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#12 #カミサマに満ちたセカイ

「大仏建立アプリ」コロナウイルス後にユーザー激増、作者も驚く反響

「大仏信仰」令和の時代によみがえる?

ボタンを押すだけで、大仏を「造る」ことができる……シュールな世界観のアプリが注目を集めています
ボタンを押すだけで、大仏を「造る」ことができる……シュールな世界観のアプリが注目を集めています 出典: いらすとや

目次

コロナウイルスの流行が心配される昨今、とあるウェブアプリが、ツイッター上でひそかに人気を集めています。その名も「みんなで大仏建立ボタン」。選択肢のボタンをタップし、カウンターを回すだけのシンプルなデザインながら、「大仏」という存在が、不安な人々の心に刺さっているようです。古くて新しい試みの発案者に、話を聞きました。(withnews編集部・神戸郁人)

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「大仏建立の機運が高まってきました」

「大仏建立の機運が高まってきました」。クリーム色の背景が印象的な、アプリのウェブサイトには、そんな一文から始まる説明が書かれています。

「1300年前、日本では地震や疫病、争いが各地で勃発した」「聖武天皇は『鎮護国家』の考えから、東大寺に巨大な大仏を作ることにしました」

そして、いわゆる「奈良の大仏」の建設に、260万人が動員されたことが述べられます。
「みんなで大仏建立ボタン」のトップ画面。「奈良の大仏」が誕生した背景にちなみ、延べ260万人にボタンをタップしてもらい、大仏を「完成」させようと呼びかけている
「みんなで大仏建立ボタン」のトップ画面。「奈良の大仏」が誕生した背景にちなみ、延べ260万人にボタンをタップしてもらい、大仏を「完成」させようと呼びかけている 出典:「みんなで大仏建立ボタン」ウェブサイト

チャットルームのようなゆるさ

アプリの使い方は、至って簡単。「金を提供する」「たたらを踏む」など、大仏造りに関わる、26個のボタンをタップするだけ。無料で利用でき、複数のボタンを選ぶことも可能です。

一度押すと、ボタン右側にあるカウンターの数字が増えます。各項目の合計タップ数が、奈良の大仏の労働力と同じ260万に達すると、仏像が「完成」。イラストが表示される仕組みです。

サイトには、ユーザーが自由につぶやけるコーナー「休憩所」も。「土盛っといた」「取りあえず眺めとく」など、往年のチャットルームのような、ゆるいやり取りが続きます。

コロナウイルスの感染が広がりを見せた2月以降は、アプリに関するツイートが相次ぎました。「思わずポチった」「疫病退散!」。今もそんな書き込みが途切れません。

ボタンの一部。内容は、実際に大仏が造られるときの作業工程に基づいている。何度でも押すことができ、タップすると各選択肢のカウンター数が増える
ボタンの一部。内容は、実際に大仏が造られるときの作業工程に基づいている。何度でも押すことができ、タップすると各選択肢のカウンター数が増える 出典:「みんなで大仏建立ボタン」ウェブサイト

相次ぐ災害にアプリ開発を決意

なぜ、このようなアプリが生まれたのか? 4月から大学生になるという、開発者のナモすけさん(@dnm_b)に聞いてみました。

きっかけとなったのは、2018年に相次いだ自然災害です。9月、台風19号による浸水被害などが全国的に深刻化し、北海道では最大震度7を記録する地震が発生。ツイッターのタイムラインには、悲痛な声があふれました。

「そんな中、『大仏建立をすべきだ』というツイートを見かけたんです。確かに、大仏なら災いを鎮めてくれるかもしれない。そこで、大仏を題材にしたアプリを作ろうと思いました」

ナモすけさんは北海道で地震が起きた9月6日、早速アプリを完成させます。意識したのは「不安な気持ちを和らげる」ことです。

たとえば、一つのことに熱中できるよう、ボタンは連打可能な設定に。他のユーザーが同時に遊んでいると、別のボタンのタップ数が増えていく機能もあり、「仲間」の気配を感じられる仕様になっています。

ボタンの文言を考える上では、奈良の大仏が位置する、東大寺(奈良市)のウェブサイトなどを参照。大仏を造る手順を、わかりやすい表現に落とし込みました。

一方で、「一握りの土で応援する」など、クスリと笑える選択肢も。「自分のようにひねくれた人もいるかな、と思ったんです(笑)」

大仏の大きさ、体感して欲しい

サービス開始から約1年半が経った3月5日時点で、大仏は2体できあがっています。

1体目の「ひときゅう」は、北海道の地震発生当日に「着工」。形になるまでに掛かったのは、1年2ヶ月ほどです。対して、3月2日に完成した2体目「ふたまる」の「工期」は、わずか4カ月でした。

「正直、こんなに速いスピードで完成へ向かうとは思っていませんでした。1人で何万人分も押していく『ガチ勢』もいらっしゃるようです。それだけ楽しんで下さる方が増えたのは、うれしく感じます」

今後、どのようにアプリで遊んで欲しいですか--。ナモすけさんに尋ねてみると、こう答えてくれました。

「一緒に作業する人は多いほど楽しい。ぜひ他の方にも、協力を仰いで頂けたら」

「260万人という目標は簡単なものではありませんが、実際に奈良の大仏が造られる際に参加した人数です。本物の大仏の大きさや、建造する上での大変さも感じて頂きたいですね」

2体目の「ふたまる」。今年3月2日にできあがった。コロナウイルスの流行が心配される時期に誕生したためか、マスクをつけたデザインになっている
2体目の「ふたまる」。今年3月2日にできあがった。コロナウイルスの流行が心配される時期に誕生したためか、マスクをつけたデザインになっている 出典:「みんなで大仏建立ボタン」ウェブサイト
「みんなで大仏建立ボタン」のウェブサイトはこちら

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