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「え、なんで成仏するの?」思い込み覆す幽霊漫画の「やさしい結末」

「死んでから始まる人生があってもいい」

十年前に命を落とした少女。成仏するため、自らの死を、通りすがりの女子高生に伝えようとするのですが……
十年前に命を落とした少女。成仏するため、自らの死を、通りすがりの女子高生に伝えようとするのですが…… 出典: カキさんのツイッター(@kakinuma31)

目次

「幽霊は、本当に成仏すべきですか?」。そんな問いかけがテーマの漫画が、ツイッター上で人気です。知らず知らずのうちに、私たちを縛り付ける固定観念。かたくなな思い込みを、柔らかくも激しく突き崩すストーリーは、どうやって生まれたのか? 作者に聞きました。(withnews編集部・神戸郁人)

「成仏しろって、幽霊協会が決めたの?」

「こうあるべきだ、という固定概念を壊そう」。そんなつぶやきとともに、8ページの漫画『死んでから始まる人生があってもいい』を掲載した二つのツイートが、今月11日に投稿されました。

「私は十年前に死んだ」。物語は、白装束に身を包んだ少女のセリフから始まります。

山の中に立つ彼女のそばには、ひび割れた頭蓋骨(ずがいこつ)が。高校入学を前に、命を落としてしまったようです。誰かに「ここにいる」と伝えられれば、成仏できるーー。そんな思いで、時を過ごしてきたことが語られます。

すると、草むらから女子高生が登場。少女が行く予定だった学校の制服を着ています。「ついに幽霊発見!」「幽霊と自撮りイエー」。使い捨てカメラで記念撮影するなど、予想外の対応に、少女はたじろぎます。

「ちょっ、私の話を聞いてください」「そしたらちゃんと成仏しますので」。説明しようとする少女に、女子高生は「何で?誰かが決めたの?」「幽霊協会でもあるの?」と、迫ります。結局、彼女が通う、近くの高校に連れて行かれてしまうのです。

漫画『死んでから始まる人生があってもいい』
漫画『死んでから始まる人生があってもいい』 出典: カキさんのツイッター(@kakinuma31)

「ちょっと変でもいい」心温まるラスト

自分を地縛霊と思い込んでいたのに、移動できたことに驚く少女。女子高生が部長を務める、ミステリー部のメンバーである女の子に紹介されました。

「死んでから始まる人生があってもいいでしょ」。女子高生の励ましに勇気をもらい、部員の女の子と一緒に、スマートフォンで写真を撮ります。

少し後のこと。幽霊を信じない後輩に、女の子はスマホの画面を見せます。写っているのは、満面の笑顔でピースする二人の姿。「幽霊はこんなに楽しそうにしないですよ!」。取り付く島もなく立ち去られてしまい、女の子は落胆するのでした。

しかし時間がたち、幽霊の少女は、なぜか学校に溶け込みます。変わった服を着ているけれど、それもいい。周囲の生徒たちが、彼女と仲良くあいさつを交わすシーンで、漫画は終わります。

「着眼点が好き」「こんな第二の人生を送れるなら負けなし」。読者からは好意的なコメントが寄せられました。一つ目のツイートには1万4千以上の「いいね」がつき、リツイート数も3800回を越えています。

漫画『死んでから始まる人生があってもいい』
漫画『死んでから始まる人生があってもいい』 出典: カキさんのツイッター(@kakinuma31)

「幽霊を定義づけること自体ナンセンス」

手掛けたのは、カキさん(@kakinuma31)です。会社員として働きながら、漫画を描いています。

創作のきっかけは、「死んだら成仏すべきだ」「幽霊としてとどまるのはよくない」といった考え方に疑問を持ったことでした。

「幽霊がいるかどうかは、科学的に確認できていません。そのような曖昧(あいまい)な存在を、定義付けること自体がナンセンスだと思っていました。そのために今回のような内容になったのかなと思います」

特に重視したのは「固定観念の裏表」を表現すること。主人公である幽霊の少女は、「成仏するのが当たり前」という価値観を、オカルト部の女子生徒たちによって覆されます。

反面で、思い込みがなければ、彼女が人間の世界に溶け込むことはありませんでした。「そのように、相反する状況を表現したくて、最後の場面を描きました」と。固定観念が、新たな世界への扉を開くこともある、と伝えたかったそうです。

漫画『死んでから始まる人生があってもいい』
漫画『死んでから始まる人生があってもいい』
出典: カキさんのツイッター(@kakinuma31)

着物の身に付け方にもこだわり

描写にも、こだわりがあります。

代表的なのが、少女の着物の身に付け方。登場時は「前合わせ」の方法が、死者向けとされる「左前」(左手で持つ部分を内側にする)になっています。しかしラストシーンでは、逆の「右前」に変わっているのです。

「女の子が、最終的に『生』の側にきた。その雰囲気を出すため、最後のコマではあえて服装を変えて描きました。『そこまで細かく読まれないかな』と思ったのですが、コメントで指摘してくれた方もいて、とてもうれしかったです」

読み手に対しては「自由に読んでください。目を通していただけるだけで、ありがたいです」と話しています。

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