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連載

#48 #やさしい日本語

「派遣できないから、くび」コロナで真っ先に切られる外国人の嘆き

「いま、労働者を解雇や雇い止めにする必要性も、合理性もありません」

(イラスト・逸見恒沙子)
(イラスト・逸見恒沙子)

目次

こんにちは。POSSEの岩橋(いわはし)誠(まこと)です。今回(こんかい)は、「派遣(はけん)切(ぎ)り」にされた外国人(がいこくじん)の相談(そうだん)です。たくさんの外国人(がいこくじん)が、「派遣(はけん)社員(しゃいん)」として働(はたら)いています。コロナウイルスの影響(えいきょう)で、派遣(はけん)できる仕事(しごと)がなくなり、くびになった人(ひと)は多(おお)いです。そのときは、どうすればいいでしょうか。一緒(いっしょ)に考(かんが)えていきましょう。

日本語(にほんご)にまだ慣(な)れていない人(ひと)にも、分(わ)かりやすい「やさしい日本語(にほんご)」で書(か)きました。
下(した)に「ふりがな」を消(け)した文(ぶん)があります。


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「もう仕事がないです」

ノミンさんの悩(なや)み


【モンゴル出身(しゅっしん)、女性(じょせい)、ノミンさん、20歳(さい)代(だい)】

私(わたし)はモンゴルの高校(こうこう)を卒業(そつぎょう)しました。ファッションが好(す)きでした。服(ふく)のデザインの勉強(べんきょう)をしたいと思(おも)いました。そのときは、お姉(ねえ)さんが日本(にほん)の大学(だいがく)にいたので、日本(にほん)に行(い)きたいと思(おも)いました。そして、東京(とうきょう)にある服(ふく)のデザインをする専門(せんもん)学校(がっこう)に入(はい)りました。

専門(せんもん)学校(がっこう)を卒業(そつぎょう)してから、ファッションの仕事(しごと)をしたいと思(おも)いました。そこで、昨年(さくねん)(2019年(ねん))、日本(にほん)でアパレル店(てん)の店員(てんいん)になりました。派遣(はけん)会社(がいしゃ)に登録(とうろく)して、派遣(はけん)社員(しゃいん)としてアパレル店(てん)で働(はたら)きました。

たくさん働(はたら)いて、お店(みせ)の中(なか)でもたくさんの服(ふく)を売(う)ることができました。外国人(がいこくじん)のお客(きゃく)さんが来(き)たときには、外国語(がいこくご)で服(ふく)について話(はな)しました。

でも、コロナウイルスのせいで、今年(ことし)の3月(がつ)から、お店(みせ)に来(く)るお客(きゃく)さんが減(へ)りました。私(わたし)はいつもは1か月(げつ)に20日(にち)くらい働(はたら)いていました。でも3月(がつ)は、私(わたし)は14日(にち)しか働(はたら)くことができませんでした。派遣(はけん)会社(がいしゃ)の人(ひと)は、「いまの店(みせ)で仕事(しごと)がなくなっても、別(べつ)の店(みせ)で働(はたら)くことができるようにします」と私(わたし)に言(い)いました。

そして、4月(がつ)にお店(みせ)が閉(し)まりました。私(わたし)の仕事(しごと)はなくなりました。でも、派遣(はけん)会社(がいしゃ)の人(ひと)は私(わたし)に、「別(べつ)の店(みせ)で働(はたら)くことはできません。あなたを派遣(はけん)できる店(みせ)はありません」と言(い)いました。まだ私(わたし)の契約(けいやく)は、残(のこ)っています。でも、くびになりました。

私(わたし)は新(あたら)しいビザをとったばかりです。ビザはどうなりますか。家族(かぞく)はみんなモンゴルにいます。家賃(やちん)を払(はら)うことも難(むずか)しいです。貯金(ちょきん)はあまりありません。どうすればいいですか。

