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新型コロナでブームの「蘇」、数奇な歴史 「一度消えた権力の象徴」
支配者が口にした理由
コロナウイルスの発生を機に、古代の乳製品「蘇」が人気を集めています。高級食として貴族に愛されたとされる一方、製法に関する記録はほとんど残っていません。それにもかかわらず、SNS上では他の食材と取り合わせるなどして、オリジナルメニューを考案する人が続出。「はやっていると聞き、正直すごいと思った」。そう驚く専門家に、知られざる蘇の歴史について聞きました。(withnews編集部・神戸郁人)
あるいは、平安時代に編まれたとされる『宇多天皇御記』(寛平御記)。その名の通り、宇多天皇が在位中につづった日記です。その中に「可愛がっている飼い猫に乳がゆを与えている」という趣旨の記述があります。
「日記には愛猫の自慢が、これまでかというくらい書かれていて、その中に乳がゆがみえます。高いえさなのでしょう」
「孝徳朝に入ると、搾乳を行う『乳長上(ちちのちょうじょう)』という公の専門職ができました。少なくとも、奈良時代には朝廷で牛乳を飲む文化が定着し、乳製品も作られるようになるんです」
佐藤さんによれば、当時の乳牛は現代と異なり、出産後の母牛のみが乳を出しました。まとまった量を確保しづらいため、一般には流通せず、おのずと希少性が高まったのだそうです。
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