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IT・科学

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「お前は東大卒か」誹謗中傷をポジティブワードに 開発中の拡張機能

「消えろ」は「ずっとそばにいろよ」に

「nanka」が開発中のChrome拡張機能の変換前
「nanka」が開発中のChrome拡張機能の変換前 出典: nanka(@nankasince2016)さんのツイート

目次

言葉は時として刃物になることを、強く実感する出来事が起きています。インターネットに放たれる誹謗中傷は後を絶たず、たとえ他人に向けられたものであっても、心をすり減らしている人が多くいるでしょう。こうした状況の中で、ツイッターに投稿された「誹謗中傷ワードをポジティブワードに変換して表示する」というChromeの拡張機能に注目が集まっています。目を背けたくなるような言葉がすべて、優しいフレーズになったなら――。まだ実現可能性を含めた検討段階だという機能ですが、開発者に思いを聞きました。

目を背けたくなる言葉が、優しいフレーズに

話題となっているツイートを投稿したのは、「nanka」(@nankasince2016)のアカウント。「nanka」は日常を面白く豊かにする「nanka(なんか)」を創造することをミッションに、さまざまな作品を制作しているユニットです。これまで、包丁の音とみそ汁の匂いで「まるで実家のような」目覚めを演出するアラーム「JIKKALARM」や、猫背になると猫の鳴き声で教えてくれるヘルスケアデバイス「にゃぁぽっぽ」などを発表してきました。
そんな「nanka」が開発中のChrome拡張機能とは、「バカ」「クズ」などの相手をけなす言葉を、ポジティブな言葉に変換するというもの。例えば、「お前はバカか」というフレーズは「お前は東大卒か」に変換され、「消えろ」は「ずっとそばにいろよ」という優しい言葉に変わります。

ここでは書くのもはばかられるような、容姿を蔑む言葉は「ナイスバディ」に変わり、死を連想させる暴言であったとしても「長生きさせるぞ」。
変換前のリプライ
変換前のリプライ 出典:nanka(@nankasince2016)さんのツイート
変換後
変換後 出典:nanka(@nankasince2016)さんのツイート
この機能は、自分のChromeブラウザでのみ言葉を変換して表示することを想定しており、投稿そのものを書きかえるものではありません。誹謗中傷する言葉に出会ったとしても、表示上「見えなく」なるのです。

まだ構想段階で試作品がない状態ですが、「nanka」の発想にツイッターでは「これ欲しい」「一人一人の頭の中に実装したい」などのコメントが寄せられ、2万件以上のいいねが集まっています。

「傷つくことを減らす」ための防衛策

「nanka」のメンバーである宗野裕一さんは、この拡張機能の開発の経緯として「昨今のSNS上での誹謗中傷問題で傷つくことをどうにかして減らしたいと考えた」と説明します。

「誹謗中傷を減らす」のではなく、「傷つくことを減らす」というのが、この機能のポイントです。というのも、「誹謗中傷は基本的には無くならないと考えている」という宗野さん。「誹謗中傷する人のなかには、自分が誹謗中傷しているのかさえ気がつかない人がいる」と指摘します。

このため「自分がSNSを見るときは誹謗中傷ワードが見えない形で表示されれば傷つくのも防げると考えた」といいます。

「知らぬが仏」という言葉があるように、「見えないものや気がつかないものに人は傷つくことはない」という考えのもと、この機能の開発に至ったのでした。
変換後
変換後 出典:nanka(@nankasince2016)さんのツイート

「賢い」と言えば…「東大卒」

ユニークなのは変換後の言葉です。宗野さんはその工夫点を「ただ単純に誹謗中傷ワードを対義語にするのではなく、さらに変換をかけて面白くなればいいと考えました」といいます。

例えば、「バカ」の対義語として「賢い」に変換することもできますが、「賢い」から連想される言葉として「東大」となり、ツイートでは「東大卒」と変換されています。「マヌケ」は「機転が利く」、機転が利くと言えば……という連想で、「マヌケすぎだろ」は「一休さんすぎだろ」に変換されるのです。

宗野さんによると、現在は言葉に対する変換アルゴリズムなどを作成中で、実際に機能を実現するまではまだ時間がかかるそうです。
単体では見るのもつらい暴言も、この拡張機能の前ではただの「素材」になってしまう。ツイートのビフォー・アフターには思わず笑みがこぼれてしまいました。理想を語れば、本当はこうした機能が必要ない世界であってほしいけれど、日々の健やかな生活を守るための大切な考え方も教えてもらったように思います。
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