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新型コロナで制限されそうなプロ野球応援は? 提言を当てはめると…
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、中止や延期、無観客での実施が相次ぐスポーツ界。今後歓声が戻ったとしても、スタジアムの光景は一変するかもしれません。感染症の専門家チームが観戦時の感染リスクを減らすための注意事項をまとめたためです。
プロ野球の場合、どんな応援スタイルになるのでしょう。ざっくりとシミュレーションしてみました。(朝日新聞スポーツ部記者・井上翔太)
【試合前】
プレーボール前の野球場で、盛り上がるタイミングは「スタメン発表」です。
今日はどんな打順を組むのか。推し選手は出場するのか。1番打者から先発投手まで、ドキドキしながらアナウンスされるのを待つのは、野球ファンなら誰でも経験があるのではないでしょうか。
埼玉西武ライオンズの場合はスタメン発表の際、ファンは手旗を振ることが恒例になっています。
しかしこの「フラッグ応援」は「接触感染のリスクが高い」として、このまま開幕を迎えてもできなさそうです。
【試合中】
プロ野球では、攻撃チームが打席の選手を応援するスタイルが定着していますが、このままではトランペットの音色も響かず、メガホンも使うこともできないようです。
「トランペット・ホイッスル等の鳴り物応援」は飛沫感染のリスク、肩を組んだり、跳びはねたりといった動きが伴う応援は接触感染リスクが高いとされています。
では広島東洋カープ独自の「スクワット応援」はどうなのでしょうか。
残念ながらこの「立ったり座ったりを繰り返す集団での動きを伴う応援」も、接触感染のリスクが高いとみなされています。
何も応援できないのでは…という雰囲気になってきましたが、注意事項の中で「要検討」とされているスタイルがあります。
「サメダンス」です。
童謡の「Baby Shark」を登場曲にして、選手が打席に向かう場合、ファンがリズムに合わせて両手の手のひらを上下にたたくスタイルです。
Washington Nationals fans are really into "Baby Shark" https://t.co/rBI07iAH2K pic.twitter.com/3tKVIgiyzL
— CNN (@CNN) October 21, 2019
記者が知る限りでは、昨年のメジャーリーグ、ワールド・シリーズを制したナショナルズから、読売ジャイアンツに移籍したパーラ選手が使用しています。昨年のパ・リーグMVPとなった西武の森友哉選手も使っていましたが、今年はオープン戦最終戦で別の曲が流れていました。
このほか応援タオルを回したり、タオルを横に広げて左右に振る手法も「応援リスク要検討」とされています。
イニングの合間に主催球団が打ち出すイベントにも、影響が出そうです。
多くの球団で、七回裏の攻撃開始前に行われる「ジェット風船」は飛沫感染、「ビッグフラッグ」は接触感染のリスクが高いとされています。
個人的には、横浜DeNAベイスターズが行っている「ハッピー・スターダンス・コンテスト」が、プロ野球界で一番面白いイベントだと思っているので、続けてほしいですが……(周りのお客さんと触れ合わず、声も出さない範囲で、ひたすら踊るというシュールな光景になりそうですが……)
注意事項をまとめたのは、プロ野球を統括する日本野球機構(NPB)とサッカーJリーグが合同で設置した「新型コロナウイルス対策連絡会議」の専門家チーム(座長=賀来満夫・東北医科薬科大特任教授)です。
NPBの井原敦事務局長はこの注意事項について「必ず守らなければいけない提言なので、応援団の皆さんにも啓発していく」と話しています。プロ野球の各球団幹部に取材すると「100%受け入れる」という声もありました。
制約も多いですが、選手の登場曲が流れたときだけは、工夫の余地があるかもしれません。
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