連載
#37 コミチ漫画コラボ
母の「あの言葉」の意味、自分が親になって知った…マンガ「母の愛」
「母の愛」ってなんだろう。未来へつながっていくものはなんだろう――。
もしも、お腹の子に障害があることがわかったらーー? 出産を目前に控えても自分を責め、泣いて過ごす日々を送る主人公の女性。しかし、ある出会いから、前向きな一歩を踏み出します。
実際に作者に起こった出来事をもとにしたというこの作品。揺れ動く主人公の感情が手触りのように伝わり、胸がしめつけられます。でも、この漫画を読み終わった後、きっとあなたも「読んでよかった」と感じていると思います。
「母の愛」が受け継がれるのは、未来のお母さんだけではありません。家事や育児を一手に担う母の姿を見ながら「親は大変だ」と感じて育ってきた主人公。自分が父親になった今、母がしていたことを妻と協力して続けています。
働く女性が増え、家事を家族で協力する意識が高まってきました。育児の大変さを上回る感情として象徴されてきた「母の愛」は、作中の子どもにとっては「父の愛」にもなるはずです。そんな風に、誰かの愛がつながっていくのは、とても素敵だなと感じました。
「子どもがいるから、働きたくても働けなかった」と言う母親。自分が「働けない理由」だと知った主人公にとっては、母の後悔は「働き続けなければ幸せになれない」という「呪い」でした。大人になり、子どもを産んだ後も、逃れられずに……。
しかし、思いがけず、母の言葉の真意に触れることになります。誰かの願いを背負う痛みと、誰かの思いをつなぐあたたかさ、いずれも伝わる心に残る作品です。
「デジタルツイン」という自分の記憶を残したAIが作れるようになった時代。亡くなった母親がAIとして戻ってくるという、近未来を舞台とした設定が興味深いです。
しかし、描かれるのは人間のリアルな感情です。働きながら子どもを育てる主人公は、自分の代わりに家事・育児をてきぱきこなしていくAIを見て、無力感で激高してしまいます。そんなとき、母親AIがかけた言葉は――。誰かに甘えてもいい、弱さを口にしてもいい、そんなことを教えてくれる作品です。
記事の感想や体験談を募ります。また、現在は父親にとってのセックスレスをテーマに取材を進めています。そこで「セックスレス」について、モヤモヤを募ります。レスになったきっかけは? どうすればレスを解消できる? そもそも夫婦との間でセックスは必要? みなさんの体験、考えを教えて下さい。
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