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連載

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#33 ○○の世論

安倍内閣にそっぽ向いた人 世論調査が示す「支持率最低」の中身

コロナと「検察庁法」が呼び起こしたもの

街頭演説に集まった支持者らと握手をして回る安倍首相=2017年10月14日、神戸市東灘区、橋本弦撮影
街頭演説に集まった支持者らと握手をして回る安倍首相=2017年10月14日、神戸市東灘区、橋本弦撮影 出典: 朝日新聞

目次

5月下旬の朝日新聞社の全国世論調査(電話)で、安倍内閣の支持率は第2次安倍政権で最低の29%となりました。性年代別に分析してみると、低かったのは女性、とりわけ50代と60代の女性で、政治への関心もひときわ高まっていました。(朝日新聞記者・君島浩)

政治への関心、高まる

5月23、24日に実施した調査では、次のような質問をしました。

 

関心が「高くなった」は全体で48%。こうした意識の変化を探る質問をすると、「変わらない」が多数を占める傾向がある中で、半数近くが「高くなった」と答えました。関心の高まりを表している結果と言えます。

男女別に見ると、「高くなった」女性は56%。男性の39%より多く、中でも50代女性は58%、60代女性では65%もいました。

緊急事態宣言発令のニュースを映すJR名古屋駅前の大型ビジョン=2020年4月7日午後6時3分、名古屋市中村区、上田潤撮影
緊急事態宣言発令のニュースを映すJR名古屋駅前の大型ビジョン=2020年4月7日午後6時3分、名古屋市中村区、上田潤撮影 出典: 朝日新聞

50代、60代が関心寄せた「検察庁法」

政治の話題といえば、やはり新型コロナウイルスですが、それだけではありません。

政府の判断で検察幹部の定年を延長できるようにする検察庁法の改正案をめぐり、きゃりーぱみゅぱみゅさんや小泉今日子さんらがツイッターなどで抗議の声を上げたこともトピックになりました。このことも政治への関心を高めるきっかけになったようです。

【検察庁法の改正案をめぐり、芸能人をはじめ多くの人がツイッターなどで発言しています。こうした発言にどの程度、関心がありますか】
・大いに関心がある=全体(14%)/男性(13%)/女性(14%)/50代女性(14%)/60代女性(16%)
・ある程度関心がある=全体(39%)/男性(34%)/女性(43%)/50代女性(56%)/60代女性(48%)
・あまり関心はない=全体(31%)/男性(33%)/女性(30%)/50代女性(21%)/60代女性(33%)
・まったく関心はない=全体(14%)/男性(18%)/女性(11%)/50代女性(9%)/60代女性(1%)
※その他・答えないは省略。RDD方式で、5月16、17の両日に全国の有権者を対象に調査した。

5月中旬の調査で、こうした発言への関心度を聞いたところ、「関心がある」女性は、「大いに」と「ある程度」を合わせて57%。男性の47%を上回りました。女性の中でも、やはり50代は70%、60代は64%が、関心を寄せていました。

検察庁法改正案に抗議するため、国会前に集まった人たち。新型コロナウイルスの感染防止のため、声を上げずに抗議の意思を示す「サイレントデモ」だ。主催者が2メートル以上の間隔を空けるよう呼びかけた=2020年5月13日午後7時23分、東京都千代田区、林敏行撮影
検察庁法改正案に抗議するため、国会前に集まった人たち。新型コロナウイルスの感染防止のため、声を上げずに抗議の意思を示す「サイレントデモ」だ。主催者が2メートル以上の間隔を空けるよう呼びかけた=2020年5月13日午後7時23分、東京都千代田区、林敏行撮影 出典: 朝日新聞

内閣への厳しい評価

政治への関心が高まった女性が、安倍内閣に下した評価は厳しいものでした。

 

安倍内閣の支持率が最低を記録した5月下旬の調査。女性の支持率は25%と男性の33%より低く、特に50代女性は18%、60代女性は20%まで落ちました。不支持率も高く、50代女性は67%、60代女性は66%と、7割近くを占めました。

朝日新聞の世論調査では、回答があいまいだった場合などは「その他・答えない」に分類しています。「その他・答えない」は、一般的に男性より女性の方が多く、5月下旬の調査の内閣支持の質問に対しても、男性は16%で、女性は22%でした。しかし、50代女性は15%、60代女性は14%と比較的少なく、この世代の女性がきっぱり意見を述べている様子がうかがえます。

緊急事態宣言の解除について記者会見する安倍晋三首相=2020年5月25日午後6時10分、首相官邸、岩下毅撮影
緊急事態宣言の解除について記者会見する安倍晋三首相=2020年5月25日午後6時10分、首相官邸、岩下毅撮影 出典: 朝日新聞

首相への信頼感が低下

背景には、何があるのでしょうか。5月下旬の調査では、安倍首相その人に対する信頼感についても尋ねてみました。

【新型コロナウイルスをめぐる安倍首相の対応を見て、首相への信頼感は……】
・高くなった= 全体(5%)/男性(4%)/女性(6%)/50代女性(4%)/60代女性(6%)
・低くなった=全体(48%)/男性(49%)/女性(48%)/50代女性(57%)/60代女性(61%)
・変わらない=全体(45%)/男性(46%)/女性(44%)/50代女性(39%)/60代女性(30%)

「低くなった」人が半数近くおり、首相に対する信頼感がかなり低下していることがうかがえます。男女別の回答に大きな差は見られませんが、50代女性は57%、60代女性は61%が、首相への信頼感が「低くなった」と答えており、安倍首相のコロナ対応に不信感を募らせていることが分かります。

5月下旬の調査では、与党・自民党の支持率も第2次政権で最低の26%に下がりました。やはり男性の30%と比べて、女性は22%と低く、50代の女性は17%、60代の女性は18%と2割を切りました。

第2次安倍政権での内閣支持率は、もともと「男高女低」でした。7年余りにわたる長期政権で、一貫して女性の支持率は男性を下回っています。ただ、年代で区切ってみてこれほど特徴があらわれた例はそれほど多くありません。

今回の結果が偶然で一時的なものなのか、それとも大きな変化の兆しなのか。今後の調査でも、目を凝らしていきたいと思っています。

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