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焚き火、気がつけば人気コンテンツの理由 ラジオからネトフリまで

焚き火ブームが教えてくれるインターネットの「余裕」
焚き火ブームが教えてくれるインターネットの「余裕」

目次

どうやら人は焚き火を目の前にすると、“素”をさらけ出せるらしい。キー局では、とんねるず・石橋貴明が焚き火の前でトークをする番組が始まり、ゴールデンボンバー・鬼龍院翔がYouTubeで流した焚き火動画は20万再生を記録。そんな焚き火は、海外でも人気コンテンツとして注目されている。とかく効率的で能動的な行動にせかされるネット社会。コロナウイルスにより自宅で過ごす時間が増えた今だからこそ、焚き火コンテンツの価値を見つめ直してみたい。(吉河未布)

思わず聴き入る焚き火トーク

4月7日から、とんねるず・石橋貴明のトーク番組『石橋、薪を焚べる』(フジテレビ系)がスタートした。番組コンセプトは“スロー・トーク”。石橋とゲストが焚き火の前で語り合うというもので、初回ゲストはカンニング竹山。デビュー当時の話、相方・中島との話……竹山が芸人人生を語った。

実際の焚き火のパチパチという音も心地よく、Twitter上では‹深夜に落ち着いて楽しめる›‹じっくり聞ける›など、思わず聴き入ったという声が散見された。

焚き火番組といえば、4月3日、10日には、NHK BSプレミアムがゲストとともに、一緒に火を囲んでいる感覚になれる番組『魂のタキ火』を放送。こちらもじっくりとしたトークを売りにした内容だ。

鬼龍院翔の単なる「焚き火動画」が大人気

ゴールデンボンバー・鬼龍院翔は、入眠障害に効果があったことを3月14日に更新したブログで告白している。

“家で焚き火の動画を検索して寝る前に見てみたら…
メッチャ落ち着く…!!!
そして…
マジで寝れたの!!!!!!

ありがとう!!!
焚き火!!!”

と大絶賛。さらには、「焚き火だけでも癒し効果凄いのにその側に好きな人(推しメンとか)が居たらもっと癒されるんじゃないか?('-')」と思いつき、You Tubeに「【鬼龍院】癒し&安眠のための焚き火動画1時間」と題し、自ら1時間ひたすら焚き火をする動画を公開した。その再生回数は、公開約1カ月で20万回以上にもなっている。

実は2013年にノルウェーでヒット

もともとこういった「薪が燃えている」映像は、国境を越えた人気がある。ノルウェーの公共放送局が2013年2月、12時間にわたって薪特集番組を放送したところ、高視聴率をマーク。放送時間のうち、8時間はただただ薪が燃えているだけという内容ながら人気を集めたことが、日本でも大きな話題となった。

実際、同年3月25日放送の『月曜から夜ふかし』(日本テレビ)で2分間、その「薪が燃えている」映像を流したところ、後日その間だけ視聴率がアップしたことが報告されている。

そして同年12月のクリスマスイブには、ニコニコ生放送が、暖炉のDVDを発売しているトランスワールドジャパン株式会社の全面協力のもと、27時間ぶっ通しで薪が燃えているという生放送をおこなった。

聖なるイブの夜、ネットを通じて集ったファンは約34万人を記録したという(放送終了時)。すっかりネットユーザーの大きな支持を得た同生放送では、翌2014年1月11日には27時間実際に薪を燃やし続ける生放送を敢行。さらに3月29日、12月24日と計3回も放送した。

その後、この“延々薪燃え映像放送”はすっかりクリスマスイブの恒例企画となり、2016年が“大人の事情”で見送られた以外、昨年まで毎年放送されている。

ノルウェーのオーレスンでの巨大な焚き火=2016年6月、ロイター
ノルウェーのオーレスンでの巨大な焚き火=2016年6月、ロイター

Netflix、ラジオにも登場

ゆらゆらと動く炎だけでなく、パチパチという音にも癒やされるとして、“薪燃え”(焚き火)の人気は不動だ。2015年にはNetflixから、ノルウェーで人気の暖炉番組『Fireplace For Your Home』が登場しているし、昨年はついにラジオ局が参戦した。

文化放送が12月8日、『たき火特番〜ノルウェーのテレビ局が薪が燃えているだけの映像で高視聴率を獲得したので、たき火の音だけを流すラジオをやってみた〜』という90分番組を放送したのだ。焚き火のパチパチ音を「3Dオーディオ」技術でリアルに再現したそうで、午前2時からとという深夜放送にもかかわらず、トレンド入りするほどの人気だったとか。

手応えを感じた文化放送では、今年2月16日にも、第二弾となる90分番組『たき火特番〜意外にも好評だったので第2弾やってみた。今回は最後の方に少しだけ芋煮の音も入れてみた。本当はマシュマロにしたかったけど音にならないので芋煮にしてみた件〜』を放送。さらにこの週を「たき火ウィーク」として、さまざまな番組で焚き火とコラボした。

炎の向こうに思いをはせて

リモートワークが推奨され、学校もオンライン授業に変わりつつある今、インターネットは文字どおり、なくてはならない存在になりつつある。

ネットでさまざまな最新情報を得、自分に必要なコンテンツを常に探すことができるのは、とても便利だ。ネットがあって本当に良かった。一方で、「便利」なサイトやアプリで、「有用な」ものばかりを見るようになった自分を、少し寂しく思うのも事実だ。

目的もなくだらだらとしたネットサーフィンにはひょんな発見があり、しばしばそこから広がる世界もある。ネットの向こうにいる誰かと時間を共有することにも、確かな喜びが存在する。せわしなくあふれる情報の裏で、そっと人々に寄り添ってきた焚き火コンテンツは、余裕をもつことが大事だよと言ってくれているようだ。

新型コロナウイルス感染症の拡大により、心がザワザワすることも多い今日この頃。今こそ焚き火動画を流してみると、少し落ち着くかもしれない。炎の向こうに、会いたい人や語りたい人を思い浮かべながら、見つめてみるのもよさそうだ。ちゃんとがんばってるよ。生きてるよ。また、飲みに行こうね――。

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