連載
いやその「レス」じゃないよ「キャッシュレス」を妄想で解説する漫画
「夢のコラボレーションです」じゃないよ

小山コータローの「妄想キャッシュレス」

「プロレスは格闘技なのか、エンタメなのか。」
そういった議論がなされることがあります。そもそも、あんなに筋肉がぶつかり合っていたら格闘技ですし、毒霧の色がとてもエンターテイメントですよね。
つまり、どちらの側面もあるわけです。多面性こそがお客様を虜にできるんですね。サイコロだって1面だったら、なんだかペラペラで気持ちが悪いですよね。カステラみたいに、サイコロ工場の製造工程上しかたなく出てしまう切れ端かと思われたら工場長もかないません。
さて本題の「キャッシュレス」ですが、キャッシュレスリングの事なんですね。「キャッシュ(現金)」と「レスリング」の夢のコラボレーションです。
今までのプロレスでは、個人の都合で相手をロープに投げたり、了承を得ないまま関節を逆側に曲げたり、嫌がっているのに顔に爪をたてたりしていました。そんなことをしていると、いつまでたっても2人はギスギスしたままです。
しかし格闘技でありエンターテイメントであることも残さねばいけないのです。
そこで、技をかける際にかならず相手の意思を確認し、ちゃんとお金という対価を支払うことにしたんです。その交渉術を含めてお客様へ提供することで、今までのプロレスにはない魅力が生まれたのです。
ヒールが偽札で技の入札をしたり、ビンタを一回5千円で入札しておいて、実際にはパイルドライバーをかけたりと悲しい試合もありましたが、今ではそんなやりとりのファンもいるようです。
最近では交渉時に、眼鏡に七三分けの代理人を連れてくるキャッシュレスラーも現れました。代理人に交渉をしてもらい、破格の安値で大技を入札をし、観客を煽って「行くぞーっ!」と大声を上げた瞬間、代理人が大技をかけに行き「お前がやるんかい」というベタなボケも人気になりました。
一点問題があるとすれば、試合スピードが通常のプロレスの10倍以上かかるので、とても見ていられない事です。
あともう一点問題があるとすれば、客が盛り上がる大技をたくさんかけようと思うと、結果的に借金まみれになってしまう事です。
最後にもう一点問題があるとするならば、普通のプロレスの方がどうやっても面白い事です。
僕は、キャッシュレスというモンスターを生んだ社会を許しません。
猪木も「現金ですか?」と嘆いてるかもしれませんね。
僕は、こんな猪木を生んだ社会を許しません。
<こやま・こーたろー>
漫画家。「違和感」を作風とし、漫画家のSNS「コミチ」やTwitterで毎日4コマ漫画を発信中。前後関係を無視したセリフや、突拍子もない理不尽な展開が得意。Twitterアカウントは@MG_kotaro。
おまけ
締め切り前、小山コータローさんと担当編集(野口)とのやりとり
野口
小山コータロー
野口
小山コータロー
野口
※ちゃんと締め切り守ってくれました