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Yahoo!ニュース「#コロナとどう暮らす」企画班さんからの取材リクエスト

一斉休校、不登校家庭はどのように感じていましたか。



コロナ禍、不登校家庭の苦しみ 休校明け「学校はすばらしい」の重圧

ウイルス禍で見えた「多機能すぎる学校の脆弱性」

不登校の子どもやその家族は、この状況をどのように感じていたのでしょうか。(写真はイメージ)
不登校の子どもやその家族は、この状況をどのように感じていたのでしょうか。(写真はイメージ) 出典: PIXTA

目次

取材リクエスト内容

新型コロナウイルスの感染拡大による一斉休校で、多くの子どもが学校に通えない状況となりました。オンライン授業なども広がりましたが、不登校の子どもやその家族は、この状況をどのように感じていたのでしょうか。 Yahoo!ニュース「#コロナとどう暮らす」企画班

記者がお答えします!

新型コロナウイルスの感染拡大で多くの学校が休校となり、子どもたちは等しく学校に行けない「不登校」状態を経験しました。オンライン授業の広がりによって、不登校の子どもが授業に参加できるようになったという事例も報道されましたが、こうした状況に対して、他の不登校の子どもの保護者はどう感じているのでしょうか。ウイルス禍前から子どもが不登校だった母親は「ウイルス禍を経ても、不登校に対する周囲の認識は変わっていない」と打ち明けます。親子の日々と専門家の言葉から、ウイルス禍が露呈させた「多機能すぎる学校の脆弱性」について考えます。

いじめをきっかけに不登校「休ませないと」

関西地方に住むAさんの長女は、2年ほど前、小学5年生の頃に学校に行き渋るようになりました。

不登校のきっかけは、一番仲が良かった友だちからのいじめです。無視から始まり、先生から見えないところで悪口を言われる、ということが数カ月続きました。「娘が泣きながら帰ってくることも少なくなかった」というAさん。娘は次第に情緒不安定になり、ついには「死にたい」と口にするようになりました。

Aさんが学校に出向き、先生に伝えても「みんなと仲良くしているから心配ありません」と相手にしてもらえませんでした。一方で、いじめが明らかになると、子ども同士の話し合いの場を設けて「相手が謝ったからおしまい」「仲直りできてよかったね」とする対応。帰宅して「誰も私の気持ちを聞いてくれなかった」と泣く娘に、Aさんもやりきれない気持ちでいっぱいでした。
写真はイメージ
写真はイメージ 出典: PIXTA
その後も別室登校をしていたAさんの娘でしたが、教室に戻そうとする学校の方針に居場所がないと感じ始めました。先生の態度も冷たくなっていったといいます。娘が抱いていた、いじめていた児童への恐怖感も、クラス、学校全体に対する感情に広がり、6年生になる頃には「外に出るのが怖い」と家にひきこもるようになっていました。

学校の対応に不信感が募っていたAさんも、「娘を休ませないといけない」と感じたといいます。メンタルクリニックにも通い、「学校に行けない子は悪い子」と罪悪感にさいなまれて泣く娘を、落ち着かせることに必死でした。

娘にマッチした「eラーニング」

こうした生活の中で、気がかりだったのは娘の学習機会を確保することでした。娘はもともと興味があることにはのめりこむ性格で、音楽やプログラミングなどの知識の深さは周囲も驚くほど。「将来やりたいことができる可能性が増えるなら」と、娘も勉強の機会は大切だと感じていたようです。

とはいえ、娘の中で学校は「トラウマ」として刻まれているため、学校の教材を見るだけで泣き出してしまうこともありました。また、市販の教材もあまり長続きしませんでした。

そんな娘にマッチしたのは、eラーニングシステムでした。「得意なパソコンを使う形式だったので、抵抗なく学習を続けられたのかもしれない」とAさんは考えています。すぐに6年生の範囲を終わらせてしまった教科もあったそうです。
写真はイメージ
写真はイメージ 出典: PIXTA
そして小学校の卒業を間近に控えた2月、新型コロナウイルスの感染拡大によって社会が大きく揺れ始めました。

オンライン授業「ZOOMだったら無理だったかも」

一斉休校を機に各学校が取り組み始めたのが「オンライン授業」です。Aさんの娘がこの春進学した中学校でも、休校を受けて授業動画の配信を始めていました。

娘の場合は、もともと「中学も登校は難しい」と考え、ウイルス禍の前からeラーニングで学習を続けていましたが、時には学校の授業動画も利用していたようです。

ただし、Aさんは「授業の方法によって、不登校の子どもの参加のしやすさは違うと思う」と指摘します。学校が提供していた動画は授業を録画したものでしたが、「娘は同級生に対する恐怖心がすごく強く、ZOOMのようにお互いの顔が見えるものだと難しかったと思う」と話します。

また、授業で使用する教材を渡されていなかった教科もあったそうで、学校と家庭が密に連携していないと満足に授業を受けられない実情も見えました。
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写真はイメージ 出典: PIXTA

