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ちはやふる基金、末次由紀さんが語った責任 人気の裏側で運営負担
末次さんが感じた「漫画の可能性」
漫画「ちはやふる」は主人公の高校生・綾瀬千早が、競技かるたを通して仲間とともに成長していく姿を描いています。2007年より「BE・LOVE」(講談社)で連載を開始した後、2011年にアニメが放送され、広瀬すずさん主演で実写映画化されたことでも話題となりました。「スポ根漫画」と呼ばれるようなかるたへの情熱と、繊細に描かれる登場人物の心情に、多くの人々が魅了されてきました。現在、単行本は43巻まで発売されており、物語もクライマックスに近付いています。
小倉百人一首の札を激しく取り合う「競技かるた」は、「畳の上の格闘技」とも呼ばれています。雑音を許さない静寂の会場の中で、読手(どくしゅ)が和歌を読み上げます。上の句を1,2文字読み上げただけで、選手たちは上の句に合う下の句が書かれた札を即座に手ではらっていきます。
対戦する2人が、札を25枚ずつ自陣に並べ、先に自陣の札を取り切った方が勝ちです。敵陣の札を取ったり、相手が「お手つき」をしたりすると、自陣の札を相手に送ることができるため、覚えるべき札の位置も変化。記憶力や瞬発力、変わる局面への対応力などが必要となる競技です。
アニメや映画にも展開されるほどの作品のヒットもあって、この数年で競技人口は増加してきました。かるた大会の開催などを行う一般社団法人全日本かるた協会によると、2018年の全国高等学校かるた選手権大会の個人戦の参加者は2,019人で、2008年の416人と比べると10年間でおよそ5倍に増えています。
大会への参加人数が増えたことで、会場代や運営スタッフなどの負担も大きくなっています。ちはやふる基金の本保美由紀代表理事によると、畳が必要な競技であることや、スムーズな試合運営のためにあらかじめ試合で使う50枚の取り札を用意する「札分け」の作業の負担など、競技かるた独特の悩みもあるようです。
競技かるたには、優勝賞金の出る大会はほとんどなく、「プロ」もいません。名人・クイーンのタイトル保持者などの強い選手たちも、定職を持ちながら空いた時間で競技を続けています。大会参加だけではなく、選手たちにとって「キャリア」も悩みの種です。
1月14日に「ちはやふる基金」の設立を発表すると、Twitterでは「ちはやふる基金」がトレンド入りするなど大きな話題となりました。多くの方々からの寄付やグッズ購入があり、基金の本保代表理事は「予想を大きく超えた反響に、驚きとともに感激しております」と感謝を述べています。
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