ネットの話題
2メートル離れて読むと「粋な文字」2年目社員が発案、岐阜新聞広告
「離れているからこそ、見えるものもある」

2m離れて見てみると……
話題となっているのは、5月6日の岐阜新聞朝刊に掲載された全面広告です。水玉模様の図形が並んでいるだけのように見えますが、そこに綴られている文章を読むと、その意図がわかります。

大切な人を守るため、
今は人との距離を保ちましょう!
またいつの日か、
いつもの距離を取り戻すために、
ソーシャル・ディスタンス。
2m以上離れて、
この紙面を見てください。
皆さんの想いが現れます。
一日でも早く平穏な日常が
取り戻せますように。


「離れていても 心はひとつ」
なんと、素敵なメッセージが隠されていました。2mとされる「ソーシャル・ディスタンス」をとったことで、見えてくる「皆さんの想い」。紙面の下部には、「ソーシャル・ディスタンスを表現した紙面です。ステイホーム中の皆さんに楽しみを。」と記されています。

どのようにしたこの広告は生まれたのでしょうか。企画した、岐阜新聞の営業局に聞きました。
入社2年目の若手社員が提案
そう話すのは、岐阜新聞の営業局長・谷重耕平さんです。「Stay Home with newspaper」とは、外出自粛が続く読者に向けて「家で楽しめることを」と始まった企画で、6日まで毎日クロスワードや塗り絵などを紹介してきたといいます。
ゴールデンウィークの最終日、翌日からまた始まる社会生活に「ここまで外出自粛を続けてもらいましたが、改めてこの距離が必要なんですということを投げかけられればと思い、展開させていただきました」と谷重さんは話します。

文字の輪郭を維持しながら、間近では読めないように余白を円でくり抜いていく作業。最終的には入稿用のデータにしているそうですが、「デザインの原案はパワーポイントで作成されています」と谷重さん。「手元にあるものだけを使って形にしていきました」と話します。

在宅勤務の中でも複数社が賛同
スピーディーに企画が進んだことについて、谷重さんは「営業局内で提案から企画書、紙面作りなどができる体制ができている」と説明します。クライアントとの間をとりもつ広告会社ももちろん大切であるとしつつも、「こういった有事のときに動ける体制があるのは大きいと思っています」。
岐阜新聞が本社を置く岐阜県は4月10日、感染者が急増し、感染経路不明の事例も増えていることから、独自の「非常事態」を宣言。その直後も、発令を告げる目立つ黄色の広告を制作し、紙面をくるんで届けたといいます。現在岐阜県は、重点的な取り組みが必要な「特定警戒都道府県」に指定されています。

「私たちが普段伝えられる範囲は岐阜だけで、県民の方に向けてとった手法が、より多くの方に拡散されているのは驚きです。新聞広告だからこそできた企画であり、これからも地元のメディアとして役目を果たしていこうという思いです」