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ドラえもん感動の新聞広告の舞台裏「未来なんてどんどん変わるから」
「だいじょうぶ。未来は元気だよ。」メッセージが生まれた理由

「だいじょうぶ。未来は元気だよ。」
「ドラえもんからのメッセージ」は4月29日、朝日新聞朝刊に掲載されました。マスクをつけて、こちらを見つめるドラえもんとともに、次のようなメッセージが綴られています。

ちゃんと手を洗ってくれたから。
家族を想ってくれたから。
ともだちと支え合ってくれたから。
やさしい気持ちでいてくれたから。
病気の人を助けてくれたから。
みんなのために働いてくれたから。
未来をあきらめないでいてくれたから。
だいじょうぶ。未来は元気だよ。
「ドラえもんが力になれることはないのだろうか」
50周年を迎えるの中でどんな思いで発信し、このメッセージが生まれたのか、藤子プロの専務取締役・赤津一彦さんにインタビューしました。

新型コロナウイルスの感染拡大によって、日常生活は大きく様変わりしました。毎日多くの方が亡くなり、世界中の方が病に苦しんでいるという、悲しいニュースが続いています。一斉休校によって子どもたちは学校に通えず、世の中にもストレスや不安を抱えている人が多いと思います。
こういった状況で、ドラえもんが力になれることはないのだろうかと考え、この「STAY HOME」プロジェクトを始めました。4月下旬から漫画の無料公開や壁紙の配布など、できることはすぐ行ってきました。

新型コロナウイルスによる影響は「ドラえもん」に関わるところでも、3月に公開を予定していた映画が延期となり(*)、藤子・F・不二雄ミュージアムも臨時休館しています。子どもたちに直接メッセージを伝える手段が少なくなっている中で、できることをスピーディーに届けようと、朝日新聞に掲載することにしました。
29日の掲載を目指したのは、ゴールデンウィークに外出できないことで、つらい思いをする子どもたちがいるだろうという思いからです。
また、今回のメッセージの準備を始めた4月中旬は、まさに感染が拡大していった時期です。少しでも感染拡大を抑えることにつなげることができれば、また今不安に感じていたり、困ったりしている人たちの心を和らげることができればという思いをメッセージに込めました。
(*)公開を延期していた『映画ドラえもん のび太の新恐竜』の新公開日は2020年8月7日(金)に決定。8月7日(金)に予定していた『STAND BY ME ドラえもん 2』の公開は延期となった。
「未来を信じる」50年間届けてきたメッセージ
作中に、ドラえもんの「未来なんてちょっとしたはずみでどんどん変わるから」という言葉があります。今ひとりひとりがマスクをすることで、また外出を控えることで、いつか日常を取り戻し、明るい未来につながっているのだと伝えたいと思いました。
未来を信じるというとても大切な気持ちは、不安が心の中を支配していると忘れてしまいがちです。「未来を信じよう」というメッセージを、私たちはずっと伝えていきたいと思っており、ドラえもんとしても50年間届けてきたと思っています。

メッセージは英語や中国語など、さまざまな言語で発信させていただいたのですが、中国でもそういったコメントが多かったようです。みなさんに気にしていただいたり、前向きな気持ちが少し広がったりしていたのであれば、よかったなと感じております。
とてもうれしく思っています。みなさんの中であたたかい気持ちや支え合う気持ち、もう少し我慢しよう、未来を信じようという気持ち、そして藤子・F・不二雄が一番大切にしている「他人を深く思いやる」という気持ちの輪が広がったのだとしたら、我々としてはうれしいです。
こういった状況の中でメッセージを発信するのは、やはり勇気がいるもので、私たちの中でもすごく話し合いました。今どんな人が困っているのか、どんなメッセージが伝えられるのか、という想像力を働かせ、ひとりでも多くの人を励まし、心の支えになれればと思い、慎重に制作していきました。

こどもの日、母の日にも心あたたまるメッセージを発信
こどもの日のメッセージにある、「いっしょうけんめいのんびりしよう」という言葉も、作中のセリフのひとつです。ゴールデンウィークも後半に入り、緊急事態宣言も延長となった中、外出したくて仕方がない子どもたちにメッセージを伝えられればと思いました。

出典:ドラえもん「STAY HOME」プロジェクト
子どもたちを支えるご家族のみなさんに向けたメッセージとして、母の日に、感謝の気持ちを伝えられたらと動画を制作しました。
明日は「母の日」。のび太ママと家族のSTAY HOMEを描いた特別動画を公開しました。いつも伝えられない「ありがとう」を大切な人に伝えてみませんか?
— 【ドラえもん公式】ドラえもんチャンネル (@doraemonChannel) May 9, 2020
https://t.co/z5zywV286Q#母の日 #StayHome pic.twitter.com/pblIfGtJRZ

のび太くんは勉強も運動も苦手で、暇さえあれば怠けることを考えているような男の子です。でも、本当は人の幸せを願って、人の不幸を悲しむことができる心を持っています。
子どもたちにも、のび太くんのような人を思いやる心を持ってもらえたらと思います。ひとりひとりができることはわずかかもしれませんが、例えば「今どんなお手伝いをしたらいいかな」と、身近なことから始めてもらいたいです。

今子どもの方や、昔子どもだった大人の方など、ドラえもんはみなさまに50年支えていただきました。こういった困難な状況で、少しでもみなさまにお返しできればと思うのは当然のことだと思っています。
ドラえもんからは未来に向けて一緒に歩んでいけるような気持ちに、また、のび太くんは何度も何度も転んで失敗するのですが、起き上がる姿からは明るい気持ちになります。
安寧な日々が送れるようになるまで、私たちはキャラクターとともに、みなさまに寄り添ってメッセージを発信していきたいと考えています。
改めて、「人を思いやる心」と「未来を信じる気持ち」を忘れず、頑張りましょう。
