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連載

#42 ○○の世論

逃げ腰の自民支持層 衆院選、今なら…急浮上した「副代表の知事」

広まる「選挙どころではない」ムード

新型コロナウイルス感染症対策などに関する要望を安倍晋三首相に伝えた後、取材に応じる大阪府の吉村洋文知事=2020年7月14日午後5時14分、首相官邸、岩下毅撮影
新型コロナウイルス感染症対策などに関する要望を安倍晋三首相に伝えた後、取材に応じる大阪府の吉村洋文知事=2020年7月14日午後5時14分、首相官邸、岩下毅撮影 出典: 朝日新聞

目次

現在の衆院議員の任期は、残り1年3カ月ほどになりました。自民党内には「秋にも内閣を改造し、その勢いで解散を」という早期解散論と「今は解散よりもやるべきことがたくさんある」という慎重論が行き交っています。有権者は、いつごろの解散・総選挙を望んでいるのか。今投票するとしたら、どの政党に好感を抱いているのか、世論調査で聞いてみました。
(朝日新聞記者・君島浩)

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「今は勝負を避けた方がよい」心理

現憲法下で計25回の総選挙のうち、任期満了での選挙は1回しかありません。残り24回は衆院の解散によるものです。

解散権を握る安倍晋三首相は「頭の片隅にもない」としながらも、「国民の信を問うべき時が来れば、解散を断行する」(6月18日、通常国会の閉会を受けた記者会見で)と述べています。

そこで、7月18、19日に実施した調査で、有権者に年内解散の是非を尋ねました。

 

解散は「来年がよい」という有権者は6割にのぼりました。特に、安倍首相を支える自民支持層で「来年がよい」が75%を占め、より年内解散に慎重でした。コロナの感染拡大後、安倍内閣の支持率は低迷が続いているので、支持者としては「今は勝負を避けた方がよい」という心理が働いているのかもしれません。

「選挙どころではない」ムード広がる

選択肢は異なりますが、今年1月の調査でも、同じように解散・総選挙の時期について聞いています。調査したのは、コロナが蔓延する前で、東京五輪の1年延期も決まる前でした。

【今の衆議院議員の任期は来年の10月までです。あなたは、衆議院の解散・総選挙はいつごろがよいと思いますか】
・東京オリンピック・パラリンピックより前=10%   
・東京オリンピック・パラリンピックより後の年内=48%   
・来年=37%   
*その他・答えないは省略。RDD方式で1月25、26日に全国の有権者を対象に調査。回答率は固定電話51%、携帯電話47%

1月の時点では「東京五輪の前」(10%)と「五輪後の年内」(48%)を合わせると、「年内解散がよい」と考える有権者が6割で、「来年がよい」と答えた人は4割でした。

この半年で、コロナを巡る情勢が大きく変わりました。年内解散を望む声はしぼみ、有権者にとっては「選挙どころではない」というムードが広がっている様子がうかがえます。

お台場海浜公園沖に設置された五輪マークのモニュメント=2020年3月17日午後、東京・台場、西畑志朗撮影
お台場海浜公園沖に設置された五輪マークのモニュメント=2020年3月17日午後、東京・台場、西畑志朗撮影 出典: 朝日新聞

自民支持層より、ずっと厚い無党派層

では今、総選挙となったら、議席を伸ばしそうな党はどこでしょうか。7月調査で、現時点での比例区投票先を聞いてみました。政党支持率と比較しながら見ていきます。

 

調査で、支持する政党を聞くと、「ない」という人や、明確な回答を避ける人もいます。朝日新聞では、こうした「支持する政党はない」「答えない・分からない」の回答を合わせて無党派層としています。7月調査で、無党派層は55%でした。実は、自民支持層の30%よりずっと多いのです。

ふだんは特定の支持政党がない無党派層も選挙では投票するので、「比例区の投票先」を聞くと、どの政党も、政党支持率より多めの数字が出てきます。

比例区投票先、3番手につけたのは……

特に注目されるのは、維新です。政党支持率ではわずか2%でしたが、比例区投票先では10%が維新に投票すると答え、自民、立憲に次ぐ3番手につけました。年代別にみると、40代の14%、50代の16%が維新と答え、この世代では立憲を上回りました。

維新が無党派層の好感を得ていることは、無党派層に限った比例区投票先を見ると、もっとはっきりします。

【仮に今、衆議院選挙の投票をするとしたら、あなたは、比例区ではどの政党に投票したいと思いますか】
・自民=全体(35%)/無党派層(19%)
・立憲=全体(13%)/無党派層(14%)
・維新=全体(10%)/無党派層(12%)
・公明=全体(6%)/無党派層(4%)
・共産=全体(5%)/無党派層(5%)

無党派層では12%が維新と答え、自民の19%、立憲の14%に迫っています。

大阪府の吉村洋文知事(左)から、新型コロナウイルス感染症対策などに関する要望書を受け取る安倍晋三首相=2020年7月14日午後4時34分、首相官邸、岩下毅撮影
大阪府の吉村洋文知事(左)から、新型コロナウイルス感染症対策などに関する要望書を受け取る安倍晋三首相=2020年7月14日午後4時34分、首相官邸、岩下毅撮影 出典: 朝日新聞

知事のコロナ対応で全国的に注目

比例区投票先は、今年1月の調査でも聞いています。維新副代表の吉村洋文府知事が、コロナ対応で全国的に注目を集め続けているからでしょう。1月と比べると、自民、立憲とも伸び悩む中で、維新の勢いが際立ちます。

【仮に今、衆議院選挙の投票をするとしたら、あなたは、比例区ではどの政党に投票したいと思いますか】
・自民=1月(37%)→7月(35%)
・立憲=1月(15%)→7月(13%)
・維新=1月(6%)→7月(10%)
・公明=1月(6%)→7月(6%)
・共産=1月(6%)→7月(5%)

地域別にみると、維新は1月、大阪では29%と自民と並んでいましたが、東京では5%と、公明や共産を下回っていました。それが7月になると、大阪で35%と自民の25%を引き離しただけでなく、東京でも9%まで増え、10%の立憲に次ぐ3番手になりました。全国に浸透しつつあることがうかがえます。7月の東京都知事選で、推薦候補が61万票余り(得票率9.99%)を獲得したことにも、その勢いが現れています。

地域政党「大阪維新の会」として2010年に誕生した維新。結党10年を経て、いよいよ全国的な広がりを持つ政党に成長するのか、正念場と言えそうです。

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