「派遣できないから、くび」はだめです

派遣(はけん)社員(しゃいん)は、派遣(はけん)会社(がいしゃ)と働(はたら)く約束(やくそく)(雇用(こよう)契約(けいやく))をします。派遣(はけん)会社(がいしゃ)が仕事(しごと)(派遣(はけん)先(さき))を見(み)つけます。派遣(はけん)社員(しゃいん)は、派遣(はけん)先(さき)で働(はたら)きます。外国人(がいこくじん)の中(なか)には、派遣(はけん)社員(しゃいん)の人(ひと)も多(おお)いです。ノミンさんと同(おな)じように、会社(かいしゃ)から「派遣(はけん)先(さき)がなくなりました」「派遣(はけん)できる仕事(しごと)がありません」と言(い)われて、くび(解雇(かいこ))になった人(ひと)もたくさんいます。
(イラスト・逸見恒沙子)
(イラスト・逸見恒沙子)
でも、「派遣(はけん)先(さき)がないからくび」は、だめです。ノミンさんは、派遣(はけん)会社(がいしゃ)と働(はたら)く約束(やくそく)(契約(けいやく))をしています。 会社(かいしゃ)が働(はたら)く人(ひと)をくびにするときは、きちんとした理由(りゆう)が必要(ひつよう)です。これは法律(ほうりつ)で決(き)まっています。「派遣(はけん)先(さき)がない」だけでは、理由(りゆう)にはなりません。

「解雇(かいこ)は、客観的(きゃっかんてき)に合理的(ごうりてき)な理由(りゆう)を欠(か)き、社会(しゃかい)通念(つうねん)上(じょう)相当(そうとう)であると認(みと)められない場合(ばあい)は、その権利(けんり)を濫用(らんよう)したものとして、無効(むこう)とする」 (労働(ろうどう)契約法(けいやくほう)第(だい)16条(じょう))

(イラスト・逸見恒沙子)
(イラスト・逸見恒沙子)
派遣(はけん)で働(はたら)くときは、働(はたら)く契約(けいやく)の期間(きかん)が決(き)まっていることが多(おお)いです。期間(きかん)がまだ終(お)わっていないのに、「派遣(はけん)先(さき)がない」という理由(りゆう)だけでは、くびにできません。仕事(しごと)(派遣(はけん)先(さき))がなくなっても、派遣(はけん)会社(がいしゃ)に、期間(きかん)が終(お)わるまでの給料(きゅうりょう)をもらうことができます。

労働者(ろうどうしゃ)派遣法(はけんほう)でも、もし、あなたが1年(ねん)より長(なが)く派遣(はけん)会社(がいしゃ)で働(はたら)くことになる時(とき)などは、派遣(はけん)会社(がいしゃ)は新(あたら)しい仕事(しごと)(派遣(はけん)先(さき))を見(み)つけるように努(つと)めることが決(き)まっています。もし、派遣(はけん)先(さき)がないときでも、派遣(はけん)会社(がいしゃ)は給料(きゅうりょう)を払(はら)うように努(つと)める、と決(き)まっています。

新(あたら)しい仕事(しごと)が見(み)つかるまで、仕事(しごと)を休(やす)むので、休業(きゅうぎょう)手当(てあて)をもらうこともできます。休(やす)みのときは、少(すく)なくても、休業(きゅうぎょう)手当(てあて)として給料(きゅうりょう)の60%を、派遣(はけん)会社(がいしゃ)はノミンさんに払(はら)わないといけません。法律(ほうりつ)で決(き)まっています。

「会社(かいしゃ)側(がわ)の都合(つごう)により労働者(ろうどうしゃ)を休業(きゅうぎょう)させた場合(ばあい)、休業(きゅうぎょう)させた所定(しょてい)労働(ろうどう)日(び)について、平均(へいきん)賃金(ちんぎん)の6割(わり)以上(いじょう)の手当(てあて)(休業(きゅうぎょう)手当(てあて))を支払(しはら)わなければなりません。」(労働(ろうどう)基準法(きじゅんほう)26条(じょう))

そして、ノミンさんは、「60%は少(すく)ないです。100%払(はら)ってください」と会社(かいしゃ)に言(い)うこともできます。
(イラスト・逸見恒沙子)
(イラスト・逸見恒沙子)

国が会社にお金を出します

国(くに)は、コロナで仕事(しごと)がない会社(かいしゃ)にお金(かね)を出(だ)します(雇用(こよう)調整(ちょうせい)助成金(じょせいきん))。いま国(くに)は派遣(はけん)会社(がいしゃ)に「派遣(はけん)社員(しゃいん)をくびにしないでください。助成金(じょせいきん)を使(つか)って、休(やす)みにしてください」と言(い)っています。

