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マンガ

「一生誰かに食わせてもらう」と誓った私、料理に目覚めるマンガ

大切な家族を得て変わった未来

若かりし頃、料理はしないとひそかに決意した主人公。恋愛、結婚を経て変わった未来とは…。実録漫画の作者を取材しました。
若かりし頃、料理はしないとひそかに決意した主人公。恋愛、結婚を経て変わった未来とは…。実録漫画の作者を取材しました。 出典: パパ頭さん(@nonnyakonyako)のツイッター

目次

「一生誰かに食わせてもらう」。かつてはそう思い定めていたのに、恋愛や結婚を経て、大の料理好きになってしまった――。そんな実体験を描いた漫画が、幅広い層の共感を集めています。信じられる家族を得たことで、「食事には人と人をつなげる重要な役割がある」と思えるようになったという作者。その言葉には、大切な誰かに対して優しくあるためのヒントが詰まっていました。(withnews編集部・神戸郁人)

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母に料理促され「ムリすぎワロタww」

7月12日、「がんばれ私 きらきら道中 私が料理を始めた理由」と題された、10ページの漫画がツイートされました。

物語は、主人公の男性が、10代だった頃の場面から始まります。「一生誰かに食わしてもらって生きていこう」。彼は部屋で寝転びながら、一人静かに決意を固めます。

出典:パパ頭さん(@nonnyakonyako)のツイッター

というのも、料理のメカニズムが全くわからなかったから。母親に「料理くらいしたら?」と促されても、「ちょwムリすぎワロタww」と、取り付く島もありません。自分の食すら賄えないのに、家族のご飯まで作るなんて……と、諦めムードに浸るばかりです。

しかしあるとき、父親の海外赴任が決まりました。母親と妹も同行することになり、突然の一人暮らしを余儀なくされてしまいます。お米の炊き方すら知らず、かろうじて用意できたのは、白米とカップ麺を組み合わせた「ラーメンライス」。不健康の極みです。

出典:パパ頭さん(@nonnyakonyako)のツイッター

自分のためのご飯さえ、食べられればいい――。そんな思考をほどいたのが、彼女ができたことでした。料理ができず「一生食わしてもらう、それが私の願い」と豪語する姿に、男性は思わず「同族やん!!」。一方でモテたいばかりに「胃袋をつかむ」と決心するのです。

料理本を読み、彩り豊かなレシピについて学んだり、様々な調味料を買いそろえたり……。それまで想像もできなかったような努力を重ね、男性は台所に立ち続けます。「誰か(彼女)のためのご飯」。彼の中で、少しずつ料理の意味合いが変化していくのでした。

出典:パパ頭さん(@nonnyakonyako)のツイッター

作る人も食べる人も、無理のない献立に

仲を深め、やがて夫婦となった二人。ほどなく長男「にに」が誕生します。「息子にはうまいもん食わしてやりたい」。妻も意欲を燃やし、子どもでもおいしく食べられるレシピの研究に没頭します。

出典:パパ頭さん(@nonnyakonyako)のツイッター

焼き魚にサラダ、卵焼きや汁物。栄養満点の献立に、妻も成長した長男も大喜びです。「出産以外何でもできるぜ!」。ハッスルする男性でしたが、事件が起きます。手の込んだメニューを作りすぎて、寝床でも料理のことを考えるほどのノイローゼになったのです。

「もっと楽せなあかん!!」。妻はすぐ動きました。ネット上で調べた、時短レシピの情報を夫と共有。圧力鍋を使い、調理に一時間以上かけていた豚の角煮も、タッパーにコーラを入れ、レンジで10分温めるだけ……といった具合に、楽な方法を採るようになります。

出典:パパ頭さん(@nonnyakonyako)のツイッター

「(私含む)皆のためのご飯」。男性が至ったのは、食べる人も作る人も、無理なく楽しめる料理という考え方でした。

「誰かを想(おも)うからこそ変化できる」。感慨にふける男性を描きつつ、途中で生まれた次男「とと」の離乳食や、ににの弁当作りといった、新たなチャレンジを予感させるシーンで物語は幕を閉じます。

出典:パパ頭さん(@nonnyakonyako)のツイッター

漫画で描いたのは「家族の融和」

複数に分けてツイートされた、今回の漫画。読者からは「めちゃくちゃ素敵な奥さんと、家族のために頑張る旦那さんを尊敬した」「私も喜んでもらえる料理が作りたい」といったコメントが寄せられました。最初の投稿には、21日時点で5万以上の「いいね」がつき、リツイート数も1万5千回を超えています。

作者のパパ頭さん(@nonnyakonyako)は、3歳と0歳の息子二人の父で、育児がテーマの実録漫画「日々のつぶやき」シリーズを手がけてきました。創作で目指しているのは、人間関係の「融和」を描き、物事をポジティブに捉える大切さについて伝えることです。

シリーズの一環として、今回料理を取り上げたのも、家族の仲を取り持つという役割があると考えていたから。多くの人々にとって身近で、共感を得やすい題材である点も理由といいます。

出典:パパ頭さん(@nonnyakonyako)のツイッター

「日本では昔から、炊事は女性の仕事とする傾向が強くありました。経験がない男性も少なくないと感じます。漫画には、何もできない私が技術を獲得する様子を描き、料理に触れたことがない人にも『やってみようかな』と思って欲しい、との気持ちを込めています」

実はパパ頭さん自身、元々「個人主義的な傾向が強かった」のだそう。しかし妻と付き合い始めて以降、「おいしいものを一緒に食べたい」と思うように。誰かと価値を共有する尊さ、そして、そのための手段としての料理の意義を知るきっかけになった、と語ります。

「漫画では価値を共有する対象が、妻・子ども・当初は見落としていた自分へと、変化する様子を描きました。ラストにお弁当の話題を登場させたのも、私の料理を介した人と人とのつながりが、幼稚園などの『社会』にまで広がっていくだろう、と表現したいと思ったためです」

出典:パパ頭さん(@nonnyakonyako)のツイッター

「許し合う」ことで強まる夫婦の結束

そんなパパ頭さんの得意メニューは、幼少期に海外で食べた、中央アジアなどで人気の料理「カザンケバブ」の簡易版。異国情緒あふれる一品で、家族にも人気といいます。

料理を続ける原動力になっているのは、やはり妻子の存在です。特に、学生時代に同じサークルで出会った妻が、一緒に献立を考えてくれるお陰で、楽しく取り組めていると感謝します。今年4月に次男向けの育休が明けて以降、夕飯は手分けしながら作っているそうです。

出典:パパ頭さん(@nonnyakonyako)のツイッター

ところで、漫画でも描かれていたように、夫婦で力を合わせて育児に取り組むには、何が必要なのでしょうか? 尋ねてみると「お互いに許し合うことが大切」との答えが返ってきました。

「育児は基本的に、思った通りにはいきません。部屋が荒れっぱなしで、料理もできない。髪の毛を洗えず、寝不足でほとんど仕事が進まなかったり、洗濯物に手を付けられなかったりする。そうした状況があっても、全く不思議はないと思います」

「夜が来て、布団の上ですやすやと子どもが寝ていたら、『今日も一日よく頑張った』と自分を褒めてあげて欲しい。あまりハードルを高くしない方が、夫婦とも、優しい気持ちでいられるのではないでしょうか」

そして、漫画が話題になったことについては、次のように語ります。

「前向きな感想を持って頂けて、描き手としてうれしい気持ちでいっぱいです。読者の皆さんにおかれましても、それぞれの環境で、自分らしく生活を楽しんでいってもらえたらと思います」

出典:パパ頭さん(@nonnyakonyako)のツイッター

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