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「北海道→鹿児島3泊4日」乗り換え駆使した弾丸ツアー、今なぜ爆誕?
稚内に現地集合、鹿児島中央で現地解散
小田急トラベルが企画した、鉄道ファンにうってつけの弾丸ツアーが話題です。北海道→鹿児島を3泊4日で、可能な限りあらゆる乗り換えを繰り返して新幹線や特急を乗り継ぐ行程。コロナ禍のストレスを吹き飛ばすような、この過剰なツアーの狙いを聞きました。(北林慎也)
小田急電鉄を中心とする小田急グループの旅行代理店「小田急トラベル」が、8月5日から募集を開始したツアーがSNSで話題となっています。
「いろいろとやばい笑」「これはすごい。よく組んだ」「大好きな人にとっては天国かも」
こんな驚きの声とともに拡散した旅行商品は、ネット申し込み限定、9月18日出発の「新幹線利用!北海道から鹿児島まで日本列島鉄道縦断ツアー」。
前泊を含む3泊4日、ひたすら新幹線と特急を乗り継いで南下する旅です。
初日は北海道稚内市のホテルに現地集合し、そのまま前泊からのスタート。
明けて2日目は、6時36分稚内発の特急「サロベツ」で慌ただしく出発。北海道新幹線で青函トンネルを抜け、青森市内のホテルに到着して終了します。
3日目は、文字通り一日がかりで列島を縦断します。
7時24分に普通列車で青森を発ち、仙台や高崎、金沢、米原、岡山などを通過しながら山陽新幹線で新関門トンネルをくぐって、23時29分に小倉(北九州市)に到着します。
最終日の4日目は、7時16分小倉発のこだま775号でスタート。
11時54分に「日本最南端のJR駅」として知られる西大山(鹿児島県指宿市)に到着後、昼食を挟む貸し切りバスツアーで鹿児島中央に着いて全日程を終了。そこで現地解散です。
全行程を通じた特徴が、効率を度外視した乗り換えラッシュ。同じ路線でこまめに降りてはわざわざ違う列車に移り、多種多様な乗り心地を味わいます。
この過酷にも思えるツアーに、鉄道ファンからは称賛と感嘆の声が寄せられています。
「乗り鉄にはたまらん」「憧れかも」「駅メモが超はかどる」
小田急トラベルによると、これまでも鉄道ファンを対象にした同コンセプトの企画はあったものの、これだけ大規模なツアーは初めてとのこと。
料金は乗車賃や宿泊代すべて込みで15万5000円と高額ですが、新型コロナウイルスの影響で打撃を受けた観光業界を支援しようと政府が打ち出した「Go Toトラベル」キャンペーンで、4万2000円が差し引かれます。
以前から社内で構想しながらも、なかなか実現しなかったこの企画。利用客の実質負担が割安になるこのタイミングで、思い切って実施を決めました。
広報担当者によると、企画したのは40歳代前半の男性社員。社内でも指折りの鉄道好きで、時刻表をパラパラとめくりながら造作もなく、楽しげにスケジュールを組んだそうです。
小田急グループのおひざ元である東京発着を避けた理由は、首都圏以外の全国の鉄道ファンをターゲットに「集合場所の稚内までの旅程も自由に楽しんでほしい」ため。
結果的に、東京発着を除外する「Go Toトラベル」の適用ツアーとして料金割引の対象になることから、一石二鳥で楽しめる利点をアピールします。
複雑怪奇な乗り換えスケジュールは、企画した鉄道好き社員が「可能な限りあらゆる形式の新幹線車両に乗る」ために、最もこだわったポイント。気象災害による運休や遅延などがない限り、ほぼすべての車両をコンプリートできる算段です。
乗り換え所要時間は、サスペンスドラマのトリックばりにタイトな地点もありますが、乗り換えタイムは「駅からの景色を味わったり各駅のスタンプラリーに参加したり、思い思いに楽しんでほしい」とのこと。昼食は車中での弁当ですが、当然のようにご当地の駅弁が用意されるそうです。
最少催行人数15人のこのツアーには、8月7日夕時点ですでに2件の申し込みがありました。
鹿児島での現地解散の翌日、9月22日は秋分の日で祝日です。小田急トラベルでは「現地解散から引き続き、旅気分で帰宅してほしい」とする一方、あえて帰宅までの移動プランは用意していません。
帰路も自由にのんびり旅してもらうことで結果的に、コロナ禍で苦境にあえぐ観光業界全体の底上げにつながるのを期待しているとのことです。
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