連載
「地球に恩を売る!」のんさんが考える「ハードルの低いSDGs」
大事だけれど取っつきにくい……持続可能な社会を目指す取り組み「SDGs」に、どう取り組めばいいのか? 女優で創作あーちすとの、のんさんが出した答えが「地球に恩を売る」でした。「自信満々にポジティブに、ちょっと楽しいアプローチがあってもいいと思うんです」。のんさんが考える「SDGs」について聞きました。
のんさんは、7月29日にあった「ジャパンSDGsアクション」キックオフイベントで、「SDGs」の裾野を広げていく「SDGs People」に選ばれたことが発表されました。
そんな、のんさんですが、最初に「SDGs」という単語を聞いた時は「軽い気持ちで手をつけたらいけない問題なんじゃないかと思いました」と打ち明けます。
一方で「SDGs」について調べていくうちに、「知らないものだから構えてしまう。難しいことではないんだ、自分の生活の中で取り入れていけるものなんだということを、わかってもらえたらいい」と考えるようになったそうです。
〈SDGs(Sustainable Development Goals)〉地球環境や経済活動、人々の暮らしが持続可能になるよう、国や企業、個人が垣根を越え、2030年までに取り組む行動計画。15年に米ニューヨークであった「国連持続可能な開発サミット」で、193の国連加盟国の全会一致で採択された。貧困の解消や教育の改善、気候変動の対策など17分野の目標がある。各目標の下に、「各国の所得下位40%の人々に国内平均より高い所得の伸びを実現」といったより具体的な169の目標を掲げている。
実は、のんさんは2018年、環境省が進める温暖化対策のキャンペーン「COOL CHOICE」で、赤鬼に扮する斬新な動画に登場しています。
「その時からマイボトルを持ちはじめていて。そういう日々、自分ができることが、実は『SDGs』につながっているんですよね」
マイボトルだけでなく、のんさんは、普段から仕事で使った衣装をリユースして新たな価値を与える「アップサイクル」にも取り組んでいます。
「自分が関わっていた『アップサイクル』って、『SDGs』の12番目に掲げられている『つくる責任、つかう責任』にあたるんですよね。同じように、『SDGs』をすでに自分の生活の中で取り入れていることってあるはずです。まじめなイメージのある『SDGs』ですが、そういう、みんなが共感できる部分から広めていきたいです」
〈アップサイクル〉廃棄される服やエアバッグなどをリメイクして、バッグや雑貨としてよみがえらせる取り組み。再利用を意味する「リサイクル」と違い、新たな価値を加えるという意味で「アップサイクル」と呼ばれる。環境への貢献だけでなく、素材の質感や形状を生かした「一点もの」のデザインが魅力になっている。
キックオフイベントにはリモートで登壇した、のんさん。会場には、神奈川県や外務省などの担当者、専門家がいる中、女優、創作あーちすととして何ができるか考えた結果、出てきたのが「地球に恩を売る」という言葉でした。
「ハードルを感じてしまわないようにしたい。それなら、自分のハードルを地球レベルにまで上げてしまえばいい。地球と対等な気持ちで、エコバッグを使った時は『今、あたし環境に貢献したわ』くらいの気持ちでいれば、ハードルを意識することってなくなるんじゃないかな」
ユニークなフレーズには、のんさんならではのポリシーがあります。
「本当にまじめなものとして難しく考えちゃうと、脳みそが拒否しちゃう人もたくさんいると思う。だから気楽に、オープンな気持ちで『SDGs』との接点を作っていきたい」
テーマが「SDGs」であっても「得意気にやっていきたい」と語る、のんさん。その視点は、身近な生活から生まれています。
「今、レジ袋が有料化になって、家にたまっていたレジ袋がどんどんなくなっていて。そして、『エコバッグ便利じゃん』ということに気づく。自分にとって住やすい暮らしになるんだって感じられると、難しいものだと思っていた環境問題への抵抗もなくなります。個人の小さな取り組みだけでは意味がないと思いがちですが、その積み重ねが大事。みんなのちょっとした思いをつないでいく存在になれたらいいなと思います」
〈レジ袋有料化〉石油から作られたプラスチック製のレジ袋は2020年7月1日から店が無料で配ることが禁止された。一般的なプラスチックは分解されにくく、海の生き物にのみ込まれたり、体に絡まったりして、生態系を脅かす。一方で、年900万トンとされる国内の廃プラのうちレジ袋の割合は数%に過ぎない。今後は、容器や包装なども含めた全体を減らせるよう生活や社会の仕組みを変えていくことが必要で、レジ袋の有料化は脱プラスチックに向けた一歩と位置づけられている。
これまでも、様々なジャンルに挑戦してきた、のんさん。大事にしているポリシーは「ハードルを下げること」だと言います。
「やったことのない世界に飛び込むことは、苦労もあるけれど、その苦労がすがすがしい。自分のやれることの視界が開けていく。より自分が敏感になっていく。その結果、生まれたものが人に伝わると『ああ、がんばってよかった』と思えます。その瞬間が至福ですし、幸せを感じます」
のんさんは、今後、「SDGs People」として、「SDGs」のキャラクターを手がける予定です。
「最終的にどうなるかわからないですが、今は、カラフルな明るいイメージが思い浮かんでいます。みんなで輝かしい未来に向かっているんだということを、明るく伝えていきたい。可愛く、華やかにいきたいなと思っています」
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