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小3の私が作文帳に書いた「虐待SOS」学校は見抜いてくれなかった

羽馬さんが小学生の頃につけていた作文帳。姓は、最初の義父のもの。羽馬さんはこれまで、母の離婚と再婚などにより6回姓が変わっている
羽馬さんが小学生の頃につけていた作文帳。姓は、最初の義父のもの。羽馬さんはこれまで、母の離婚と再婚などにより6回姓が変わっている

目次

子どものときに母親と義父たちから虐待を受けてきたことを実名で公表している羽馬千恵さん(36)は最近、小学3年生のときにつけていた作文帳を見つけました。この作文帳を読み返し、羽馬さんは「SOSを私なりに表現しているけど、担任には全く伝わっていない」と感じたそうです。「子どもの言葉でSOSを伝えるのはすごく難しい」。羽馬さんの経験から、子どものSOSに気づくために必要なことを考えます。(朝日新聞北海道報道センター記者・天野彩)

【関連記事】虐待サバイバーが「大人の支援」訴える理由 母の日記に書かれた真相

担任「いつも家族がなかよしでいいです」

このノートに記された作文には、「お父さんが帰ってきたので、(ボール遊びを)やめました」「(犬の)さんぽにいく時間は(夜の)7時はんです」といった虐待の兆候がところどころにみられます。

しかし、担任の教諭は「いつも家族がなかよしでいいです」とコメントするなど、羽馬さんのSOSが届いていないことが読みとれます。

羽馬さんはこの作文帳を読むことで「自分が覚えていない自分に出会えた。子どもは親の悪口を言ってはいけないと思い込んでいた」と感じたといいます。

羽馬さんは、買ってもらったボールで母に遊んでもらっていた。作文には、「お父さんが帰ってきたので、やめました」とある。日常的に暴力を振るう義父におびえていたためだ。「いつも家族がなかよしでいいです」という担任のコメントが、羽馬さんのSOSが届いていないことを物語る
羽馬さんは、買ってもらったボールで母に遊んでもらっていた。作文には、「お父さんが帰ってきたので、やめました」とある。日常的に暴力を振るう義父におびえていたためだ。「いつも家族がなかよしでいいです」という担任のコメントが、羽馬さんのSOSが届いていないことを物語る

心愛ちゃんに重なる憤り

千葉県野田市で2019年1月に虐待死したとされる小学4年、栗原心愛(みあ)さん(当時10)は、通っていた小学校で実施された「いじめにかんするアンケート」の自由記述欄に「お父さんにぼう力を受けています。夜中に起こされたり、起きているときにけられたり たたかれたりされています。先生、どうにかできませんか」と書きました。そのアンケートのコピーを、市教育委員会が父親の要求に屈して渡したことが、問題視されました。

【関連リンク】「怖いよー」「助けてー」届かなかった心愛さんのSOS:朝日新聞デジタル

「心愛ちゃんは死ぬほどの勇気を出して大人に、こんなにはっきりしたSOSを出したであろうに、それでも裏切られた。アンケートまで出てきたのに、こんな対応をするなんてありえない」と羽馬さんは憤ります。

栗原心愛さんが書いたアンケートのコピー。黒塗りの部分は虐待と関係ない部分。担任が本人から聞き取ったメモも書いてある=2019年2月1日、千葉県野田市役所、上嶋紀雄撮影
栗原心愛さんが書いたアンケートのコピー。黒塗りの部分は虐待と関係ない部分。担任が本人から聞き取ったメモも書いてある=2019年2月1日、千葉県野田市役所、上嶋紀雄撮影 出典: 朝日新聞

子どものSOSに気づくには?

羽馬さんも心愛さんと同じく、作文帳でSOSを発信していました。

縄跳びをする羽馬さんに、「お母さんがへんなことをいうので飛べませんでした」とあります。羽馬さんは「母はいらだつと時々そういういじわるをしました。いらだちや悔しさがあったのを覚えていますが、『へんなこと』としか表現できなかったのです」といいます。

縄跳びでは、母親が「100、50、800」と数えるので、跳んだ回数をカウントできなかったという
縄跳びでは、母親が「100、50、800」と数えるので、跳んだ回数をカウントできなかったという

作文には、いつも夕飯の後、一人で犬の散歩をしていたことが書かれています。毎晩、怯えながら、真っ暗な夜道を懐中電灯で照らして歩いたそうです。

義父は「しつけだ。飼うと言った責任だ」と言っていたそうです。

作文の「散歩」の部分
作文の「散歩」の部分

「これが子どものSOSの限界。担任はかなりしっかり読んでくれていますが、それでも私の感情の波が読みとれていません。子どものSOSを家庭から救い出すのは難しいことです。ここで家庭への支援が入っていれば、悪化はしなかったと思います。少人数制の学級で、子どもの書くものに隠された意味を聞いてあげるようなケアが必要です」

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