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#8 注目!TikTok
TikTokerが紅白歌手になる日 うじたまいさん「September」の奇跡
TikTokに昨年9月投稿された、うじたまいさんのアカペラ曲「September調子はどうだい」が注目を集めています。学校生活に悩む10代に向けたメッセージはたくさんのユーザーによってアレンジされ、関連動画の再生回数は1億回を突破。TikTok発の「紅白歌手」が生まれるかもしれないと、関係者は期待します。
2018年9月、うじたまいさんが自身のTikTokチャンネルで「September調子はどうだい」という20秒少しのアカペラソングを発表しました。自分の部屋の中で自撮りで撮った動画は、最初のうちは大きな反響はありませんでした。
ところが3ヶ月後、あるアーティストがTikTok内でギター演奏付きでカバーしたところ大ヒット。
他のTikTokアーティストも思い思いの方法でカバー。
これまでにない珍しいバズり方で原曲を歌ったうじたまいさんに注目が集まり、関連動画の総再生数が1億回を超えました。
一般の人が投稿するショート動画で注目されたTikTokですが、最近では、デビューのきっかけになるケースも生まれています。
Lil Nas Xの「Old Town Road」という曲はアメリカのTikTokで人気となり、Billboard Hot100に19週連続1位を獲得するほどの成功をおさめたからです。
TikTokの小倉文さんは「初のTikTok発の紅白歌手になってほしい。」と期待を寄せます。
10代にとって絶大な人気があるTikTokですが、15秒という短さゆえに思わぬ誤解を招いたことも。
「無責任なことを言うな」などのコメントが付いてしまったのです。
「短い15秒たらずの歌だったからこそ歌詞の真意が伝わらないことに、もどかしさを感じました」と、うじたさんは振り返ります。
そこで今回、この「September調子はどうだい」に新たな歌詞とメロディーを付け加え、フルバージョンとしてリリースすることが決まりました。
「伝わらなかった方に伝えたいと思い、長編を作りました」
先日、うじたさんはドミノ・ピザ・ジャパンよりオファーを受け、初のTikTokのCM撮影に臨みました。
「大人がいっぱい、、、」
最初は緊張していた様子のうじたさんでしたが、2回目の撮影で関係者全員から「とても良い」と絶賛。OKとなりました。
このようなCMの仕事は、これからは企業とアーティストをつなげる「TikTokクリエイター・マーケット・プレイス」という取り組みをTikTokで準備中だということです。
現在、TikTokはYouTubeのように広告がつかないため、うじたさんのようなアーティストの創作を支える仕組みがありません。うじたさん自身も普段はアパレルで接客業をしています。
うじたさんの所属音楽レーベルの中村さんは「これからはどれだけ”共感”を生むかが大事な時代になる。うじたと一緒に新しい音楽の形を作っていくことで、後から収益が付いてくると思っている」と語ります。
「TikTok発の紅白歌手が生まれたらすごいじゃないですか」。TikTokの小倉さんはそう期待すると同時にTikTokらしさも大事にしていきたいと考えています。うじたさん本人も「テレビに出るような大物アーティストになるよりも、まずは、誰かに寄り添えるような歌を歌っていきたい」と話します。
ミュージシャンもSNSでのファン作りが避けて通れない時代。クリエイター、TikToker、音楽レーベルの「三位一体」の新しい音楽ビジネスの可能性が生まれています。
▽各種配信サイト▽
https://linkco.re/ybzhEDgg
【リリース概要】
アーティスト:うじたまい
タイトル:独りうた~September調子はどうだい~
発売日:2020年2月28日 (金)
形態:配信シングル
ジャンル:J-POP
価格:250 円
品番:SMDG-0620
レーベル:Music Star
発売元:株式会社スターミュージック・エンタテインメント
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