休校に楽になったのもつかの間

学習以外に目を向けると、Aさんや娘にとって休校期間は、学校への意識がやわらぐ時間にもなっていたようです。

一斉休校で他の子どもたちも等しく学校に行けない状態になったため、日中子どもが家にいることは不自然ではなくなりました。近所の人に娘が不登校であることを明かしていないというAさんは、「これまで昼間は気づかれないように静かにするよう気をつけていたので、私はすごく気持ちが楽になった」と話します。

「子どもの家での過ごし方が親の悩み」というニュースを見て「うちは1年以上やってるから、ベテランだね」と娘と笑い合ったこともあったそうです。
写真はイメージ
写真はイメージ 出典: PIXTA
しかしそれもつかの間、学校が再開し始めると、テレビでは「友だちに会えてうれしい」と喜ぶ子どもたちの姿が頻繁に映し出されるようになりました。それを娘は神妙な面持ちで見ているといいます。

「青春や友情がキラキラと描かれているCMを見ると、うちは『どうしてこんなことになってしまったのだろうか』と思ってしまう」というAさん。これまでの生活を「理想」とし、社会が歓迎すればするほど、追い詰められてしまう現実がありました。

「善意」が不登校家庭を苦しめる

ウイルス禍を通して、不登校に対する周囲の認識は変わったのでしょうか。Aさんは「特段変化を感じていない」と語ります。というのも、娘の不登校を通してAさんが抱えている苦しみは、多くは学校への不信感から来るものでした。

いじめへの対応にもわだかまりが残り、登校時に先生の言葉で娘が傷ついて帰ってくることも一度ではありませんでした。一方で、娘が拒否反応を示しているのに、学校の行事などへの参加を求められたり、突然友だちと交流する機会を作られたり、断るストレスで娘もすり減っていました。

「先生だけではなく、周りの人も『大事な時期だから』『1回しかないことだから』といろんな声をかけてくださるのですが、その正論がつらいんです。その『善意』に応えられないことが罪悪感になって、毎回叩きのめされています」

「私たちの『こうしてほしい』に耳を傾けず、それぞれが思う『よかれと思って』『きっとこうした方がいいはず』で動かれ続ける限り、私たちはしんどいんです」
写真はイメージ
写真はイメージ 出典: PIXTA
娘の精神面はいまも大きな波があります。最近再び情緒が不安定になりはじめ、メンタルクリニックの医師と薬の効き目を相談しようとしているといいます。親子が安心して過ごせるようになるまでは、まだもう少し時間がかかりそうです。

オンライン授業に参加できる子どもは一部

大阪府堺市で不登校サポートハウス「マーブルハウス」を運営し、親の会や訪問支援を行っている石田まりさんは、「オンライン授業に参加しようと思える不登校の子どもは、一部に限られている」と指摘します。

「そもそも不登校の子どもたちは、学校に通っていた頃に我慢を重ねてきて、学校に行けなくなってからも周囲の対応に傷ついて、エネルギーがほとんど残っていない状態です。傷ついた子たちにまず必要なのは心のケアです。積極的に授業に意識が向かう子どもばかりではありません」
「マーブルハウス」を運営する石田まりさん=2019年、金澤ひかり撮影
「マーブルハウス」を運営する石田まりさん=2019年、金澤ひかり撮影
もちろん苦しみながらも学校に通っていた子や、学校での授業スタイルが合わなかった子など、オンライン授業があることで救いとなる子どももいます。しかし、休校によって日頃抱えている罪悪感から解放され、やっと心休ませられた子どももいる中で、先生や保護者に「学校に行けないなら、せめてオンライン授業だけでも出なさい」と言われることが、更に子どもを追い詰めるケースもあるのでは、と危惧しています。

一斉休校「寄り添うきっかけになれば」

石田さんが今回のウイルス禍で強く感じたのが、「学校が多機能すぎるからこその脆弱性」でした。学校の機能は教育だけにとどまらず、給食や運動、健康診断など、福祉的な側面も持っています。

「機能を詰め込みすぎたために、休校になった途端、子どもたちを育てる手段がなくなってしまう。今回『お昼ごはんや運動はどうしよう』という保護者の方の困りごとがよく聞かれましたが、不登校の子どもがいる家庭はその悩みをずっと背負ってきました。新しい問題というよりは、これまで先送りにしていた学校の課題が露呈したという印象です」

多くの家庭が子どもが家にいる悩みに経験したことで、「不登校の家庭が直面している課題に、寄り添うきっかけになれば」と願いを込めます。
 
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写真はイメージ 出典: PIXTA
しかしこうした課題を顧みることなく、この体験が「やっぱり学校はすばらしいものだ」という価値観を強める方向に作用すると、不登校の子どもや家族を苦しめる可能性があるといいます。

「近年、『学校は無理に行かなくてもいいよ』という風潮は社会に広がりつつあると思います。これからは学校以外のところで、子どもたちがどうしたら健康な生活を送れるかを考えていって欲しいです」

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