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ドラマ「M 愛すべき人がいて」安斉かれんも驚いた「キャラの強さ」
“華やかだった時代”を今、表現する覚悟
ドラマ「M 愛すべき人がいて」(テレビ朝日系)は、浜崎あゆみさんとエイベックスのプロデューサー松浦勝人さんをモデルにした小松成美さんの小説が原作です。トレーナー・天馬まゆみ役の水野美紀さんや、秘書・礼香役の田中みな実さんの怪演も評判です。ドラマ初主演となった安斉かれんさんは、「本当に一人一人のキャラが強い」と語ります。ABEMAでの無料配信など、ネットを意識した展開でSNSでも毎回、コメントが盛り上がるドラマ。ミュージシャンとして活動してきた安斉さんに、“華やかだった時代”を今、表現する覚悟について聞きました。
2019年7月に発表された同名の原作『M 愛すべき人がいて』(幻冬舎)は、浜崎あゆみさんとエイベックス松浦勝人会長との交際を明かしたことで話題になりました。
評論家で北海道大学教授の阿部嘉昭さんは、原作について朝日新聞の書評で次のように指摘しました。
浜崎あゆみさんファンだけでなく、「スター誕生の裏にあった悲しい恋愛に普遍性」(幻冬舎の担当者)も魅力となり、「M 愛すべき人がいて」は16万部を超えるベストセラーとなっています。
主演の安斉かれんさんが生まれたのは、浜崎さんデビューの1年後の1999年。渋谷の人気ショップの店員時代から様々なメディアに登場し、歌手として2019年、エイベックスからデビューしました。
多くの個性的な共演者の中から、安斉さんが特に印象的だったというのが水野美紀さんです。
「このドラマは本当に一人一人のキャラが強いのですが、特に2話で共演させて頂いた水野美紀さんとのシーンがすごく印象に残っています。初めての共演で、水野美紀さんが、たくさんアドリブを入れてこられて、それについて行くのが必死でした(笑)」
ドラマ初挑戦の安斉さんにとって、水野さんの気配りも心に残ったそうです。
「カメラが回っていないところでは優しくお話して下さり、すごく楽しかったです」
ドラマは、ABEMAと連携し、ネット配信にも力を入れます。
眼帯姿の田中みな実さんの強烈なキャラをはじめ、「愛の、どろ沼。」というキャッチコピーを現代にぶつけてきたドラマの世界観は、放送後、ツイッターなどで「感想戦」が盛り上がる現象を生み出しました。
地上波が持っていた共通体験としてのドラマと、オンデマンドで見られる便利さが接続された結果、テレビドラマの新しい楽しみ方が生まれているように見えます。
安斉さんもSNSでの手応えは感じており「たくさんのファンの方から『テレビで見て、また、ABEMAでも見たよ!』という感想がSNSに届きました。そんなに何回も見て頂いたことに感激しています」と話します。
ドラマの舞台となった平成は、浜崎あゆみさんの楽曲をはじめメガヒット曲が次々と生まれた時代でもあります。オリコンがまとめた1989年1月9日~2019年3月31日までのランキングで浜崎あゆみさんは4位にランクインしています。1人で5070万枚(シングルとアルバムの累積)を売り上げました。
華やかで「イケイケ」だった当時の雰囲気がドラマでも存分に描かれる一方で、現在の日本は新型コロナウイルスによって外出自粛が続くなど、不安な空気が覆っています。
そんな中、安斉さんは「世界が、REVIVE(復活・再生・回復)できますように」というコンセプトで生まれた「avex revival trax」に歌手として参加。m-floの「come again」をカバーしています。
「本当に大好きな曲で、携帯の着信音にしてた時期もあります!」という曲。
「すごくうれしく光栄な一方で、だからこそ、自分なりにどう歌うべきか? すごく大きなプレッシャーもありました。中学生の時に初めて聴いたのですが、その時点で、リリースから10年以上も経っている曲だとは全く知らず……。それに気付いた時、ものすごく驚いたのを覚えています」
安斉さんが曲を通じて感じたのが、時代と時代のつながりです。
「この曲を聴くと、その頃の記憶がよみがえって、懐かしい気持ちになります。新たな世代の私たちが、華やかだった時代を彩った曲をリバイバルすることで、かつてその時代が持っていた、そして、私たちが今持っている『力強さ』を表現できたらいいなと思います」
アルバムのCMも、当時のオリジナル曲のMVやCMを完コピしているという「avex revival trax」。90年代の息吹を体感できる作りになっています。
自宅で過ごす時は「動画配信サービスなどで全然知らない映画を見て新しい発見をするのが最近の楽しみです(笑)」という安斉さん。
「『Nintendo Switch』をしたり、ピアノ弾いたり、愛犬と遊んだりしてます」
不自由な生活が強いられている今、安斉さんがかみしめているのは「当たり前」だった日常の大切さです。
「今まで何げない『当たり前』だった日常の事が『当たり前』ではなくなって、いつもの日々の日常だった環境に感謝だなとあらためて思います。一人一人が気をつけて一刻も早く元の環境に戻れるといいなと思います」
コロナウイルスが収束したあかつきには「色んな所に出かけて、色んなものを見たい」。
「ミュージシャンとして、今までと違った感じ方・見え方がすると思うので、また、新たな歌詞を書きたいです」
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