派遣元事業主の皆様へ「雇用調整助成金を活用して派遣労働者の雇用の維持をお願いします」
会社(かいしゃ)はそのお金(かね)を使(つか)って、働(はたら)く人(ひと)を休(やす)みにできます。休(やす)みにした人(ひと)に休業(きゅうぎょう)手当(てあて)を払(はら)うことができます。だから、いま、くびになるのは、ますますおかしいです。 契約(けいやく)の期間(きかん)が終(お)わった人(ひと)や、仕事(しごと)がある時(とき)だけ働(はたら)く契約(けいやく)をする「登録(とうろく)型(がた)派遣(はけん)」の人(ひと)も、あきらめないでください。相談(そうだん)をしてください。
(イラスト・逸見恒沙子)
(イラスト・逸見恒沙子)

「くびはおかしい」と会社に言いましょう

「くびになって困(こま)っている」ときは、すぐに誰(だれ)かに相談(そうだん)してください。

 

NPO法人(ほうじん)「POSSE(ポッセ)」はメールで相談(そうだん)できます。日本語(にほんご)、英語(えいご)でも大丈夫(だいじょうぶ)です。24時間(じかん)いつでもできます。お金(かね)はいりません。supportcenter@npoposse.jp

 

POSSEは、ノミンさんに労働(ろうどう)組合(くみあい)(ユニオン)に入(はい)ることを勧(すす)めました。

ユニオンは、働(はたら)く人(ひと)たちが集(あつ)まって、働(はたら)く環境(かんきょう)を良(よ)くするための団体(だんたい)です。例(たと)えば、給料(きゅうりょう)を上(あ)げることを、会社(かいしゃ)に求(もと)めることができます。ノミンさんのように、「くびはおかしい。働(はたら)きたいです」と会社(かいしゃ)に言(い)うこともできます。

ノミンさんはユニオンと一緒(いっしょ)に、会社(かいしゃ)に行(い)きました。会社(かいしゃ)と話(はな)し合(あ)いました(団体交渉(だんたいこうしょう)といいます)。最初(さいしょ)、会社(かいしゃ)は「仕事(しごと)がありません。ノミンさんは働(はたら)くことができません」といいました。でも、ユニオンが「クビは違法(いほう)です。会社(かいしゃ)のおかしいところを多(おお)くの人(ひと)に知(し)らせます」と言(い)いました(団体(だんたい)行動(こうどう)といいます)。会社(かいしゃ)はノミンさんをまた、会社(かいしゃ)で働(はたら)くことができるようしました。会社(かいしゃ)は休(やす)んでいたときの給料(きゅうりょう)も100%払(はら)うことを約束(やくそく)しました。

ノミンさんは、これまでと同(おな)じビザで、いまもこの会社(かいしゃ)で働(はたら)いています。

日本人・外国人で蔓延する派遣切り

コロナウイルスを理由に、国籍を問わず多くの人が職場を追われています。厚生労働省によれば、7月17日時点で約3.6万人が解雇もしくは雇い止めされたことがわかっていますが、これはあくまで国が把握できた件数であり、実際にはこれを遥かに上回る人が仕事を失ったと考えられます。

POSSE外国人労働サポートセンターにも、多くの外国人から「もう仕事がないと言われた」という相談が寄せられています。彼らのほとんどは、緊急事態宣言が出された直後の4月半ばに、解雇や雇い止めされています。

いま国は企業に対して、解雇や雇い止めではなく労働者を一時的に休業させるよう呼びかけています。そのために、国は「雇用調整助成金」という制度を拡充しました。この制度は、企業が休業させている労働者に対して支払う賃金を国が補助金として支給するというものですが、中小企業の場合は企業が労働者に支払う金額の100%が国から支給されることになっています。つまり、企業は経済的な負担なく、労働者を休業させることができるのです。いま、労働者を解雇や雇い止めにする必要性も、合理性もありません。これは派遣労働者の場合でも同様です。

厚生労働省は5月26日、派遣会社の業界団体である「人材派遣協会」に対して雇用調整助成金などを使って雇用を維持することを要望しています。実際、「派遣先がないからくび」ができてしまうと、最初から直接雇用すればよかっただけであり、派遣会社そのものの存在意義がなくなってしまいます。

ただ、手続きが煩雑などという理由で、企業は雇用調整助成金を使わずに労働者を解雇や雇い止めにしています。特に、外国人の場合は、日本人よりも先に雇用を失う傾向があります。しかし、ここまで説明したように、契約期間が残っている状況で中途解約は違法の可能性が高く、労働組合などで争えば、職場復帰できることがあります。

