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#10 ○○の世論
「桜を見る会」安倍首相の支持層の「異変」 世論調査から見える本音
1月に始まった通常国会で焦点の一つが、安倍晋三首相の「私物化」が指摘されている「桜を見る会」の問題です。野党の支持層が批判的なのはわかりますが、朝日新聞の世論調査をみると、安倍首相を支持する層に「異変」が起こっていることがわかりました。問題が発覚した2019年11月以降の世論調査から、首相支持層の本音を探りました。(朝日新聞社記者・磯部佳孝)
1月25日と26日に行った朝日新聞の世論調査では、「桜を見る会」について、次のように聞きました。
「桜を見る会」は一部の時期をのぞいて、首相が毎春、東京・新宿御苑で主催してきました。各界で活躍する人たちを慰労し親睦を深めるのが目的で、当時の吉田茂首相が戦前に開かれていた春の「観桜会」などを参考に、1952年に始めました。
ところが、昨年11月の臨時国会で、「桜を見る会」が問題化します。安倍首相が主催するようになってからは、各界の著名人のほかに、安倍首相の地元の支援者が多く招待されていたとして、野党が安倍首相による「桜を見る会」の「私物化」だと指摘したのです。
こうした批判を受けて、政府は今年の「桜を見る会」の開催を中止しました。安倍首相は招待者の増加について「私自身も反省しなければならない」と陳謝したものの、「私物化」との指摘を払拭するような具体的な説明がされないまま、年を越しました。
1月の世論調査をみると、問題発覚から3カ月たっても、安倍首相の説明に対する有権者の厳しい視線があることがうかがえます。
この間、内閣支持率は11月44%(不支持36%)、12月38%(不支持42%)、1月38%(不支持41%)と推移し、支持は40%を切ったままです。2012年12月に始まった第2次安倍政権では、年末年始を挟んだ12月から1月の内閣支持率は上がることが多かったのですが、今回は横ばいでした。不支持が支持を上回る状況も2カ月連続です。
「桜を見る会」の問題が尾を引いているようです。
それでは、安倍首相の支持基盤と言える内閣支持層と自民支持層は、「桜を見る会」の問題をどう見ているのでしょうか。
内閣支持層と自民支持層で、安倍首相や政権に対する否定的な評価が高いままであることがわかります。この問題をめぐっては、安倍首相の支持層にも「不満のマグマ」がたまっていると言えそうです。
今月20日に始まった通常国会。安倍首相は施政方針演説で、「桜を見る会」の問題には一言も触れませんでした。さらに、首相の施政方針演説に対して各党が質問する代表質問でも、野党の党首らから「桜を見る会」の問題について問われましたが、安倍首相はこれまでと変わらない答弁を続けています。
通常国会では、与野党議員と安倍首相らが一問一答形式でやりとりする予算委員会が1月27日から始まりました。はたして、安倍首相から納得のいく説明があるのでしょうか。
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