連載
#29 どうぶつ同好会
お掃除フェネック、飼育員さんについて回る動画「うおおお!」な勢い
超高速!穴掘りフェネック
ほうきで掃除する飼育員さんをマネするように、横で勢いよく砂を掘り返すフェネックの動画が話題です。一心不乱な動きに「うおおおおおおお!」というアテレコがぴったりだと、ツイッターでは癒やされる人が続出しています。動画が撮影された水族館「アクアマリンふくしま」(福島県いわき市)の飼育員の方に、フェネックの習性について聞きました。
掃除する飼育員さんの後ろをついて回るフェネックの動画。ほうきの動きをマネするように、前脚を素早く動かして砂を掘り返しています。飼育員さんがきれいにならした地面を後ろから荒らしているようにも見えて、とても愛くるしいです。
来園者が撮影した、かわいらしいフェネックの動画はツイッターで78万回以上再生されています。「超高速」「かわいすぎる」などのコメントともに、1.8万回以上のリツイート、5.9万件以上のいいねが集まっています。
どうしてフェネックは砂を掘り返しているのでしょうか? 動画が撮影された水族館「アクアマリンふくしま」でフェネックを担当している村井理沙さんに聞きました。
フェネックは北アフリカからアラビア半島の乾燥地帯に生息する、イヌ科の生物です。土に穴を掘って、その中で暮らしています。体長は30㎝~40㎝ほどの小型で、大きな耳が特徴です。主に砂漠で暮らしているため、大きな耳は砂の中の生き物を探したり、体の熱を逃がしたりすることに役立っているそうです。
現在、アクアマリンふくしまで飼育しているフェネックは4匹。オスの「マルクル」とメスの「ソフィ」、2018年5月にその2匹の間に生まれた「ミミ」と「キキ」です。
村井さんによると、動画で一心不乱に砂を掘り返しているのは「マルクル」だそう。「恐らく動画に映っている飼育員も私だと思います」
フェネックが地面を掘る行動について、村井さんは「朝の掃除や、朝夕のエサやりの時によく見られる」と話します。どんな理由があるのでしょうか。
「掃除のときにふんを取ったり、フェネックが掘り起こした地面をならしたりしているのですが、自分で掘ったところをならされたくないのかも。もしかしたら、『ご飯が早くほしい』という催促なのかもしれません」
加えて、冬に入り繁殖期を迎えたことによって、巣穴をつくろうとしている可能性もあるといいます。
掃除している村井さんからすれば、「せっかく手入れしたのに散らかされてしまいますし、気付いたらすぐ後ろにいるのでびっくりします」と、フェネックの天真爛漫っぷりに少したじたじ。しかし、フェネックの行動が話題になったことについては、「フェネックは砂の中で暮らしていて、夜行性で日中の行動も見られにくい動物なので、これをきっかけに興味を持ってもらえたらうれしいです」と話しています。
村井さんによると、砂を掘り返す行動は「マルクル」に限らず、他の個体でも見られるそう。開館後すぐの朝方や、夕方4時頃に掃除やエサやりをするため、この時間帯に動き出すフェネックが見られるかもしれません(開館時間外に変更になる可能性もあります)。またエサを探すときや、用を足した後などにも、砂を掘り返す行動をするようです。
現在4匹で暮らしているアクアマリンふくしまのフェネックですが、2月26日にメスの「キキ」が東山動植物園(愛知県名古屋市)にお引っ越しが予定されています。見られたらラッキーなフェネックのわんぱくな姿、ぜひ狙って足を運んでみてはいかがでしょうか。
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