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「三変化にしてもいいですか?」 ペンギンぬいぐるみが出来るまで
卵・ヒナ・成鳥の3パターンを一つで楽しめます。
卵・ヒナ・成鳥の3パターンを一つで楽しめる「オウサマペンギン3変化ぬいぐるみ」。発売から1年近く経つ人気商品ですが、その開発経緯がツイッターで注目を集めています。制作に関わった人たちに話を聞きました。
昨年4月13日から海遊館のオフィシャルショップで販売が始まった「オウサマペンギン3変化ぬいぐるみ」(税抜き2600円)。
まず、卵の状態でジッパーを開き、中身をひっくり返せばヒナに変身します。
ヒナの背中には白とグレーの2つのジッパーがあり、グレーの方をひっくり返すと成鳥になり、白の方をひっくり返すと卵に戻る仕組みになっています。
海遊館とフェリシモが共同企画した商品で、フェリシモのオンラインショップでも販売しており、いずれも人気商品になっています。
先日、そんなぬいぐるみの開発ストーリーがツイッターで紹介されて話題になっています。
海遊館側から「リバーシブルぬいぐるみは出来ないか」と持ちかけられたフェリシモの担当者が、「作れます! なんだったら卵・ヒナ・ペンギン成鳥の3変化にしてもいいですか?」と応じて実現したというのです。
「3変化にしてもいいですか?」と返したのは楢崎友里さん。
海遊館とコラボして「もっちりカワウソポーチ」「もっちりアザラシビッグクッション」などを企画したプランナーです。
大のペンギン好きでもある楢崎さん。即答した理由について、こう話します。
「一緒にお仕事をしたことがある『せこなお』さんなら、商品化できるという確証があったんです」
せこなおさんは、キャラクター商品のぬいぐるみ原型を多数手がける、ぬいぐるみデザイナーでパタンナー。
今回の3変化ぬいぐるみの構造を発案し、原型と型紙を手がけています。
「数年前に、牛→UFO→宇宙人と3変化するぬいぐるみ『キャトルミューティレーション』を作っていたので、そのことを楢崎さんがご存じだったんだと思います」とせこなおさん。
いざ制作するにあたって、卵の大きさを実物大にすることに決定。
卵の大きさが決まると、その中にヒナと成鳥を収めなければならないため、デザインする上での制約が出てきます。
「リアルさにこだわりたいので、できるだけデフォルメはしたくない」と考えたせこなおさん。
海遊館の担当者や楢崎さんと連絡を取り合いながら、ヒナと成鳥の脚の大きさの違いや、耳の位置、翼のカーブなど細かな点を再現したそうです。
ヒナの素材選びについても、モフモフさを出したい一方で、あまりにかさばるとひっくり返しにくくなるため苦労したといいます。
通常だと3~4回サンプルを作ってから製品化するそうですが、今回は7回に。
ペンギンの飼育員に何度もサンプルを確認してもらいながら改良を重ねて完成させました。
発売後もたびたび話題となり、人気を保っているこのぬいぐるみ。その理由について、せこなおさんはこう推測します。
「『もう一歩、驚いてもらいたい』という思いで作りました。そのもう一歩の部分が効果があったんじゃないかなと思っています」
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