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連載

#45 #やさしい日本語

コロナ感染怖いのに「教室にきてください」外国人語学講師の悩み

「お金は大事ですが、健康の方が大事です」

(イラスト・逸見恒沙子)
(イラスト・逸見恒沙子)

目次

日本語(にほんご)にまだ慣(な)れていない人(ひと)にも、分(わ)かりやすい「やさしい日本語(にほんご)」で書(か)きました。
下(した)に「ふりがな」を消(け)した文(ぶん)があります。


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こんにちは。POSSEの岩橋(いわはし)誠(まこと)です。今回(こんかい)は、「英会話(えいかいわ)学校(がっこう)」の先生(せんせい)からの相談(そうだん)です。緊急事態(きんきゅうじたい)宣言(せんげん)が終(お)わりました。でも、コロナウイルスが怖(こわ)いので、会社(かいしゃ)に行(い)きたくないという人(ひと)もいます。今日(きょう)はそのような相談者(そうだんしゃ)です。

オンラインで授業したいです

アレックサンドラさんの悩(なや)み


【アメリカ出身(しゅっしん)、女性(じょせい)、アレックサンドラ】

私(わたし)はアメリカの大学(だいがく)で日本(にほん)の木版画(もくはんが)を勉強(べんきょう)して、日本(にほん)に興味(きょうみ)を持(も)ちました。

日本(にほん)で働(はたら)きたいと思(おも)って、アメリカに居(い)たときに、インターネットで仕事(しごと)を見(み)つけました。

2019年(ねん)の10月(がつ)に東京(とうきょう)に来(き)ました。

仕事(しごと)は、英会話(えいかいわ)学校(がっこう)で先生(せんせい)をしています。子供(こども)や大人(おとな)に、マンツーマンやグループのレッスンをしています。

給料(きゅうりょう)は、毎月(まいつき)18万(まん)円(えん)くらいもらっていました。でも私(わたし)は「フリーランス」でした。

「フリーランス」は会社(かいしゃ)の社員(しゃいん)ではなく、自分(じぶん)で仕事(しごと)をしている人(ひと)です。

日本(にほん)に来(く)るときに、私(わたし)は「フリーランス」を選(えら)びました。でも、社員(しゃいん)と何(なに)が違(ちが)うのかよくわからなかったです。

フリーランスなので、健康保険(けんこうほけん)は、自分(じぶん)で入(はい)らなければいけませんでした。

給料(きゅうりょう)はレッスンをしたときだけしか、もらえません。自分(じぶん)で休(やす)みにしたときは、レッスン1回(かい)につき、500円(えん)の「罰金(ばっきん)」がありました。

そして、2月(がつ)から、コロナウイルスが広(ひろ)がりました。私(わたし)は「ぜんそく」の病気(びょうき)があります。だから、コロナウイルスになると、病気(びょうき)がひどくなるかもしれないので、心配(しんぱい)でした。

レッスンをするときは、私(わたし)は生徒(せいと)と近(ちか)いところで話(はなし)をします。教室(きょうしつ)はドアをしめています。窓(まど)がない教室(きょうしつ)もありました。ウイルスにうつりやすい「3密(みつ)」のような場所(ばしょ)です。

(イラスト・逸見恒沙子)
(イラスト・逸見恒沙子)
アレックサンドラさんの悩(なや)み



教室(きょうしつ)に来(く)る生徒(せいと)も少(すく)なくなりました。3月(がつ)は給料(きゅうりょう)が8万(まん)円(えん)しかもらえませんでした。家賃(やちん)を払(はら)うと、2万(まん)円(えん)しか残(のこ)りませんでした。 5月(がつ)はすべてのレッスンが休(やす)みになりました。

6月(がつ)からレッスンがまた始(はじ)まりました。

会社(かいしゃ)はユーカリを教室(きょうしつ)に置(お)きました。会社(かいしゃ)は「ユーカリはウイルスをなくす効果(こうか)がある」と言(い)います。でも、私(わたし)はユーカリでコロナウイルスがなくなることはないと思(おも)いました。

教室(きょうしつ)で教(おし)えることは、コロナウイルスにうつるかもしれないので、怖(こわ)いです。私(わたし)は、英会話(えいかいわ)学校(がっこう)で、オンラインの授業(じゅぎょう)をしています。だから会社(かいしゃ)に「私(わたし)は、自分(じぶん)の家(いえ)でオンラインで、レッスンをさせてほしいです」とお願(ねが)いしました。

