんどありませんでした。虫も苦手だったので、サイエンス教室でカブトムシの授業の予告があった時には、娘がものすごくショックを受けていたのを覚えています」 そう振り返るのは、マンガを描いたひとりさんです。娘のぽんすけ(愛称)は、当時通っていた保育園の先生にも相談するくらい虫に拒否感を持っていたようで、授業当日も「行きたくない」と葛藤していたそうです。 ひとりさんの漫画「ぽんすけ成長日記 カブトムシとの夏」より 出典:コミチ しかし、なだめすかしながらも受けた授業で、娘の気持ちは一転しました。教室では保護者も見学できるようになっているのですが、昆虫がどんな生き物なのか説明を受け、観察したり、絵を描いたり、カブトムシのつかみ方も教えてもらったりしていたそうです。 「娘がおそるおそるカブトムシを触るところも見ていたんですが、つかめた時に僕を方を向いてぱあっと笑顔になったんです。できたときの達成感が伝わってきて、僕もすごくうれしくなりました」 ひとりさんの漫画「ぽんすけ成長日記 カブトムシとの夏」より 出典:コミチ 「子どもって大人に比べたら経験してきたものが少ないですよね。だから1回の成功体験で得られる自信や効果ってすごく大きいんだなというのを実感しました」 娘と一緒に世話「親の方も心を動かされた」 それからひとりさんの家族はカブトムシのつがいを「カブト」と「カブコ」と呼び、世話をするようになりました。作中でも描かれていますが、実はひとりさんの妻は大の虫嫌い。しかし、娘に世話を促しながら、みんなで育てていくことでだんだん家族の中に存在が溶け込んでいきました。 ひとりさんの漫画「ぽんすけ成長日記 カブトムシとの夏」より 出典:コミチ ひとりさん自身も、「最初はカブトムシ自体に、そこまで興味がなかった」と明かします。娘の成長を見守りながら一緒に時間を過ごす中で、「親の方も心を動かされていった」と語ります。 しかし、息を引き取ってしまったカブトとカブコ。娘にとって、初めて経験する身近な生き物の死でした。気持ちをどう整理したらいいかわからず、戸惑う娘の様子を見て、ひとりさんの胸も痛みました。 「親としても飼育ケースやえさも調べて買って、環境を整える努力はしてきたつもりで、『ちゃんとお世話をしたら長生きするんだよ』って娘に伝えたかったんですよね。でもうまくいかなくて、娘にもかわいそうなことをしてしまったと責任を感じました」 ひとりさんの漫画「ぽんすけ成長日記 カブトムシとの夏」より 出典:コミチ 仕事の合間にカブトムシの死因を調べて、考え込むこともあったというひとりさん。せめてもの思いで、娘に丁寧に説明しながらカブトムシとのお別れの準備をすすめました。お別れの時、もともと絵や文字をかくのが好きな娘は、自然とペンを手にとっていました。 別れを経て、命を学んでいく娘 その後、ひとりさんの家族は生き物を飼うことはなかったそうですが、先日、同じサイエンス教室の授業を経て、今後はオカヤドカリの飼育をすることになりました。1年前と打って変わって、娘は全く抵抗することはありませんでした。 「飼育することになった時、娘が本当にうれしそうにしていたんです。妻もヤドカリは大丈夫なようで、家族で『ヤドちゃん』と呼んでお世話をして、かわいがっています」 ひとりさんの漫画「ぽんすけ成長日記 カブトムシとの夏」より 出典:コミチ カブトムシとの別れを経て、命について理解し始めている娘。悲しい経験でしたが、ひとりさんは「命を自分事にとらえ、大切に感じてもらえてたらいいなと思っています」と娘の心が育っていくことを願っています。幼い女の子が成長していくひと夏を描いたマンガには、大人も考えさせられる、大切なことが詰まっていました。 「かぶとさん またね」虫嫌いだった娘が…ひと夏の別れ、マンガに 1/45枚 withnews