連載
#16 漫画「あなたそれでも教師ですか」
「部活とか面倒くさい…」美術教師の現実マンガに「なんで柔道部?」
なんで…!!なんで柔道部なんだよ…!!
マンガ「あなたそれでも教師ですか」は、画家を目指しつつ教師になった「新米くん」が、学校での出来事を通じて成長する物語です。
熱血教師とはほど遠い新米くんだからこそ見えてくる、生徒の意外な一面や、学校の「ちょっとずれている」感じが淡々と描かれています。
現在は「部活動編」。家庭を犠牲にしながら部活動に入れ込む同僚がいる一方で、「こうはなりたくない」と感じている新米くんですが…。
◇
新米くんは、学生時代、学校の先生になる道を薦めてきた恩師との会話を思い出しています。
「ところで、新井くん(新米くん)は何か部活やってたの?ほら高校の時とかさ…」
そう尋ねてきた先生に、新米くんは「いえ、万年帰宅部です」と目線を落としながら答えます。「大学でサークル入ろうかと追いましたけど踏み切れず結局絵だけ描いていました」
ただ、そこには確固たる信念があったようで、今度は目線をすっと挙げて強気に「だってほら、部活とか面倒くさくないですか?主に人付き合いとか」と続けます。
これまでの「あなたそれでも教師ですか」のシリーズでは、新米くんが人付き合いに悩んだり、「自分」を深く掘り下げて考えたりする様子が描かれていましたが、新米くんは一人でいることを好む性格のようです。
その新米くんの答えを背に受け、教授は窓の外を見ながら続けます。
「美術部顧問ならね、指導の合間に自分も作品作りできるかもね…」
画家を目指しながら先生の道を選ぼうとしている新米くんにとっては魅力的な一言です。
「特に高校なら、生徒指導にガッツリ時間とられることもないだろうし」「部活なら授業でできないような事も色々できるかもね…」
教授が狙っているのか狙っていないのかはわかりませんが、誘惑は続きます。
それを聞いていた新米くんは、案外単純です。
「確かに…美術部を見たことがないから活動の内容とかは全く謎だけど。完全にイメージでしかないけどとにかくめっちゃ楽しそうだ…!!!」
さっきまで部活を「人間関係とか面倒くさい」と毛嫌いしていた新米くんが、「美術部」という空間に完全に傾倒していっています。
「くそっ、どうしようめっちゃ楽しそうだ…!!」
場面は変わり、高校の道場。「乱取りー」「やー」と、稽古にいそしむ人たちの声が響きます。
ということは…。
学校の先生となった新米くんが任されたのは、柔道部でした。
「なんで…!!なんで柔道部なんだよ…!!」
道場の隅に正座し練習を見守る新米くんの心の声がこだまします。
学校の先生の中には、自分が受け持ちたかった部活動にはすでに顧問の先生がいたので、まったく経験のない部活動の指導にあてられるという話はよく聞きます。そんな先生は、一からそのスポーツなどの勉強を始め、指導を円滑に進めようとしたりしています。
まったく経験のない柔道部の指導をまかされた新米くん。不服さがにじみでていますが、これからどうなっていくのでしょうか。
作者のしろやぎさんに、部活動に対する新米くんの姿勢を聞きました。
【次回予告】
柔道部に配属されて、意気消沈の新米くんに声をかけたのは…。
◇
withnewsでは、しろやぎさんの「あなたそれでも教師ですか」を毎週日曜日に配信予定です。新米くんを軸とした教育現場を描いていきます。
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