でも、会社(かいしゃ)は「それはダメです。オンラインのレッスンでも、教室(きょうしつ)まで来(き)てください」と言(い)いました。 なぜ家(いえ)でオンラインのレッスンができないのか、私(わたし)は理由(りゆう)がわかりません。

お金(かね)は大事(だいじ)ですが、自分(じぶん)の健康(けんこう)のほうが大事(だいじ)です。どうすればいいですか。

コロナウイルスはまだ終わっていません

緊急事態(きんきゅうじたい)宣言(せんげん)は終(お)わりました。でも、コロナウイルスにうつる人(ひと)はまだいます。日本(にほん)政府(せいふ)は、「たくさんの人(ひと)が狭(せま)い場所(ばしょ)に集(あつ)まらないようにしてください」「会社(かいしゃ)は、働(はたら)く人(ひと)が家(いえ)から仕事(しごと)をすることができるようにしてください」とお願(ねが)いしています。

日本(にほん)の法律(ほうりつ)では、会社(かいしゃ)は働(はたら)く人(ひと)の健康(けんこう)を守(まも)らなければいけません(安全(あんぜん)配慮(はいりょ)義務(ぎむ))。でも、コロナウイルスにうつらないようにするために、会社(かいしゃ)がしなければいけないことは、決(き)まっていません。

アレックサンドラさんはPOSSEにメールで相談(そうだん)しました。POSSEはアレックサンドラさんに、労働(ろうどう)組合(くみあい)(ユニオン)に入(はい)るように勧(すす)めました。ユニオンは、働(はたら)く人(ひと)が集(あつ)まって、働(はたら)く環境(かんきょう)を良(よ)くする団体(だんたい)です。 働(はたら)く人(ひと)は、自分(じぶん)が安心(あんしん)して働(はたら)くことができる環境(かんきょう)を、自分(じぶん)で求(もと)めることができます。ユニオンは、それを一緒(いっしょ)にやります。

例(たと)えば、総合(そうごう)サポートユニオンという労働(ろうどう)組合(くみあい)に、コールセンターで働(はたら)く人(ひと)が「ウイルスにうつるのが心配(しんぱい)です」と相談(そうだん)しました。組合(くみあい)と働(はたら)く人(ひと)たちは一緒(いっしょ)に、会社(かいしゃ)に「一緒(いっしょ)の時間(じかん)に働(はたら)く人(ひと)を減(へ)らしてください」とお願(ねが)いしました。そして、そのコールセンターでは、一緒(いっしょ)の時間(じかん)に働(はたら)く人(ひと)を減(へ)らしました。となりの人(ひと)と2メートル離(はな)れて働(はたら)くことができるようになりました。
(イラスト・逸見恒沙子)
(イラスト・逸見恒沙子)

本当は「労働者」かもしれません

アレックサンドラさんのもう一(ひと)つの問題(もんだい)は、会社(かいしゃ)は「アレックサンドラさんはフリーランスです」と言(い)っていることです。でも、アレックサンドラさんのやっていることは「会社(かいしゃ)が雇(やと)って働(はたら)いている人(ひと)(労働者(ろうどうしゃ))」と同(おな)じだと思(おも)います。

もし、フリーランスであれば、自分(じぶん)で働(はたら)く時間(じかん)や仕事(しごと)のやり方(かた)を決(き)めることができます。「フリーランス」なのに、会社(かいしゃ)がお願(ねが)いした仕事(しごと)をするだけだったら、日本(にほん)の法律(ほうりつ)では、問題(もんだい)になります。会社(かいしゃ)はアレックサンドラさんを雇(やと)わなければいけません。

そうすれば、アレックサンドラさんは会社(かいしゃ)の健康保険(けんこうほけん)に入(はい)ることができます。仕事(しごと)が休(やす)みになったときも、給料(きゅうりょう)をもらうことができます。会社(かいしゃ)を辞(や)めた後(あと)も、お金(かね)(失業(しつぎょう)手当(てあて))をもらうことができます。

これから、組合(くみあい)と一緒(いっしょ)に、会社(かいしゃ)に働(はたら)く環境(かんきょう)をよくすること、きちんと雇(やと)って働(はたら)くことができるように、求(もと)めていった方(ほう)が良(よ)いでしょう。
(イラスト・逸見恒沙子)
(イラスト・逸見恒沙子)

 

