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「崖っぷち」路上ライブから…Novelbrightの「令和の売れ方」

バンド「Novelbright」の戦略と信頼

「Novelbright」のメンバー(左から)沖聡次郎さん、山田海斗さん、竹中雄大さん、ねぎさん、圭吾さん=堀内れい子さん撮影
「Novelbright」のメンバー(左から)沖聡次郎さん、山田海斗さん、竹中雄大さん、ねぎさん、圭吾さん=堀内れい子さん撮影

目次

2019年、路上ライブから加速度的に注目が集まり、若者からの絶大な人気を誇るインディーズバンド「Novelbright」(ノーベルブライト)。1年前「ワンマンライブも埋まらなかった」という彼らが、路上ライブツアーで大成功し、年明けにはクアトロツアーも開催。多くのアーティストがテレビに登場するこの時期、著名な歌手やバンドの方々に名を連ね、「CDTVスペシャル年越しプレミアライブ」(TBS)にも出演しました。彼らの人気のカギになったのは、戦略的な「SNS活用」とボーカルへの「信頼」。これぞ「令和の売れ方」と言える人気の裏側を聞きました。

TikTokやTwitterで爆発的に拡散

2013年に大阪で結成された「Novelbright」は、竹中雄大さん(ボーカル)、沖聡次郎さん(ギター)、山田海斗さん(ギター)、圭吾さん(ベース)、ねぎさん(ドラム)の5人組ロックバンドです。

ライブの様子=堀内れい子さん撮影
ライブの様子=堀内れい子さん撮影

ボーカルの雄大さんの美しいハイトーンボイスに、キャッチーなメロディが耳に残るNovelbrightの楽曲「walking with you」。この曲を彼らが路上ライブで演奏する姿が、TikTokやTwitterなどで爆発的に拡散されています。

雄大さんにはTikTokでフォロワーが20万人近くいますが、驚くべきことに、バズっている動画の多くは、ライブに集まったお客さんたちが投稿しているもの。まさに「感染」するように、インターネット上にNovelbrightの動画が広がっているのです。

「千年に一人」レベルのボーカリスト

「僕が雄大のボーカルの力を本当に確信していたので、それを広めるために路上ライブとSNSを始めました」

そう話すのは、Novelbrightのベースを担当する圭吾さんです。2019年1月にバンドに加入したばかりですが、「バズ」の仕掛け人とも言える人物です。

Novelbrightのベース・圭吾さん=神戸郁人撮影
Novelbrightのベース・圭吾さん=神戸郁人撮影

「メジャーで活躍するアーティストと比べても、雄大が一番すごい」と言うほど、雄大さんの歌に絶大な信頼を置く圭吾さん。バンドに加入する約1年前のこと、初めて雄大さんの声を聴いたとき、その歌唱力の高さに驚きを隠せなかったといいます。

「橋本環奈さんじゃないですけど、『千年に一人』とかそういうレベルのボーカリストだと本当に思っています。唯一無二なんです」

Novelbrightに加入する前から、自身のフォロワーに雄大さんをプレゼンしていたという熱の入れっぷり。この確信があったからこそ、バンドに誘われたときも即答で加入を決めたといいます。

しかしその憧れや期待に反して、バンドの現実は厳しいものでした。オーディションに落ち続け、ワンマンライブも埋まらない状態だったといいます。

「なんでこの位置におるんや、ありえんやろって。こんなに雄大の歌がすごいのに、曲の再生数も数千回とかっていうのをずっと見てきて、僕はそれがどうしても納得できなかった」

「Novelbright」のメンバー=堀内れい子さん撮影
「Novelbright」のメンバー=堀内れい子さん撮影

「他人のフリ」から始まった

Novelbrightに加入して圭吾さんが始めたのは、ある実験的な投稿です。

「路上ライブの動画を、『他人っぽく』ツイートしてみたんです」

圭吾さんの過去のツイートには、雄大さんが歌う動画に「新宿駅の前でワンオク歌ってるんやけどめちゃ上手くない???」「男の人がいきものかがりのSAKURAを原曲キーで歌ってるんやけど美声すぎん???」というコメントで投稿しているものも見られます。

一見、ライブのお客さんの投稿のように読めますが、バンドメンバーであることはツイートのスレッドやリプライなどで明かしています。投稿には絶賛のコメントが集まり、数千、数万回「いいね」が押されています。

