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篠田麻里子さん「去年と何違う?」と二度見のポスター 父は気づいた
7月23日は海の日。今年は新型コロナウイルスの影響で海水浴場が開設されないところもありますが、海には危険がつきものです。そんな海の安全を守る海上保安庁では、万が一の時の緊急連絡先「118番」の周知に努めています。110番や119番と並ぶ認知度のアップを目指したポスター、実は今年のものは去年版とひと味違います。イメージモデルを務める篠田麻里子さんも「最初はわからなかった」と言う一方、篠田さんの父親はすぐに気がついたそうです。その違い、みなさんは分かりますか?
じっくり見ていただきましたでしょうか? それでは、篠田麻里子さんが着ている制服の肩にご注目下さい。肩章の線が今年は1本増えて3本になっています。そう、篠田麻里子さんの階級が変わっているのです。
では、なぜ階級が変わったのでしょうか? 海上保安庁に取材してみました。
海上保安庁の広報によると、2019年の階級は「二等海上保安正」、20年は「一等海上保安正」でひとつ階級があがっているとのこと。二等は100トン前後の巡視艇の船長など、一等は180トン前後の巡視船の船長などが主な仕事。この昇級については試験などはなく、経験や評価などから決まるそうです。では、なぜ、篠田さんは昇級したのでしょうか?聞いてみると、
「2年連続でポスターのモデルになって頂いた感謝の一つとして、階級を上げています」(広報官)
粋な計らいだったんですね。では、篠田さん自身はこのことを知っていたのでしょうか? 取材を申し込んでみると、快く引き受けてくれました。
――階級が上がっていたことは知っていましたか?
「私は分からなかったけれど、私のお父さんが『階級上がったね』と言ってくれました。お父さんは海上保安官なんです。今年の撮影にはお父さんも来たのですが、現場で制服を見て『去年より上がっとるやん』って。最初は分からなかったですが、確かに線が増えていました」
――階級があがったこと、率直にどう思われました?
「うれしいですね、一年で上がれるなんて、なかなかないと思うんで。評価されたんでしょうかね。本来なら凄く時間がかかるのに一年で、ありがたい出世です」
――お父さんも海上保安官なんですね。この階級、ぶっちゃけお父さんと比べてどうなんでしょうか?
「聞いてみましょうか?」
(お父さんに連絡)
篠田さんのお父さん「以前は三等海上保安監(一等海上保安正の一つ上)でしたが、退官し再任用となったいまは、三等海上保安正です。なので、今は麻里子が上司です!」
――家族仲が良いんですね。幼いころの思い出はありますか?
「小学生の頃、お父さんが対馬海上保安部(長崎県対馬市)にいたときに『なつぐも』という巡視艇に乗っていたのですが、船の中を探検しましたね。お父さんの二段ベッドの部屋とか。当時は宿舎に住んでいたので、海辺で遊んでいると、知っている海保のみなさんが『何かあったら言いなよ』って声をかけてくれました」
――子どもが生まれて、改めてお父さんの素敵なところが分かったこともあるのでしょうか?
「『118番』のイメージモデルになって、改めて海上保安庁について調べたのですが、やはり大変な仕事も多くて。例えば、対馬にいた時には台風が近づくと、警戒のためによく出動していました。私は家族の思い出がたくさんあるのですが、よくそんな時間が作れたなと。私たちのために一生懸命、時間を作ってくれてたんだなと思います」
――改めて、海の安全に向けてのメッセージをお願いします
「私は幼いころから、お父さんから離岸流の危険性などを教わりました。もちろん、事故がない方が良いので、まずは安全を守って楽しんでほしいなと思います。ただ、夏は海に出かける人たちが多いから、『118番』を頭に入れて、何かあったときにはすぐに電話してもらえたらと思います」
海上保安庁も「新型コロナ対策のため、今夏は開設を見合わせる海水浴場が多数あります。そうした場所で泳ぐことは絶対にやめて、自分の命を守るため、遊泳区域が設定され、監視員やライフセーバーがいる、管理・運営された海水浴場で遊んでください」と注意を呼びかけています。
また、海上保安庁では、118番のほかに聴覚や発話が難しい人でもスマートフォンなどから緊急通報できる「NET118」システムを2019年から導入しました。事前に住所や氏名などを登録することでチャット形式などで通報ができます。広報官は「実際に聴覚に障がいを持つ方の救助事案でも使われているので、積極的につかってほしい」と話しています。
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