POSSEに相談にきた外国人は、労働組合「総合サポートユニオン」に加入して会社に復職を求めた結果、ノミンさんも含めてほぼ全員が復職することができました。とはいえ、外国人が日本で会社に対して権利を主張することは想像以上に大変です。不当な目に遭った外国人が「おかしい」と言うことを支援していく取り組みが今後、ますます必要になると思います。
 

withnewsでは、日本語に慣れていない人でもわかりやすい「やさしい日本語」に取り組んでいます。

社会が混乱したときに、日本で働く誰もが困らないための知識を、NPO法人「POSSE」の岩橋誠さんと、やさしい日本語で発信することにしました。毎週金曜日に配信します。

【NPO法人 POSSE(ポッセ)】
2006年に、大学生や若手社会人が中心となって立ち上げた労働相談・労働教育のNPO。「ブラック企業」や「ブラックアルバイト」など、若者の働くことや生活・奨学金の相談を年間1500件以上受けている。2019年4月に、英語・日本語で対応する「外国人労働サポートセンター」を設置。

POSSEでは学生・社会人ボランティアを募集しています。労働相談の対応から通訳・翻訳など、いろいろな形で外国人労働者の権利を守るための取り組みに関わることができます。 supportcenter@npoposse.jpにご連絡ください。

【機械翻訳用】ふりがな なし
◆「派遣できないから、くび」コロナで真っ先に切られる外国人の嘆き

こんにちは。POSSEの岩橋誠です。今回は、「派遣切り」にされた外国人の相談です。たくさんの外国人が、「派遣社員」として働いています。コロナウイルスの影響で、派遣できる仕事がなくなり、くびになった人は多いです。そのときは、どうすればいいでしょうか。一緒に考えていきましょう。

■「もう派遣できる仕事がないです」
【相談】モンゴル出身、女性、ノミンさん(20歳代)

私はモンゴルの高校を卒業しました。ファッションが好きでした。服のデザインの勉強をしたいと思いました。そのときは、お姉さんが日本の大学にいたので、日本に行きたいと思いました。そして、東京にある服のデザインをする専門学校に入りました。

専門学校を卒業してから、ファッションの仕事をしたいと思いました。そこで、昨年(2019年)、日本でアパレル店の店員になりました。派遣会社に登録して、派遣社員としてアパレル店で働きました。

たくさん働いて、お店の中でもたくさんの服を売ることができました。外国人のお客さんが来たときには、外国語で服について話しました。

でも、コロナウイルスのせいで、今年の3月から、お店に来るお客さんが減りました。私はいつもは1か月に20日くらい働いていました。でも3月は、私は14日しか働くことができませんでした。派遣会社の人は、「いまの店で仕事がなくなっても、別のお店で働くことができるようにします」と私に言いました。

そして、4月にお店が閉まりました。私の仕事はなくなりました。でも、派遣会社の人は私に、「別のお店で働くことはできません。あなたを派遣できる店はありません」と言いました。まだ私の契約は、残っています。でも、くびになりました。

私は新しいビザをとったばかりです。ビザはどうなりますか。家族はみんなモンゴルにいます。家賃を払うことも難しいです。貯金はあまりありません。どうすればいいですか。

■「派遣できないから、くび」はだめです
派遣社員は、派遣会社と働く約束(雇用契約)をします。派遣会社が仕事(派遣先)を見つけます。派遣社員は、派遣先で働きます。外国人の中には、派遣社員の人も多いです。ノミンさんと同じように、会社から「派遣先がなくなりました」「派遣できる仕事がありません」と言われて、くび(解雇)になった人もたくさんいます。

でも、「派遣先がないからくび」は、だめです。ノミンさんは、派遣会社と働く約束(契約)をしています。 会社が働く人をくびにするときは、きちんとした理由が必要です。これは法律で決まっています。「派遣先がない」だけでは、理由にはなりません。

「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上 相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」(労働契約法第 16 条)

派遣で働くときは、働く契約の期間が決まっていることが多いです。期間がまだ終わっていないのに、「派遣先がない」という理由だけでは、「くび」にできません。仕事(派遣先)がなくなっても、派遣会社に、期間が終わるまでの給料をもらうことができます。 労働者派遣法でも、もし、あなたが1年より長く派遣会社で働くことになる時などは、派遣会社は新しい仕事(派遣先)を見つけるように努めることが決まっています。もし、派遣先がないときでも、派遣会社は給料を払うように努める、と決まっています。