「他人っぽく」投稿した理由として、圭吾さんは「Twitterのユーザーは『自分の宣伝ですよ』という投稿に対して、反応が薄いというイメージがあった」と明かします。

「バズっている漫画とかもそうですけど、『こういう漫画を描きました!』という投稿より、『○○が面白すぎる』とか『この漫画が○○な件』みたいな、客観的な表現の方が受け入れられやすいと思っていて。『歌でも一緒なんじゃないの?』と思って投稿したら、ドカンと拡散されるようになったんです」

「歌が上手い人」の殻を破る

更には、投稿する動画にも「バズる」狙いがありました。先ほどのツイートにあるように、歌うのはNovelbrightのオリジナル曲ではなく、他のアーティストの曲ばかり。Official髭男dismや菅田将暉さんの楽曲を投稿するときもありました。

「まず初めに雄大の声を聴いてほしかったんです。CMで流れている曲とか耳なじみがある曲の方が、再生ボタンを押した後も長く聴いてもらえるかなって。曲よりもまず僕たちの存在を知ってもらおうと思いました」

神戸郁人撮影
神戸郁人撮影

圭吾さんの戦略通り、動画は拡散されるようになりました。しかし、「ここまでであれば『歌が上手い人』っていうポジションだったと思う」と振り返ります。Novelbrightの音楽を広げるためには、もう一段階、壁を打ち破る必要がありました。

「TikTok」との親和性

そこで効果的だったのが、7月にスタートした全国5都市を巡る路上ライブツアーでした。「崖っぷちどチクショーTOUR」と名付けられたこのツアーでは毎日路上で演奏し、ライブハウスで行われる次のライブのチケットを手売りしていました。

「一番最初は絶対カバー曲をやって、人が集まってきたらサビから始まる『walking with you』を歌うんです。イントロから始まる曲だと、知らないお客さんには響かない。サビから始まる曲であれば、すぐにつかめるんで」

毎日ライブをすることで、それまで時々起こしていた「バズ」の頻度を上げ、ついにはライブを見たお客さんが投稿した「walking with you」の動画がバズるまでに。「歌が上手い人」という認識が、「Novelbrightというバンド」に変わった瞬間でした。

@yudai_vo

福岡キャナルシティ博多を本日Novelbrightがジャックしました。 #Novelbright #walkingwithyou #歌うま #歌ってみた #おすすめのりたい

♬ オリジナル楽曲 - 竹中雄大 Novelbright 🥒

動画共有アプリ「TikTok」との親和性も「バズ」を加速させたと分析します。Twitterの「いいね」の数がフォロワー数に依存しやすい一方、TikTokはフォロワー数に関係なく、動画が「おすすめ」として採用されれば多くの人に表示されます。また、「いいね」を押すなどすると、関連する動画もレコメンドされやすくなります。

「Novelbrightの動画を載せれば『いいね』がたくさんつくので、お客さんも楽しんで投稿してくれる、という循環ができたことが大きいですね」

路上ライブの様子=Novelbrightスタッフ撮影
路上ライブの様子=Novelbrightスタッフ撮影

「次は確実に最高傑作」

ライブの様子=堀内れい子さん撮影
ライブの様子=堀内れい子さん撮影

気付くと、バンドに対する圭吾さんの「確信」は、ライブの動員数という形で目に見えるようになってきました。今では、テレビで生演奏するという、更なる高みを目指すチャンスも得ました。

崖っぷちのバンドを救ったのは、自己プロデュースの力とSNS。

圭吾さんは「これからはバズるというよりは、この波にしっかり乗ることが大事」と話します。現在、バンドは楽曲制作中。Novelbrightとしてどんな音楽ができるのか、どういう音楽が求められているのか――、また新たな「戦略」がスタジオで練られています。

「キャッチ―な『walking with you』でバンドを知ってくれたお客さんを、どこまで深いところまで連れて行けるか。それが僕らが今やることなのかな」

「生涯現役」を誓い合うほど、仲の良いメンバー。「次の作品は、確実に最高傑作になると思います」と圭吾さんは笑顔で語ります。2020年も、Novelbrightの活躍から目が離せません。

<Novelbright>
大阪出身の5人組ロックバンド。2019年1月より現体制となる。2019年7月から1カ月半の間、路上ライブで5大都市を周り、売上と投げ銭だけで生活する「どチクショー路上ライブTOUR」を開催。その様子がSNSで話題となる。2020年1月5日には新曲「ランナーズハイ」の配信が開始される。

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