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会えたら相当ラッキー!マスク姿の路面電車 札幌市電の切実な願い
ノスタルジックな顔つきにジャストフィット
新型コロナウイルス感染予防で日常の風景となったマスク姿。札幌市の路面電車もマスクを着けて走り始め、その姿が「かわいい」と評判です。企画した市交通事業振興公社に狙いを聞きました。(北林慎也)
「僕もマスク着けてみました」
そんなコメントを添えて6月2日、札幌市交通事業振興公社がツイッターに投稿した写真が話題になっています。
路面電車(市電)の車両に、やや小ぶりなマスクを着けた写真。
ちょうど丸目2灯の前照灯が人間の目のようで、マスク姿の人の顔にも見えます。
投稿へのリプライには、「超かわいい」「似合ってる」といった反響が寄せられました。
この車両は、6月3日から実際に札幌市内を走り始めました。
マスクを着けて走っているのは、市電あわせて36両のうち、210形211号車と240形241号車の2両。
いずれも1950~1960年代製造の、ノスタルジックな顔つきが人気の車両です。
路上や停留場で遭遇する確率は18分の1。目の当たりにできれば相当にラッキーかもしれません。
幸運にも“マスク市電”に出くわした札幌市民からは、驚きの声と共にSNS投稿が相次いでいます。
「市電がマスクつけてて草」
「慌ててスマホで撮った」
「何げない遊び心に癒やされる」
この楽しげでファニーな企画の狙いを、札幌市交通事業振興公社に聞きました。
市電はこの春から、経営の効率化による累積赤字解消を目指し、同公社が運行主体となっています。
――車両にマスクを着けた意図は?
「これまで、乗車時のせきエチケットをお願いしてきたところですが、6月2日からはマスク着用のお願いに切り替えたところであり、ポスターなどと併せてPRしたいと考えてのことです」
――210形と240形を選んだ理由は?
「2眼の前照灯が目のように見えることから、旧型の車両を選びました」
――マスクの大きさや素材は?
「大きさは縦45センチ×横65センチ程度。廃棄予定だった水道ホースやテーブルクロスを再利用したものです」
――見た人からは「かわいい」と評判です。反響の受け止めは?
「暗いニュースが多い中、好意的に受け取っていただいているご意見が多いことに感謝します」
北海道では6月1日、すべての業種に対する休業要請が解除されました。
一方で、札幌市と道内の他地域との間の不要不急の往来については引き続き「慎重な対応」を求めるなど、感染拡大への警戒を緩めていません。
市電も、停車のたびに前後のドアを開けて換気したり、混雑緩和のために利用者に時差出勤を呼びかけたりといった対策を続けています。
同公社ではマスク姿の市電を通じて、あらためてマスク着用の徹底を呼びかけています。
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