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ゆいろさんからの取材リクエスト

北海道で育てられている巨大キャベツの正体は?



「直径50cm」の特大キャベツ「札幌大球」いったい誰がなんのために?

通常のキャベツ(左)と比べると、圧巻の札幌大球
通常のキャベツ(左)と比べると、圧巻の札幌大球

目次

取材リクエスト内容

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191028-11001492-maidonans-life&fbclid=IwAR13k-AYtWyFsXSxlCgLq7Agurb8AVTZ4SfDdOGqafTssuOm_tKU4Uow0xM

毎年10月下旬から11月初旬の2週間しか収穫されない10キロ以上になる「札幌大球(さっぽろたいきゅう)」という巨大キャベツがあります。札幌の伝統野菜で、大きいだけに収穫が大変で栽培農家さんが減り、復活に向けて奮闘中の方がいます。
http://sapporotaikyuu.fun/

東京で毎年札幌大球を使った料理を食べて紹介するイベントをしております。
https://www.facebook.com/events/367589440786286/
取材いただけたら嬉しいです。 ゆいろ

記者がお答えします!

大きさは通常のキャベツの10倍以上。見た目のインパクトから、SNSにもたびたび投稿される特大キャベツがあります。その名も「札幌大球(たいきゅう)」。ルーツは明治時代にさかのぼる札幌の伝統野菜ですが、生産量が減り、いまは消滅の危機に。そこで近年、このキャベツの「復活」に向け、農業や飲食の関係者たちが立ち上がりました。

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通常の10倍以上の大きさがある札幌大球=札幌大球応援隊提供
通常の10倍以上の大きさがある札幌大球=札幌大球応援隊提供

圧巻の存在感

「本当にデカい」「ずっしりしてる」

東京都内のシェアキッチンで11月上旬、札幌大球を使った料理のイベントがありました。参加者たちの前には、現地から届いた札幌大球。直径50センチ、重さ15キロほどある実物を交代で持ち上げたり、写真を撮ったり。通常のキャベツも並べられていたので、圧巻の存在感でした。

持ち上げるとその重さがわかる札幌大球
持ち上げるとその重さがわかる札幌大球

そしてこの日は、北海道江別市から来たスープソムリエの境珠美さんが「札幌大球コース」を披露。千切りのサラダから始まり、焼きロールキャベツ・ボルシチ・スープ餃子……。私もいただきましたが、素材の甘みや料理によって変わる食感など、北の大地の恵みを存分に楽しみました。

目で楽しい、食べておいしい「札幌大球コース」が振る舞われた
目で楽しい、食べておいしい「札幌大球コース」が振る舞われた

冬場の保存食、昭和初期が最盛期

札幌市元農政部長の三部英二さん(64)によると、札幌大球はアメリカから輸入したキャベツから始まりました。明治初期に持ち込まれた数種類のキャベツに特大サイズはなかったそうですが、「品種を掛け合わせたり、栽培方法を工夫したりして、明治の終わりごろに現在の大きさの札幌大球が生まれました」。

巨大化については、冬場の保存食としての役割が関係していると話す三部さん。「納屋や雪の下で貯蔵する際、外側が凍ったり傷んだりしても、札幌大球なら食べられる部分が多い。貴重なビタミン源になっていたようです」

葉の数自体は変わらないので、1枚1枚が大きく、厚みがあります。そのため、郷土料理の「ニシン漬け」など、漬物にも使われるようになりました。生産は札幌以外の道内にも広がり、最盛期の昭和初期には、千ヘクタールほどの作付けがあったと言われています。

札幌大球の断面=札幌大球応援隊提供
札幌大球の断面=札幌大球応援隊提供

平成に入り「消滅の危機」、復活に向け取り組み

栽培も「特大」仕様です。種まきの間隔を1メートル程度は空け、生育するスペースを確保します。収穫までの日数も約150日と通常の1.5倍ほど。「手間ひまはかかります」と三部さんは話します。

秋から冬の風物詩として親しまれていましたが、食材輸送の進歩や漬物が「買われる」ようになると、札幌大球の需要は減少します。収穫までの手間ひまが、生産者の負担に。高齢化とあわせて、作付けがどんどん減っていきました。平成の初めには十数ヘクタールにまで減り、2014年の時点では札幌で手がける農家はゼロ。道内で数戸が生産するだけとなり、まさに消滅の危機にありました。

1メートルほどの間隔で植えられている札幌大球=札幌大球応援隊提供
1メートルほどの間隔で植えられている札幌大球=札幌大球応援隊提供

「『札幌』と名前がついた野菜を残したい」。同じく生産が落ち込んでいた伝統野菜のたまねぎ「札幌黄」の盛り上げなどに取り組んでいたJAさっぽろが、当時農政部長だった三部さんと連携。かつて札幌大球を育てていた農家から種子を譲り受け、札幌市清田区で試験栽培を始めました。現在も同区の農家数戸が栽培を続け、今年も10月下旬~11月上旬に収穫をしました。

毎年10月下旬~11月上旬に収穫=札幌大球応援隊提供
毎年10月下旬~11月上旬に収穫=札幌大球応援隊提供

復活へ向け応援隊、消費にも注力

三部さんたちが目指しているのは、「食文化として札幌大球を引き継いでいく」。そのために生産だけではなく、加工や消費も意識しています。一緒に守り、食べ支える「オーナー」を増やす「札幌大球応援隊」はその一つの形です。

一口4千円で、札幌大球のニシン漬けやザワークラウトなどが届くほか、畑の見学会なども実施しています。応援隊隊長の日原康貴さんは「せっかく作っても食べてくれる人がいないと、安く買いたたかれるか、廃棄せざるを得なくなってしまう。産業としての火をともし続けるにはどうしたらいいのか。その思いでオーナー制度を始めました」と力を込めます。

オーナー制度以外にも、札幌大球を使った漬物を市内の業者に開発してもらったり、お好み焼き店で材料に使ってもらったりといった6次産業化にも力を入れています。都内のイベントでも、札幌大球の手配などを協力しました。

「札幌大球」オーナー制度の詳細はこちら

都内のイベントでは、境さんが料理とともに、どの部位を使ったかも説明していました。「みずみずしく、生でも、煮ても焼いても美味しい。他の食材とも合うので、色々な料理を提案していきたいです」。日原さんは「東京に限らず色々な地域で知ってもらうことで、札幌での盛り上がりにもつながれば」と話します。

伝統野菜をただ復活させるだけではなく、現代の食生活にどうしたら受け入れてもらえるかまで考え続ける。見た目だけではなく、志も大きな札幌大球でした。

「外葉は炒め物、中心は千切りにあう」など、実物を示しながら札幌大球の食べ方を伝えるスープソムリエの境珠美さん
「外葉は炒め物、中心は千切りにあう」など、実物を示しながら札幌大球の食べ方を伝えるスープソムリエの境珠美さん

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