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手押し一輪車がスイスイ動く!特許取らずに「裏技」公開した教授

この裏技を使うだけで溝にはまった一輪車を脱出させるのも劇的に楽に……
この裏技を使うだけで溝にはまった一輪車を脱出させるのも劇的に楽に…… 出典: 岩手大農学部

台風や大雨で、各地で多くの被害があり、その片付けに追われる被災地。少しでも負担を軽くしてほしい――。そんな思いで、農研機構・東北農業研究センターと岩手の大学が、復興作業でよく使う手押しの一輪車の「楽押し」裏技を考案しました。ちょっとした工夫で「元気1.8倍になる」という裏技。「みんなでやったほうがいい」とあえて特許を取らずHPで公開したという教授に「裏技」に込めた思いを聞きました。

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裏技で農場作業をした農学部3年高橋極さんも「あれ、軽い」
裏技で農場作業をした農学部3年高橋極さんも「あれ、軽い」
ちょっとした工夫で作業が楽になる、という「裏技」をHPにアップしたのは岩手大農学部の寒冷フィールドサイエンス教育研究センター。その名も「一輪車を使う復興作業に 楽押しで元気1.8倍プロジェクト」です。

土砂やごみなどを乗せて運ぶ手押し一輪車は、泥や障害物で取っ手を押すのが重くなり、立ち往生したり、倒れることも。こんな負担を少しでも軽くできると言います。10年ほど前から農作業で実践しているという、同大学教授に話を聞きました。

方法は簡単。一輪車の取っ手を、ガムテープや丈夫なベルトなどの帯状のもので結び、ガムテープなどでしっかり固定するだけ。その帯にももや腰を押し当てて体で押すと、手押し以上の力が加わると言います。

取っ手にベルトをガムテープでしっかり固定するだけ
取っ手にベルトをガムテープでしっかり固定するだけ

どれくらい「楽」なのか、教授は実験しています。溝にはまった一輪車が、最大何キロの土囊(のう)を載せたまま脱出できるかを試します。6人が脱出できた重さの平均は、普通の一輪車だと50キロでしたが、「楽押し」だと88キロ。およそ1.8倍の重さをクリアできたというわけで、「元気1.8倍」と名付けたそうです。

ちなみに、タオルを使い、両端を手で持って押すだけでも1.8倍とはいかなくても、効果があるそうです。

タオルを使うだけでも、少し楽になるかも
タオルを使うだけでも、少し楽になるかも

最近、農場で作業するようになったという、農学部3年高橋極(きわむ)さん(21)に試しに押してもらいました。「あれ、軽い。全然違いますね」。農学部4年の川村奈央さん(22)は「土を運ぶのにいつもその方法でやってますよ」

記者も試しにやってみました。トライしたのは農場の、土に一輪車がめり込む悪路。確かに軽い。ただ、足の長いスマートな学生が、腰やももに帯を押しつけて運んでいたのに対して、記者は腹に帯が食い込みました。

記者はお腹にベルトが食い込みました・・・
記者はお腹にベルトが食い込みました・・・

「スノーダンプ」と呼ばれる大きなちりとりのような雪かき道具の取ってが、腰で押せるようになっていることから、教授の一人が思いついたこの裏技。

その教授は、特許を取って製品化することも考えたそうですが、「みんなでやったほうがいいと思って申請しなかった」と言います。

これからも被災地での片付け作業は続きます。「実践している人もいると思いますが、もっと広めて、被災した方の負担は少しでも軽くして、力に自信がない人も、ボランティアで参加してもらえるようになれば」と話しています。

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