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お金と仕事

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ふふふさんからの取材リクエスト

法廷画の独特なタッチはどうして?



裁判報道の絵、あの独特なタッチの正体は? 知られざる法廷画の世界

柚木恵介さんに「法廷画風」に書いてもらいました
柚木恵介さんに「法廷画風」に書いてもらいました

目次

取材リクエスト内容

ニュースや新聞記事を見て気になりました。法定絵師の方は、一体どのような経歴や職歴を辿ってあの仕事はたどり着いているのでしょうか? 沢尻エリカ被告やカルロス・ゴーンのイラスト、似ているだけでなく、独特のタッチがあって気になりました…ぜひ深掘りをお願いします! ふふふ

記者がお答えします!

新聞やテレビが報じる裁判のニュースで、被告人や裁判官の様子を描いた「法廷画」が登場することがあります。普段何げなく目にする法廷画は、一体どのような人が描いているんでしょうか。そして、どこか似ているあのタッチは一体……。読者からの質問を受け、調べてみました。

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裁判報道で見かける「法廷画」とは
裁判報道で見かける「法廷画」とは 出典: 朝日新聞

法廷内での撮影はNG

話を聞いたのは、朝日新聞で法廷画を描き始めて6年になる柚木(ゆのき)恵介さん(41)です。最近では、相模原市の障害者施設で起きた殺傷事件に関する裁判を担当しました。

日本の裁判所では、報道などの目的で裁判官の許可があった場合、審理が始まる前の廷内撮影は認められていますが、それ以外は禁止となっています。メモやイラストは認められているので、裁判の様子を視覚的にも伝えたい場合、新聞社やテレビ局は法廷画家に依頼をするのが一般的です。

【関連】柚木さんが法廷画を担当した裁判記事はこちら

独特のタッチは「クロッキー」

柚木さんによると、法廷画の仕事は傍聴席の位置取りから始まります。「被告人がどこに位置してもいいように、報道関係者が座るエリアの中でもできるだけ前列を取ります。ほかのマスコミの画家も狙っているので、早くから待機していることもあります」

座席を確保したら、スケッチの開始です。裁判官との位置関係などから、絵の構図を決め、スケッチブックに鉛筆を走らせていきます。限られたスペースなので、法廷に持ち込むのは、他に修正用の「練り消し」だけ。スケッチに目処が立ったら、裁判の途中でも退室し、別の場所で色づけなどの仕上げをします。

「注目事件では傍聴人も増えるので、一つの席を他の画家たちと順番で座ることも。ある裁判では、持ち時間が2分だったこともあります。そうでなくても速報記事にあわせて完成させることを求められることもあるので、10分以内にはスケッチを終わらせます」

まさに時間との戦い。そこで柚木さんが用いているのは、短時間で人物を写生する「クロッキー」という描き方です。

シンプルな線で特徴を素早く捉えていく画家にとっては基礎技術の一つで、「美大受験の時は、通学の電車で座っている人などをモデルに毎日練習していました」と柚木さん。読者が気になっていた独特のタッチについては、「時間の制約上、クロッキーの人が多いからだと思います」と回答してくれました。

鉛筆と練り消しで下書きをし、カラーマーカーの「コピック」(左)で色づけする
鉛筆と練り消しで下書きをし、カラーマーカーの「コピック」(左)で色づけする

事実にこだわる

法廷画を描く上で、時間以外に柚木さんが意識しているのが、事実にこだわることです。「当たり前の話ですが、写真や動画の代わりとしてニュースで流れます。分かりやすく伝えるために構図などを工夫することはありますが、あくまで目で見たままを描いています」

印象に残っているのが、初めて法廷画を担当した時に記者から、「ネクタイの色と柄にも気をつけて」と言われたことです。「間違っている部分があると、ニュース全体の信頼にも関わる。毎回、緊張感を持ってのぞんでいます」

あわせて、描く前に先入観を持ちすぎないようにしているとも言います。「法廷で被告人を見たときに、自分のイメージと違うと動揺してしまうので。最低限の情報だけ入れるようにしています」。また、著名人の時は多くの人が顔を知っているので、特有の難しさがあるそうです。

記者の似顔絵を描く柚木さん
記者の似顔絵を描く柚木さん

きっかけは紹介、あくまで「副業」

柚木さんが法廷画を描くことになったのは、デザイン科の教員として在籍していた母校・東京藝術大で、先輩から紹介されたことがきっかけでした。「海外に移住するので描けなくなるからということで頼まれました。その先輩も紹介で引き受けたと聞いています」

その後、柚木さんは法政大デザイン工学部の教員を経て、2019年からは秋田公立美術大へ。美術学部の准教授として、プロダクトデザインを教えています。なので、法廷画家はあくまで「副業」です。「最近描いた裁判は横浜地裁であったのですが、東京に滞在する予定があったので引き受けました。依頼がいつ来るか分からないので、本業にはなかなかしづらいかなと思っています」

教える立場になったり、色々な創作活動したりするようになった一方、手描きをする場面はなくなっていたという柚木さん。法廷画は「プロとして向き合える貴重な機会」だと言います。「チャンスがあれば、これからも続けていきたいです」

大学の研究室から、オンラインでの取材に応じた柚木さん
大学の研究室から、オンラインでの取材に応じた柚木さん

短い時間にプロの仕事

取材の最後、柚木さんにお願いして「法廷画風」に私を描いてもらいました。目や鼻から描き始め、5分ほどで似顔絵が完成。スーツを着せてもらい、架空の裁判官なども付け加えてもらうと、ニュースで見かける絵ができあがりました。

鉛筆が生き物のように、短い線、長い線、薄い線、濃い線と迷いなく動く。わずかな時間に詰まったプロの技を見ました。

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