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IT・科学

KKギャバンさんからの取材リクエスト

エレベーターで、一般用と車いす用の呼び出しボタンを両方押したらどうなりますか?



エレベーターで「車いす用」「一般用」を両方押したら起きること

意外と知らない、エレベーターの仕組み

車いすマークのついた乗場ボタン=三菱電機ショールームにて
車いすマークのついた乗場ボタン=三菱電機ショールームにて

目次

取材リクエスト内容

エレベーターの件で調べて頂きたいことがあります。
エレベーターが複数ある場合、車いすの方向けのボタンがありますが、早くエレベーターを呼び出したいがために普通のボタンと車いす向けのボタンを押す方がいるのですが、輸送効率をプログラムして運航させているエレベーターを逆に狂わせてるのでは??と思います。この検証をメーカーさんへ取材して頂けないでしょうか。乗っているとき、待っているときそれぞれの効率を検証してください。 KKギャバン

記者がお答えします!

急いでいる時、「早く来るなら」とつい車いすマークのついたボタンも押したくなる気持ちもわかりますが、その時どんなことが起こっているのでしょうか。エレベーターメーカー大手の三菱電機に聞きました。

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車いす用エレベーターの機能とは

そもそも、車いす兼用エレベーターと一般用エレベーターにはどんな違いがあるのでしょうか。三菱電機・ビルシステム事業本部の吉田育宏さんによると、車いす兼用エレベーターには主に以下のような設備があるそうです。

(1)かご室(エレベーター内、乗る空間のこと)の正面に鏡を設置

かご室から出る時、後ろ向きで出て行く車いすの方が、後方の様子を確認できるように鏡を設置しています。
かご室内が見やすいよう、鏡が設置してある=三菱電機ショールームにて
かご室内が見やすいよう、鏡が設置してある=三菱電機ショールームにて
(2)専用の操作盤、手すりを設置

車いすの方や身長の低い子どもでも、行き先ボタンが押しやすい高さに専用の操作盤が設置されています。また、側面に設置された手すりに沿って、この操作盤のところまで行くことができるようになっています。
専用の操作盤=三菱電機ショールームにて
専用の操作盤=三菱電機ショールームにて

(3)扉が開いてから自動で閉じるまでの時間が長い

一般用エレベーターは、扉が開いてから自動で閉まるまでの時間は約4秒です。一方、車いす兼用エレベーターは約10秒と、長めに設定されているとのことです。
車いす兼用エレベーターは、扉が自動で閉まる時間が長めに設定されている=三菱電機ショールームにて
車いす兼用エレベーターは、扉が自動で閉まる時間が長めに設定されている=三菱電機ショールームにて
他にも扉にセンサーを設置し、人が乗り降りしている間は扉が閉まらないようするなどの機能があるそうです。建物に複数台のエレベーターがあっても、車いすマークの乗場ボタン(エレベーターを呼び出すボタン)を押せば、必ず車いす用のかごが到着するようになっています。

ちなみに、車いすマークの乗場ボタンを押していないが、乗ってみたら車いす用の設備だった、ということもありますよね。

エレベーターが複数台設置されている建物では、輸送を効率的にするために、AIを使って配車台数やタイミングがコントロールされていることがほとんどです。車いす用のかごもそのひとつに組み込まれているため、一般用の乗場ボタンを押しても車いす用のかごが到着することがあります。

一般用乗場ボタンを押しても、車いす兼用エレベーターが配車されることもある。(図はイメージ)
一般用乗場ボタンを押しても、車いす兼用エレベーターが配車されることもある。(図はイメージ)

両方のボタンを押したら起こること

それでは、本題です。一般用の乗場ボタンと車いす用の乗場ボタンを両方押すと、輸送効率は悪くなるのでしょうか。

吉田さんは、「何が起こるかは、ボタンを押す順番によって異なる」と話します。

三菱電機・ビルシステム事業本部の吉田育宏さん
三菱電機・ビルシステム事業本部の吉田育宏さん

まず、(1)一般用の乗場ボタン→(2)車いす用の乗場ボタンの順で押したとき。一般用の乗場ボタンが押されたタイミングで、全てのかごのうち、最も効率がよいとされるかごが乗り場に向けて動き出します。その後に、車いす用の乗場ボタンが押されると、車いす用のかごが乗り場に向かうよう指示されます。

配車のイメージ
配車のイメージ

最初に向かい始めたかごが、車いす用のかごであればいいのですが、そうではない場合、2台のかごが乗り場に向かうことになります。乗り場で待っている人は最初にきたかごに乗るでしょうから、もう1台は無駄足になってしまいます。

乗場ボタンを押した人には直接影響はないですが、呼び出されたもう1台のかごに乗っている人は「呼び出された階に止まったのに、誰もいない」なんてことも。他の階で待っている人にとっても時間のロスになります。エレベーターの稼働状況によって、具体的にどれくらい影響があるかどうかを検証するのは難しいですが、こういった積み重ねで、建物全体のサービス低下につながると吉田さんは説明します。

建物全体の輸送効率が悪くなってしまうことも(イメージ)
建物全体の輸送効率が悪くなってしまうことも(イメージ)

「メーカーとして両方のボタンを押すのはやめてくださいとは言いづらいですが、必要のない方は車いす用ボタンを押していただかない方が効率的には良いのです」(吉田さん)

車いすボタンを先に押したら…?

では、(1)車いす用の乗場ボタン→(2)一般用の乗場ボタンの順で押したときはどうなるのでしょうか。

実は、起こることはとてもシンプルです。「車いす兼用エレベーターのかご室だけが乗り場に向かいます」

車いす用の乗場ボタンが押されたタイミングで、車いす用のかごが乗り場に向かうことが確定します。この後に一般用の乗場ボタンが押され、ボタンが点灯したとしても、既に車いす用のかごが向かっているので他のかごは動きません。もしも、最短時間で到着できるかごがあったとしても、車いす用のかごが到着するのを待つことになるのです。

車いす兼用エレベーターのかご室が向かっているので、他のかごは動かない(図はイメージ)
車いす兼用エレベーターのかご室が向かっているので、他のかごは動かない(図はイメージ)

いずれにせよ、不必要に車いすマークの乗場ボタンを押すことで、車いす用のかごを本当に必要としている人を待たせてしまう可能性が高まります。急いでいるからと言って、車いす用のかごが必要ではない人は、両方のボタンを押すことを控えましょう。建物全体の輸送効率が良くなれば、すべての人にメリットがあるはずだからです。

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