連載
#41 コミチ漫画コラボ
忘れられない「世界地図」…学校に行く意味って? 未来の姿描く漫画
学校、こうだったいいのにな
夏休み明けに子どもの自殺が増えることから、メディアやSNSから「学校がつらかったら逃げてもいい」というメッセージがよく発せられるようになりました。
ただし、いざ不登校の話題になると、必ず聞こえてくるのが「勉強はどうするの」「高校/大学は?」「社会人になれないよ」……。学校に行けなくなった途端、教育は自力でつかみとるものと考えられがちです。
漫画に登場するのはネットで参加する「オンライン学習」。年齢、国籍に関係なく、広く教育を受けられるこの制度は、結果的に学校に行きたくない子の母親も救うことになりました。私たちがすべきなのは、当事者を憂えたり責めたりすることではなく、別の選択肢を準備することなのではないのかと、この漫画は問いかけます。(選評:野口みな子)
「面倒ごとを持ち込むな」。小学校に勤務する「保健医」は、同僚の男性教諭から言い放たれます。彼が担任している、女子児童の健康状態が優れない。そう報告しただけで……。
心は、たびたび「バグ」を起こすもの。本来なすべきことがあるのに、目の前の状況にとらわれ、つい目を背けてしまう。多忙な教職の現場となれば、その頻度たるや、すさまじいはずです。授業準備に生活指導。荒波に揺れる小舟よろしく、仕事の渦にのまれながら子どもと向き合うのは、並大抵ではありません。
激しい「嵐」の中、そっと手を差し伸べてくれる誰かがいれば、どれだけうれしいでしょう。保険医は、きっとそんな存在。最終盤、女子児童に対して見せたのは、何者よりも「人間らしい」振る舞いです。たとえ、その原因が「バグ」だったとしても、彼女は救われたに違いない--。そう思わせてくれるラストシーンに、教育の明るい未来を重ねました。(選評:神戸郁人)
中3の最後の英語の授業で、貼りだされた世界地図は「逆さま」に見えました。先生は、今まで見ていた地図が「日本人向け」だったことを教え、最後に大切なメッセージを送ります。
この言葉が、今の考え方の根幹になっていると振り返る作者。「国家100年の計は教育にあり」という言葉を思い出しました。教育は100年後のミライを作るもの。世界のあちこちで「分断」が叫ばれている今こそ、こんな授業が世界中の教室で行われていてほしいと感じました。(選評:松川希実)
学生時代、なんであんなに眠かったのかを考えると、寝てはいけないという決まりがあったからなのかもしれません。止められるとやりたくなる、というあまのじゃくな気持ちは誰しもあるものです。
だから、睡眠学習が当たり前になったら、今度は寝たくなくなる人が現れる。それでいいと思います。ジョブズのようなイノベーターは、既成概念への挑戦から生まれるのだから。大場さんの伝説は、ここからはじまるのです。(選評:奥山晶二郎)
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