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「ママをやめたい」大泉洋さんが妻から言われたら…「焦りますよね」
子どもの誕生は、人生において最も幸福なできごと。そんなイメージをもたれがちですが、実は生活が激変し、うつを招きやすいことが知られています。「産後うつ」をテーマにしたドキュメンタリー映画『ママをやめてもいいですか!?』が完成し、2月末の東京・新宿シネマカリテを皮切りに公開されます。ナレーションを担当したのは、小学生の子どもの父親でもある、俳優の大泉洋さん。父として、夫として、大泉さんはこの映画をどうみたのでしょうか。
「正直、この映画に対して、新しい発見はないだろうな、と思っていたんです」
最初からそう打ち明けた大泉さん。子育てに関心があり、「仕事以外の時間はすべて子育てに費やしたいぐらい」という大泉さんは、子育てをする母親の大変さも理解していたし、産後うつという言葉も知っていたといいます。
「母親は大変だと思います。子どもが相手となると、自分の思いどおりにはいかない。でも、時間のほとんどを、その子どもに費やさないといけない。そのなかで掃除や料理も十分にできなかったり。思うようにいかないことがいくらでも出てくるわけです。つらいですよね」
映画のなかでは、産後うつに苦しむ母親たちも登場しますが、それだけではありません。自分自身が子どものころに母親と別れたり、十分にかわいがられなかったという記憶を抱えていたり。そのトラウマを抱えつつ子育てに向きあう姿も描かれます。
子どもをうまく抱きしめられずに自己嫌悪にさいなまれ、母親として自分の子どもにどう向きあっていいのかわからない。それを乗り越えようとする姿を、カメラは追います。
大泉さんはナレーションの「声入れ」をする前日の晩に、映画をみたそうです。「想像を超えていました」。自宅のベッドで1人、号泣したといいます。
ナレーションではどんなことを心がけたのでしょうか。「映画を見たときの気持ちを、素直に声にしていこうと思っていたかなあ」。表情でも感情が伝わる映像とは異なり、ナレーションは声だけの勝負です。「音として聞いたときに違うな、と。もうちょっと強いほうがいいかな、とか。もう1回やらして、ということが多かったです」
注目は最後のナレーション。監督からOKが出ていたにもかかわらず、納得がいかず、大泉さん自ら録り直しを申し出て、完成したそうです。
映画のなかでは、産後うつに苦しむ女性だけなく、そのパートナーとしての夫の姿も描かれています。
もし、妻から「ママをやめたい」と言われたら……。大泉さんだったらどうしますか?
「焦りますよね。性格もあると思います。ワーって怒ってくれたらいいですけど、黙って苦労して、あるときパンッとはじけちゃうのが怖いです。(妻が)どういう性格かをわかったうえで、『ママをやめてもいいですか』という状況にまでならないようにしないといけないな、と思います」
大泉さん自身は、育児や家事をできるところがあれば積極的に代わるなどして「妻の不満ストレスのゲージが上がらないようにしていた」と話します。
逆に、大泉さんが「パパをやめたい」と思ったことはありますか? この質問には、きっぱりと「ないですね」。
「僕自身は子どもにかかわりたくてしょうがない。子どもの楽しそうな顔を見る以上に楽しいことはないですよね。仕事以外の時間をすべて子どもに費やすことに不満もない。子どもと接する以上にやりたいことが、僕にはないです」
子どもが施設に遊びに行くとき、まわりは母親が付いてきて、「パパが付いてくる人は誰もいないから」と家族からやんわりと断られ、寂しい思いをしたこともあると、笑って打ち明けてくれました。
子育てを通じて自分が成長させられていると感じることはあるか、尋ねてみました。「よく聞かれる質問なのですが、そこまでじゃないんですよね。成長……。わからない。しているのかもしれないけど、わかりやすく自分のなかでこう変わったとか思わないですね」。あくまで自然体で、子どもとかかわっていると言います。
映画は「産後うつ」という重いテーマを扱っているようで、明るい音楽が流れ、大泉さんのナレーションも軽妙。つくりとしてはポップな印象もあります。
インタビューの最後に、大泉さんは映画について、こう話してくれました。
「説教くさいんじゃないか、感動の押し売りがあるんじゃないか、夫の立場でみたら気まずいんじゃないか、と思うかもしれない。でも映画は楽しいし、見てとてもいい時間だったな、と僕自身は思いました。肩ひじを張らずに、一つの娯楽作品と思って見に行ってほしい。その後に、なにか自分なりに思うことが、きっとあると思います」
『ママをやめてもいいですか!?』は、2月29日(土)に東京都新宿区の「新宿シネマカリテ」で公開するほか、全国の映画館で順次公開予定。監督は「うまれる」「ずっと、いっしょ。」などの豪田トモさん。詳細は公式サイトで。
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