連載
#21 #やさしい日本語
「フィリピンなら、暴れて逃げます」地震でも待機、不思議な日本
日本の「常識」は、誰かにとっての「不安」になるかもしれません
この「やさしい
【機械翻訳用】ふりがな なし
よく使われているのに、辞書には載っていないことば。日本に来た外国人が「よくわからない」「変だな」と感じることばを、やさしい日本語で解きほぐしたら、今の日本も見えてくるかもしれません。「なぜ、走って逃げないの?」。フィリピン出身のマージョさんは地震のとき、ホテルで静かに待つ人たちの姿にとても驚きました。
■きょうのことば
おかしも……「お(押さない)・か(駆けない)・し(しゃべらない)・も(もどらない)」と覚えます。小学校などで教えます。「駆けない」を同じ意味の「走らない」に変えて、「おはしも」と覚える人もいます。
【フィリピン出身のカンデラリア・マージョさん(21)の驚き】 マージョさんは日本に来て7年目です。
■日本の「常識」が「不安」にさせる
日本では、地震があったときに、とても不思議なことがあって、驚きました。
――日本は世界の中でも、強い地震が多い国です。9年前の3月には、とても強い地震「東日本大震災」がありました。
日本って……なんか……列に並んで待ちますよね。
――え? どんな時ですか?
私が一昨年、ホテルで働いていた時、地震がありました。そんなに強くはなかったのですが。 そのとき、ホテルの人が「みなさん、並んで待っていてください」と言いました。
――建物の中にいてください、という意味ですね。
だからお客さんも、ホテルで働く人も、並んで待ちました。 これって、おかしくないですか? 私は怖かったので、すぐに逃げたかったです。 もしフィリピンだったら、みんな暴れて、走って、逃げます。
――日本だと小学校で、避難する(逃げる)ときは「お・か・し・も」と勉強しています。だから、待つことができるのかもしれませんね。
「おかしも」? 初めて知りました。 でも、もし言われた通り待っていて、建物が壊れたら、誰が責任をとりますか?
――日本では「当たり前」だと思っていることが、海外から来た人には「不安」になるんですね。津波のときに、言われた通り待っていて、亡くなった人もいます。「危ない」と感じたとき、自分で判断することが大切なときもあるかもしれないですね。
【東京消防庁・総務省消防庁の話】
地震のときは、自分の安全を守ることが大切です。 まず、揺れている間は、机の下などに入って、上から落ちてくるものに当たらないようにしてください。 揺れなくなったら、火事の危険や、建物が壊れる危険がないときは、すぐに外に逃げないで、あなたがいる建物の中で、待って下さい。なぜかと言うと、地震のすぐ後は、外にある看板や壁やガラスなどが落ちてくるので、危ないからです。
逃げるとき「おかしも」で、走らないようにするのは、もしたくさんの人が走って逃げたら、人が次々に転んで、けがをして、逃げることができない人が増えるからです。 でも、海に近い場所では、津波が来るかもしれません。だから私たちは海に近い場所の人には、「おかしも」ではなく、「走って逃げてください」と教えています。
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