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東京五輪「エコすぎてケチ?」北京五輪経験した中国人留学生の感想

巨大五輪シンボルが設置されたお台場海浜公園
巨大五輪シンボルが設置されたお台場海浜公園 出典: ロイター

目次

東京五輪まであと半年となりました。今の東京の様子を、北京五輪を経験した中国人留学生はどのように見ているのでしょうか? コンパクトな五輪という流れから「建築物が少なくて実感がない」「エコすぎてケチなイメージ……」という印象がある一方、日本ならではの「キャラ文化」は、中国本土でも話題になっているようです。両方の五輪を経験する世代の本音から五輪の変化を考えます。

完成後、初めて報道公開された国立競技場=2019年12月15日午後、嶋田達也撮影
完成後、初めて報道公開された国立競技場=2019年12月15日午後、嶋田達也撮影 出典: 朝日新聞社

強烈だった巨大建築の数々

話を聞いたのは、来日して2年程度の中国人留学生4人です。全員20代の女性で、キキスさん(Kikis、四川省楽山市出身、28歳)、アインさん(ayin、湖南省衡陽市出身、23歳)、クラシュさん(Crush、福建省アモイ市出身、23歳)、チンチーさん(qingqi 、浙江省金華市出身、22歳)。日本語学校のビザで来日し、大学院受験のため準備中です。

4人が口をそろえたのは、「北京五輪に比べると熱気が感じられない」ということ。

当時の中国では、前年の2007年から、「オリンピックが来るぞ!という雰囲気がありました」(アインさん)。そして、2008年になると「五輪をウェルカムする」(クラシュさん)という熱気に満ちていたと振り返ります。

大きな違いは、建設ラッシュです。北京五輪では「鳥の巣」と呼ばれたメーンスタジアムの「国家体育場」や、「ウォーターキューブ」と呼ばれた「国家水泳センター」など、存在感のある建物が次々とできました。

日本では新国立競技場が建築されましたが、「『鳥の巣』ほどのインパクトはそれほど強くないですね」(キキスさん)。

また、「東京の街自体、静かで、五輪関連の横断幕や看板も少ないです」(アインさん)」、「あと半年で五輪が開催される実感がないです」(チンチーさん)といった声が出ました。

ウォーターキューブの愛称を持つ「国家水泳センター」
ウォーターキューブの愛称を持つ「国家水泳センター」 出典:ロイター

その場で「五輪の歌」を披露

2008年の北京五輪の時はどうだったのでしょう?

チンチーさんは、当時はまだ小学生で、北京から2000キロ以上離れたアモイ市にいました。

「みんな五輪の歌をよく口にしました。12年経っていても歌えますよ」

そう言って、五輪のオフィシャルソング「北京歓迎你」(北京はあなたを歓迎します)の一節「我が家の玄関はいつもオープンだよ(我家大門常打開)」のフレーズを、その場で披露してくれました。

アインさんやキキスさんも、「中国では当時『全民迎奥運(全国民が五輪を迎え入れる)』というスローガンがあり、オリンピックが一大事で、全国で応援するという雰囲気がありました」と振り返りました。

クラシュさんが話してくれたのは、北京五輪のマスコットです。

「『北京歓迎你(べ・ジン・ホアン・イン・二)』という語呂合わせで、貝貝(べべ)、晶晶(ジンジン)、歓歓(ホアンホアン)、迎迎(インイン)、妮妮(二二)という五つのマスコットがありました。それぞれ魚、パンダ、聖火、チベットカモシカ、ツバメ(凧)をモチーフし、五輪の五つの輪と色と対応していて、『海、森、火、土、空」の意味も含まれています。」

「マスコット専門店ではいつも人であふれていました」とチンチーさんが補足しました。マスコットは五つもあり、それぞれにファンがいるほどです。ちなみに、彼女のお気に入りはパンダの晶晶でした。

2020年の東京五輪にもマスコットがありますが、名前を言える人は何人いるでしょうか……。さらに、お気に入りのキャラでここまで盛り上がることは、あまりないかもしれません。

北京五輪開幕1000日前に合わせて発表されたマスコット=2005年11月11日、北京工人体育館
北京五輪開幕1000日前に合わせて発表されたマスコット=2005年11月11日、北京工人体育館 出典: 朝日新聞社

冷静な日本社会?エコしすぎて「ケチ」と思われる?

クラシュさんは、北京五輪が開催される直前の2008年7月、アモイ市から北京に行ったことがあります。

「北京の人たちは非常に熱心で、分からないところがあると、すぐ親切に説明してくれたり、手伝ってくれたりしました。五輪開催前の時期、みんなの気持ちが高揚していたことを覚えています」

それに比べると、日本は五輪を冷静に見ている人が多いというのが4人の感想です。

アインさんやチンチーさんが通う日本語学校では先生が「東京五輪は開催すべきでない」という持論を言うこともあり、驚いたそうです。

背景には、近年、五輪は経済効果をもたらすどころか、開催都市に負担をかけるというイメージは強くなっていることがあります。

2020年の東京五輪もエコやコンパクトがキーワードになっています。

ただ、先日、発表された五輪の選手村のベッドが段ボール製になるというニュースには「節約やエコはもちろんいいことですが、少しケチ?という気持ちにもなりました」(キキスさん)。

北京五輪のマスコット発表から一夜明けた北京市内で、早くも売り出されたマスコット商品=2005年11月12日、北京市内
北京五輪のマスコット発表から一夜明けた北京市内で、早くも売り出されたマスコット商品=2005年11月12日、北京市内 出典: 朝日新聞社

「エコ」で「コンパクト」なりの存在感に

時代の変化もあり派手さはないかもしれない東京五輪ですが、SNSやキャラクターを使った2020年ならではの盛り上げ方に4人は好印象も持っています。

キキスさんは京急線では、花月園前駅が「花月総持寺駅」に、新逗子駅が「逗子・葉山駅」に改名したなど、駅の名前に観光スポットを取り入れる取り組みはインバウンドに効果的だと感じています。

キキスさんのお気に入りは「Tokyo2020まであと○年間」というの看板です。自分の指で「1」という数字を作ると、オリジナルの写真を撮ることができ、インスタなどSNSで投稿できます。

「この工夫はとても素晴らしいと思います。既存の建物や背景に、自分の指を入れることでオリジナリティができ、撮った写真は記念になります」

世界の国旗を「和装姿」に擬人化したイラスト
世界の国旗を「和装姿」に擬人化したイラスト 出典: ワールドフラッグス

また、日本のアニメ文化を土台に、世界の国旗と国民性をモチーフにした「サムライ漫画」は中国でも好評です。

クラシュさんは、日本がデザインした世界各国の着物が「本当に素晴らしい」と絶賛しました。

これは、世界中の国々を、振袖と帯に表現しようという「キモノプロジェクト」で、実際に制作された着物は、中国版ツイッター微博でも伝えられ、話題になっています。

「外国人として、自分の国の着物を見れることが、とてもうれしいです」(チンチーさん) 
「私たちも一回は着物を体験したいです」(アインさんほか)

4人の話からは、中国で初めての五輪となった2008年の北京五輪の熱気は、経済成長が一段落した2020年の東京五輪とは対照的な様子が浮かび上がります。

一方で、どんな形であれ、五輪は同時代に生きた人の記憶として強く残るはず。エコでコンパクトな次世代型の五輪として存在感を示せるか。開会まで残り半年ですが、時代を超えた「おもてなし」を考えていきたいです。

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