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コロナで髪はプリン、合コンも…大学生が見つけた「小さな楽しみ」

郵便受けのチェックが日課になった理由

コロナで一変した生活、そんな中、大学生が見つけた「楽しみ」とは?
コロナで一変した生活、そんな中、大学生が見つけた「楽しみ」とは?

目次

新型コロナウイルスによる「自粛期間」を、大学生はどのように過ごしたのでしょうか? 都内の大学に通う女子大生は、美容室いけなくなって「プリン」になった髪にため息をつきながら、シフトの減ったバイトで経済に与える厳しさを目の当たりにします。そんな中、見つけた「ささやかな楽しみ」。女子大生のリアルな日常を関ゆみんさんにつづってもらいました。

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郵便受けに行くのが楽しみに

大学2年生の私は、芸人たかまつななさんの主宰する笑下村塾で学生記者として活動している。新型コロナウイルスは、普通の大学生の生活も大きく変えた。

今、私は朝8時、郵便受けをのぞくのが日課になっている。

これまで、家の郵便受けは学校帰りにたまに確認したり、家族に頼まれたりした時くらいしか使っていなかった。

入っているのは山形県にいる友達から届く手紙。最近のちょっと面白かった話や直接言うのは恥ずかしいけど今だからこそ言える私への率直な思いなどを読むと、何だか安心して、照れくさいけれど幸せな気持ちになる。

もちろん友だちとはLINEでつながっているし、スマホでメッセージやりとりすることも少なくない。

書くまでに1時間はかかって、写真を送ろうとするならコンビニでプリントアウトしなければならない「不便」な手紙。その楽しみに気づいたきっかけは、コロナによる不自由な生活だった。

日課になった郵便受けのチェック ※写真はイメージです
日課になった郵便受けのチェック ※写真はイメージです 出典:https://pixta.jp/

美容室に行けない、髪は「プリン」状態

コロナ後、私のスケジュールからは合コンや友達との遊びの予定が消え、楽しみにしていたサークルの合宿は中止になった。

SNSの友達の充実した「おうち時間」投稿がうらやましくなるけれど、私には投稿できるようなネタはない。むしろ、私にはちょっとした悩みの種がいくつも生まれた。 
 
一番、悩ましかったのは自分の髪のこと。美容室に行けないために、髪は伸び放題で、根元以外の髪色が抜けた「プリン」状態に。せっかくおしゃれな服を着て鏡の前に立っても、自分の髪の根元に目がいってしまい、がっかりする。オンラインの画面越しでも友達にはバレバレのようで、恥ずかしい。

自粛期間中、多くの美容室が経営困難になっているというニュースを目にした。行きたいのに行けない中で、このような話を聞くと、もどかしさやむなしさを感じ続けた。

美容室に行けず髪の色が「プリン」に……
美容室に行けず髪の色が「プリン」に……

激減するバイト代

バイト代が激減したことも、気が重くなる要素の一つとなった。週2~3回入れていたバイトのシフトが、バイト先の菓子販売店の臨時休業により、ほとんどなくなってしまった。

自粛期間、友達と遊ぶことが全く無くなったために、出費が減ったことも事実だが、教科書や勉強道具を買いそろえなければならない新学期に収入が少ないのは苦しかった。

バイト先の社長からは「申し訳ない」というメールが送られてきた。大学の友達の多くも同じ状況だという。

先日、久しぶりにシフトに入ることができたのだが、私なんかよりもっと大変な状況にあるであろう、フリーターやパートの先輩方がいつものように笑顔で仕事をしていた。そして、そうすることしかできない今の状況に寂しさを覚えた。

「東京アラート」の発動を受けて警戒を呼びかける赤色にライトアップされた東京都庁=2020年6月2日午後11時33分、東京都新宿区、長島一浩撮影
「東京アラート」の発動を受けて警戒を呼びかける赤色にライトアップされた東京都庁=2020年6月2日午後11時33分、東京都新宿区、長島一浩撮影 出典: 朝日新聞

「うちで過ごそう」投稿に疑問

SNSでは、「うちで過ごそう」「おうち時間を充実させよう」と呼びかけがされ、インフルエンサーが充実した過ごし方を発信している。

人々の自粛を広めるためには効果的だということは十分理解できるし、私もそのような投稿を楽しく見ている半面、自分の今の生活と比較して、よい部分しか切り取られていない情報が多いことに疑問を感じてきた。

実際、 DV、精神的ストレスによる自殺、貧困の報道があるし、収入の少なさに困っている友達や帰省できずに寂しい思いをしている友達の存在や、近所でのDV騒動なども見聞きする。自分の身近でも「おうちで過ごす」ことのマイナスな面が浮き彫りになっているように感じている。

誰だって、この自粛期間中にストレスを感じることが何かしらあるはずだと思うのだ。「うちで過ごそう」のハッシュタグを見るたび、もっとリアルな日常に寄り添った情報が欲しいと感じた。

多くの部屋に明かりがともるタワーマンション。手前は真っ暗な選手村=2020年5月2日午後7時12分、東京都中央区、嶋田達也撮影
多くの部屋に明かりがともるタワーマンション。手前は真っ暗な選手村=2020年5月2日午後7時12分、東京都中央区、嶋田達也撮影 出典: 朝日新聞

地方に住む友人と始めたこと

「こんな時だし、なんかおもしろいことやろうよ」

地方に住む友達からの軽い提案から始まったのが文通だった。

いざ書いてみると、LINEやDMでメッセージをやり取りするときとは違い、言葉選びが慎重になる。緊張して書き間違え、何度も書き直した。だからこそ、友達からもらった手紙の一言一句に重みが感じられて、久しぶりに心がじんわりあたたかくなった。

「文通って良くない?」と、友達の間でちょっとした文通ブームも起こった。自粛期間で時間に余裕がなければできないことであったろう。

人に言いたくないような格好悪いことばかりで、目指していた、キラキラ大学生活とはほど遠い日々を送る私。でも、たまに良いこともあることも事実なのだ。

そういうちょっとしたうれしいことを楽しみに、髪の「プリン」や少ないバイト代の悩みにも前向きに向き合っていかなければ、と思う。

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