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街で会えたら「最高!」アマビエトラック作った社長の心意気
「アマビエ号、発進!!」
アマビエとは、江戸時代の弘化3年(1846年)4月中旬頃に、肥後国(熊本県)の海に現れたとされる妖怪です。くちばしのような口に、ウロコに覆われた体、足は3本という、独特の姿も特徴です。
海の中に毎晩のように光るものが出没するため、役人が向かったところ、このアマビエがいたという記録が当時の瓦版に残されています。この先6年間の豊作を予言するとともに、「病気が流行することがあれば、私の姿を絵に描いて人々に見せよ」と告げたとされています。
トラックの誕生を知らせる東京モノノケさんのツイートには、「見れたら最高」「アマビエパワーが全国に届きますように」「アマビエ号、発進!!」というリプライが寄せられ、1.5万回以上のリツイート、3万件以上の「いいね」が集まっています。
【お知らせ】以前 #アマビエ タグでツイートしたイラストを、大分県の一番運輸(株)さまがなんと会社の長距離トラックにプリントしてくださいました!病気の退散を祈って、荷物とアマビエを載せて全国を走ります。見た方が少しでも楽しい気分になってくれれば幸いです。 pic.twitter.com/xoIsPIvCUn
— 東京モノノケ (@tmnk_illust) April 8, 2020
どうして「アマビエトラック」は生まれたのでしょうか。トラックを保有する運送会社「一番運輸」(大分県大分市)の藤田憲靖代表取締役に聞きました。
新型コロナウイルスの感染拡大の中で、アマビエの絵が広がっていることをネットニュースで知ったという藤田さん。一番運輸ではトラックプリントの機械を所有しているため、「最近は朝から晩まで、暗いニュースが続いているので、見た方が少しでも和んでもらえれば」とトラックのラッピングを考えたといいます。
東京モノノケさんのイラストを見て、「非常にほがらかで、癒やされると感じた」と話します。4月4日ころに、トラックへのプリントを打診したところ、東京モノノケさんが快諾。1週間もしないうちに、「アマビエトラック」が誕生しました。
プリントされているのは、アマビエのイラストと「疫病退散! アマビエチャレンジ」の文字。藤田さんは「『新型コロナを~』とかも考えたのですが、もうみなさん『コロナ』の文字もうんざりでしょうから」。
現在、コロナ禍による会社への影響について、「今すぐに大きなマイナスはないけれど、景気が冷え込むことによって、全体的に落ちてくると思う」と話します。「他の会社さんでも厳しいと聞きますから、早く終息することと願っています」
トラックがツイッターで話題になっていることについて、「ツイッターをやっていないのでわからないのですが、とても驚いています」という藤田さん。「暗いニュースの中に、ひとつでもほっこりするものがあればうれしいですね」と話しています。
イラストを描いた東京モノノケさんは、今回のような形でアマビエが広がっていくことについて「アマビエの力をもってしても現在の状況をすぐに変えることはできないのかもしれませんが、こうして様々な立場の方と手を携えて広めていくことで人の心を明るくすることができるのだと感じています」とコメントしています。
一番運輸では現在150台ほどのトラックを保有していますが、アマビエトラックは1台のみ。近日中に走行を開始し、主に大分から関東までの間で荷物とアマビエを運びます。もしかしたら、あなたの街にもアマビエがやってくるかもしれません。
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