新しい仕事が見つかるまで、仕事を休むので、休業手当をもらうこともできます。休みのときは、少なくても、休業手当として給料の60%を、派遣会社はノミンさんに払わないといけません。法律で決まっています。

「会社側の都合により労働者を休業させた場合、休業させた所定労働日について、平均賃金の6割以上の手当(休業手当)を支払わなければなりません。」(労働基準法26条)

そして、ノミンさんは、「60%は少ないです。100%払ってください」と会社に言うこともできます。

■国が会社にお金を出します
国は、コロナで仕事がない会社にお金を出します(雇用調整助成金)。いま国は派遣会社に「派遣社員をくびにしないでください。助成金を使って、休みにしてください」と言っています。

会社はそのお金を使って、働く人を休みにできます。休みにした人に休業手当を払うことができます。だから、いま、くびになるのは、ますますおかしいです。 契約の期間が終わった人や、仕事がある時だけ働く契約をする「登録型派遣」の人も、あきらめないでください。相談をしてください。

■「くびはおかしい」と会社に言いましょう
「くびになって困っている」ときは、すぐに誰かに相談してください。 POSSEでも24時間メールで相談できます。お金はかかりません。 POSSEは、ノミンさんに労働組合(ユニオン)に入ることを勧めました。

ユニオンは、働く人たちが集まって、働く環境を良くするための団体です。例えば、給料を上げることを、会社に求めることができます。ノミンさんのように、「くびはおかしい。働きたいです」と会社に言うこともできます。

ノミンさんはユニオンと一緒に、会社に行きました。会社と話し合いました(団体交渉といいます)。最初、会社は「仕事がありません。ノミンさんは働くことができません」といいました。でも、ユニオンが「クビは違法です。会社のおかしいところを多くの人に知らせます」と言いました(団体行動といいます)。会社はノミンさんをまた、会社で働くことができるようしました。会社は休んでいたときの給料も100%払うことを約束しました。

ノミンさんは、これまでと同じビザで、いまもこの会社で働いています。

■日本人・外国人で蔓延する派遣切り
コロナウイルスを理由に、国籍を問わず多くの人が職場を追われています。厚生労働省によれば、7月17日時点で約3.6万人が解雇もしくは雇い止めされたことがわかっていますが、これはあくまで国が把握できた件数であり、実際にはこれを遥かに上回る人が仕事を失ったと考えられます。

POSSE外国人労働サポートセンターにも、多くの外国人から「もう仕事がないと言われた」という相談が寄せられています。彼らのほとんどは、緊急事態宣言が出された直後の4月半ばに、解雇や雇い止めされています。

いま国は企業に対して、解雇や雇い止めではなく労働者を一時的に休業させるよう呼びかけています。そのために、国は「雇用調整助成金」という制度を拡充しました。この制度は、企業が休業させている労働者に対して支払う賃金を国が補助金として支給するというものですが、中小企業の場合は企業が労働者に支払う金額の100%が国から支給されることになっています。つまり、企業は経済的な負担なく、労働者を休業させることができるのです。いま、労働者を解雇や雇い止めにする必要性も、合理性もありません。これは派遣労働者の場合でも同様です。

厚生労働省は5月26日、派遣会社の業界団体である「人材派遣協会」に対して雇用調整助成金などを使って雇用を維持することを要望しています。実際、「派遣先がないからくび」ができてしまうと、最初から直接雇用すればよかっただけであり、派遣会社そのものの存在意義がなくなってしまいます。

ただ、手続きが煩雑などという理由で、企業は雇用調整助成金を使わずに労働者を解雇や雇い止めにしています。特に、外国人の場合は、日本人よりも先に雇用を失う傾向があります。しかし、ここまで説明したように、契約期間が残っている状況で中途解約は違法の可能性が高く、労働組合などで争えば、職場復帰できることがあります。

POSSEに相談にきた外国人は、労働組合「総合サポートユニオン」に加入して会社に復職を求めた結果、ノミンさんも含めてほぼ全員が復職することができました。とはいえ、外国人が日本で会社に対して権利を主張することは想像以上に大変です。不当な目に遭った外国人が「おかしい」と言うことを支援していく取り組みが今後、ますます必要になると思います。