NPO法人(ほうじん)「POSSE(ポッセ)」はメールで相談(そうだん)できます。日本語(にほんご)、英語(えいご)でも大丈夫(だいじょうぶ)です。24時間(じかん)いつでもできます。お金(かね)はいりません。supportcenter@npoposse.jp

 

生活に困窮する英会話学校の講師たち

POSSE外国人労働サポートセンターに寄せられる相談のうち、一番多い業種は「語学講師」です。外国人からの相談の5割ほどが、中学・高校の英語講師や、いまや全国各地にある英会話学校の講師などから寄せられています。 語学講師の労働環境は比較的よいと思われているかもしれません。しかし、語学講師の全体の約7割は非常勤講師であり、不安定な立場に置かれています。

また、時給も高くありません。アレックサンドラさんは、1回44分のレッスンあたり基本給1000円に加えて、一度に教える生徒数に応じて加算手当(200円から500円)が支給されるだけで、手取りが20万円を超えたのはわずか1ヶ月だけでした。

さらに、労働者としてではなく「個人事業主(フリーランス)」として扱われ、自分で健康保険や年金を支払わなければいけないケースも多々あります。つまり、手取り20万円から更に保険料を支払うことになります。また、個人事業主は雇用保険に加入していないため、会社を辞めても失業給付を受けることができません。そのため、退職後に生活が急に不安定になってしまいます。

そこに「3密」問題が加わります。対面レッスンはどうしても生徒と講師との距離が近くなってしまいます。また、通常であれば、会話が聞こえやすいようにドアや窓を閉めるでしょう。これを1日に何人もの生徒と行わなければいけません。「コロナウイルスに感染してしまうかも」と不安になる気持ちはよくわかります。


英語教育の拡充が叫ばれる中、実際に英語などの語学を教えている労働者が、どのような環境で働いているのかにも注目していくことが大切ではないでしょうか。
 

withnewsでは、日本語に慣れていない人でもわかりやすい「やさしい日本語」に取り組んでいます。

社会が混乱したときに、日本で働く誰もが困らないための知識を、NPO法人「POSSE」の岩橋誠さんと、やさしい日本語で発信することにしました。毎週金曜日に配信します。

【NPO法人 POSSE(ポッセ)】
2006年に、大学生や若手社会人が中心となって立ち上げた労働相談・労働教育のNPO。「ブラック企業」や「ブラックアルバイト」など、若者の働くことや生活・奨学金の相談を年間1500件以上受けている。2019年4月に、英語・日本語で対応する「外国人労働サポートセンター」を設置。

POSSEでは学生・社会人ボランティアを募集しています。労働相談の対応から通訳・翻訳など、いろいろな形で外国人労働者の権利を守るための取り組みに関わることができます。 supportcenter@npoposse.jpにご連絡ください。

【機械翻訳用】ふりがな なし
◆コロナ感染怖いのに「教室にきてください」外国人語学講師の悩み

こんにちは。POSSEの岩橋誠です。今回は、「英会話学校」の先生からの相談です。緊急事態宣言が終わりました。でも、コロナウイルスが怖いので、会社に行きたくないという人もいます。今日はそのような相談者です。

■オンラインで授業したいです

【悩み】アメリカ出身、女性、アレックサンドラさん

私はアメリカの大学で日本の木版画を勉強して、日本に興味を持ちました。 日本で働きたいと思って、アメリカに居たときに、インターネットで仕事を見つけました。2019年の10月に東京に来ました。

仕事は、英会話学校で先生をしています。子供や大人に、マンツーマンやグループのレッスンをしています。 給料は、毎月18万円くらいもらっていました。でも私は「フリーランス」でした。「フリーランス」は会社の社員ではなく、自分で仕事をしている人です。日本に来るときに、私は「フリーランス」を選びました。でも、社員と何が違うのかよくわからなかったです。

フリーランスなので、健康保険は、自分で入らなければいけませんでした。給料はレッスンをしたときだけしか、もらえません。自分で休みにしたときは、レッスン1回につき、500円の「罰金」がありました。

そして、2月から、コロナウイルスが広がりました。私は「ぜんそく」の病気があります。だから、コロナウイルスになると、病気がひどくなるかもしれないので、心配でした。 レッスンをするときは、私は生徒と近いところで話をします。教室はドアをしめています。窓がない教室もありました。ウイルスにうつりやすい「3密」のような場所です。

