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「就活エントリー、もう人気順で」漫画「でぶどり」が描くナビサイト
「ナビサイト就活」との距離感、考えてみませんか?

「片っ端からエントリー」だと困る

「ナビサイト」就活の「落とし穴」

でぶどりのように、企業選びに迷うのは「就活あるある」。そのため学生の多くは、求人情報がまとまった「ナビサイト」に登録します。
しかし昨年、このサービスを巡る問題が発覚しました。「リクナビ」を運営する業界大手・リクルートキャリアが、登録した学生の内定辞退率を、取引先企業に販売していたのです。
リクナビは、年に80万人の就活生と3万超の企業が使う最大手。その閲覧履歴を使って2018年3月から始めたサービス「リクナビDMPフォロー」が問題になった。
仕組みはこうだ。
企業は、採用活動で向き合っている就活生の内定辞退を減らしたい。前年の辞退者の名簿を渡すと、リクナビは、その一人一人が、いつ、どの企業をどれほど閲覧していたか、人工知能(AI)で分析する。内定後も他の企業を閲覧していたか、といった具合だ。
実績を踏まえ、その年の就活生が辞退する確率を1人ごとに5段階で予測。こうした情報を1年あたり400万~500万円で38社に販売していた。対象の就活生の数は「非公表」という。
リクルートキャリアは、一部の学生について、「第三者への情報提供」に関する同意を得ていませんでした。
しかし、社内での再調査の結果、「第三者に情報を提供する」との説明が、19年3月以降の一部について同意を得る際の文言になかった。利用の同意は得られておらず、個人情報保護法に触れることが分かったという。

販売された情報は、実際の選考に反映されたのか。その点があいまいであることも、事態を複雑にしています。
しかし、合否に使われたかどうかは、外部からは知り得ない。ある企業の採用担当者は、このサービスを使ったことはないと断った上で「選考で最も重視するのは能力だが、入社する可能性が低いなら内定を出すかどうか迷う」と話す。就職活動は近年、学生の売り手市場が続いている。一般論として、採用難は、こうしたサービスのニーズを高めそうだ。

そもそもナビサイトへの登録時に、十分な説明がなかった状況も明らかになりました。
リクルートキャリアはこれまで、政府の個人情報保護委員会から「学生への説明が不明瞭」との指摘を受け、サービスを一時停止した、と説明。リクナビの登録時にデータ利用についての同意を学生から得ているので個人情報保護法には触れていない、としてきた。
しかし、社内での再調査の結果、「第三者に情報を提供する」との説明が、19年3月以降の一部について同意を得る際の文言になかった。利用の同意は得られておらず、個人情報保護法に触れることが分かったという。

そして、選考に不利となるような情報を扱う場合、個別の意思確認といったプロセスが必要との声も上がっています。
リクナビを巡る問題は、個人情報の取り扱いだけでなく、ナビサイトの存在感が大きい就職活動のあり方にも一石を投じる結果となりました。
<はしもと・なおき>
イラストレーター/漫画家
1992年、大阪生まれ。関西学院大学総合政策学部卒業。
システムエンジニアとして勤務したのちにイラストレーターとして独立。
現在は漫画やイラスト制作、SNS運営、グッズ販売などを中心に活動している。
2018年から漫画「毎日でぶどり」をTwitter,Instagramへ毎日投稿し、約2年でフォロワー数30万人を突破。
著書に「会社員でぶどり」「会社員でぶどり2」(産業編集センター出版部)がある。
■YouTubeチャンネル→「毎日でぶどり」