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羽生結弦選手へのプーさんシャワーが禁止に ファンの愛はどうなる?
フィギュアスケートの全日本選手権が19日、東京・国立代々木競技場で開幕した。ファンにとっては待ちに待った大イベント。男子は4年ぶりの出場となる羽生結弦選手(ANA)、大会4連覇を目指す宇野昌磨選手(トヨタ自動車)、アイスダンスへの転向を表明している高橋大輔選手(関大ク)らが出場する。一層の盛り上がりを見せる中、試合の風物詩と言えるのが、演技後にリンクに降り注ぐ花束やプレゼントだ。羽生選手には、大量のくまのプーさんのぬいぐるみ贈られることが話題に。しかし今年、その光景が大きく変わる。花束やプレゼントの投げ込みがなくなったのだ。
今秋、大会の公式ホームページにファンにとって衝撃の一文が掲載された。
「花束・プレゼントの投げ込みは、競技進行の都合およびお客様の安全確保のため禁止とさせていただき(ま)す」とある。
少なからずショックを受けたファンはいるだろう。リンクに花束やプレゼントを投げ込むのは、ファンが選手とつながりを感じられる大切な時間。エキシビションやアイスショーでは禁止されているが試合では認められていた。
お気に入りの選手用に加えて多めに花束を用意しておくが、感動する演技が次々と生まれて花束が足りなくなるのもファンにとってのあるあるだ。
花束やプレゼントを回収するちびっ子スケーターはフラワーガール・ボーイと呼ばれ、今年の世界選手権女子4位の紀平梨花(関大ク)らも経験してきた。そんなスケーターたちにとって、目の前で選手の演技を見られて触れ合える憧れの機会でもある。
リンクへの投げ込みが増えたのは約15年前。高橋大輔選手、2010年バンクーバー五輪女子銀メダルの浅田真央さんらが活躍し始めたころからだろう。会場にはたくさんの花束が降り注いだ。その数はだんだん増えていき、プレゼントの投げ込みも恒例になった。
運営側はこれまでも、中身が落ちないようにラッピングを徹底する、投げ込みをするのはアリーナ席や1階席だけに制限するなど観客に呼びかけてきた。
わずかな花びらや糸くずがあるだけでも、氷の上を数ミリの幅しかない刃で滑るスケーターにとっては危険だ。回収に手間取れば進行の妨げにもなりかねない。ファンもプレゼントにビニールカバーを付けたり、手紙をテープで固定したりするなど気をつけている。しかし、今大会ではついに投げ込みが全面的に禁止され、ファンは会場内の「プレゼント預かり所」に託すことになる。
プレゼントはどんなものが投げ込まれるのだろうか。
話題になるのは、羽生選手に贈られる大量のくまのプーさんのぬいぐるみだ。演技後には黄色いプーさんの雨が降り注ぐ。
昨季、さいたま市であった世界選手権では、羽生選手の後に滑ったネーサン・チェン選手(米)が「幸いにも今日はくまのプーさんもリンクの片側に寄っていたので、ウォーミングアップがしやすかったです」とユーモアを交えて答えていた。
日本のファンから贈られるプレゼントの数は、海外選手も驚くほどだ。2018年平昌五輪女子金メダルのアリーナ・ザギトワ選手(ロシア)も、お気に入りのキャラクター「コリラックマ」のグッズに囲まれた写真をインスタグラムにアップしている。日本開催の国際大会でプレゼントを持ち帰るために追加のスーツケースを持ってきた海外選手もいた。
驚きのプレゼントもある。浅田真央さんは大好きだったレゴをプレゼントされた。2018年平昌五輪女子銀メダルのエフゲニア・メドベージェワ選手(ロシア)に投げ込まれたのは、巨大なおにぎりのマスコット。フィギュアスケートアニメ「ユーリ!!! on ICE」(テレビ朝日系)にちなんだもので、アニメ好きな彼女にぴったりのプレゼントだった。
プレゼントをあえて断るスケーターもいた。2014年ソチ五輪男子5位の町田樹さんはアイスショーに出演する際、花束やプレゼントを遠慮してもらうようにお願いしていた。アイスショー「プリンスアイスワールド」ではファンと交流する「ふれあいタイム」があるが、町田さんはファンに手を振って応援の気持ちに応えてきた。
アイスショー「THE ICE」ではプレゼントそのものを断っており、公式ホームページには「スケーターへのプレゼントはご遠慮いただき、東日本大震災義援金へのご協力をお願いいたします。プレゼント受付はいたしません。お手紙については会場にて受付いたします」としている。
19日の全日本選手権は女子ショートプログラムがあった。観客は演技を終えた選手たちを拍手とスタンディングオベーションでたたえた。
ツイッター上には「お花投げ込み無くなってちょっと寂しかったなぁ」「風物詩だったフラワーガールの可愛らしい衣装が見られないのが残念」「一人一人の選手を讃える、観客の拍手歓声スタオベがすごくいい雰囲気作ってる」などの声が上がっている。
花束やプレゼントは、選手への応援や感謝の気持ちを伝える大切なものだ。しかし、リンクにその光景がなくなったとしても、割れんばかりの拍手やスタンディングオベーションを通してファンの気持ちはスケーターの心に届いているだろう。演技後の光景は少し寂しくなるかもしれないが、その分、いままで以上の拍手を選手たちに送りたい。
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