教室に来る生徒も少なくなりました。3月は給料が8万円しかもらえませんでした。家賃を払うと、2万円しか残りませんでした。 5月はすべてのレッスンが休みになりました。6月からレッスンがまた始まりました。

会社はユーカリを教室に置きました。会社は「ユーカリはウイルスをなくす効果がある」と言います。でも、私はユーカリでコロナウイルスがなくなることはないと思いました。 教室で教えることは、コロナウイルスにうつるかもしれないので、怖いです。

私は、英会話学校で、オンラインの授業をしています。だから会社に「私は、自分の家でオンラインで、レッスンをさせてほしいです」とお願いしました。でも、会社は「それはダメです。オンラインのレッスンでも、教室まで来てください」と言いました。

なぜ家でオンラインのレッスンができないのか、私は理由がわかりません。お金は大事ですが、自分の健康のほうが大事です。どうすればいいですか。

■コロナウイルスはまだ終わっていません
緊急事態宣言は終わりました。でも、コロナウイルスにうつる人はまだいます。日本政府は、「たくさんの人が狭い場所に集まらないようにしてください」「会社は、働く人が家から仕事をすることができるようにしてください」とお願いしています。 日本の法律では、会社は働く人の健康を守らなければいけません(安全配慮義務)。でも、コロナウイルスにうつらないようにするために、会社がしなければいけないことは、決まっていません。

アレックサンドラさんはPOSSEにメールで相談しました。POSSEはアレックサンドラさんに、労働組合(ユニオン)に入るように勧めました。ユニオンは、働く人が集まって、働く環境を良くする団体です。 働く人は、自分が安心して働くことができる環境を、自分で求めることができます。ユニオンは、それを一緒にやります。

例えば、総合サポートユニオンという労働組合に、コールセンターで働く人が「ウイルスにうつるのが心配です」と相談しました。組合と働く人たちは一緒に、会社に「一緒の時間に働く人を減らしてください」とお願いしました。そして、そのコールセンターでは、一緒の時間に働く人を減らしました。となりの人と2メートル離れて働くことができるようになりました。

■本当は「労働者」かもしれません
アレックサンドラさんのもう一つの問題は、会社は「アレックサンドラさんはフリーランスです」と言っていることです。でも、アレックサンドラさんのやっていることは「会社が雇って働いている人(労働者)」と同じだと思います。もし、フリーランスであれば、自分で働く時間や仕事のやり方を決めることができます。

「フリーランス」なのに、会社がお願いした仕事をするだけだったら、日本の法律では、問題になります。会社はアレックサンドラさんを雇わなければいけません。そうすれば、アレックサンドラさんは会社の健康保険に入れます。仕事が休みになったときも、給料をもらうことができます。会社を辞めた後も、お金(失業手当)をもらうことができます。

これから、組合と一緒に、会社に働く環境をよくすること、きちんと雇って働くことができるように、求めていった方が良いでしょう。

■生活に困窮する英会話学校の講師たち
POSSE外国人労働サポートセンターに寄せられる相談のうち、一番多い業種は「語学講師」です。外国人からの相談の5割ほどが、中学・高校の英語講師や、いまや全国各地にある英会話学校の講師などから寄せられています。 語学講師の労働環境は比較的よいと思われているかもしれません。しかし、語学講師の全体の約7割は非常勤講師であり、不安定な立場に置かれています。

また、時給も高くありません。アレックサンドラさんは、1回44分のレッスンあたり基本給1000円に加えて、一度に教える生徒数に応じて加算手当(200円から500円)が支給されるだけで、手取りが20万円を超えたのはわずか1ヶ月だけでした。

さらに、労働者としてではなく「個人事業主(フリーランス)」として扱われ、自分で健康保険や年金を支払わなければいけないケースも多々あります。つまり、手取り20万円から更に保険料を支払うことになります。また、個人事業主は雇用保険に加入していないため、会社を辞めても失業給付を受けることができません。そのため、退職後に生活が急に不安定になってしまいます。

そこに「3密」問題が加わります。対面レッスンはどうしても生徒と講師との距離が近くなってしまいます。また、通常であれば、会話が聞こえやすいようにドアや窓を閉めるでしょう。これを1日に何人もの生徒と行わなければいけません。「コロナウイルスに感染してしまうかも」と不安になる気持ちはよくわかります。

英語教育の拡充が叫ばれる中、実際に英語などの語学を教えている労働者が、どのような環境で働いているのかにも注目していくことが大切ではないでしょうか。