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空前のサウナブーム「第一世代」の思い 「汗かく」より大事なこと

サウナと自然を満喫できるサウナフェスの裏には「世代交代」がありました
サウナと自然を満喫できるサウナフェスの裏には「世代交代」がありました

目次

長野県・小海町の松原湖畔にあるフィンランドヴィレッジ。自然とサウナを堪能できるこの場所で、日本最大級のサウナイベント「SAUNA FES JAPAN 2019」が9月21日~23日に開催されました。多種多様なサウナ、目の前に広がる大自然、クールダウンに最適な湖、サウナーのための細やかな配慮、美味しいサウナ飯。サウナを楽しむための環境がととのっていて、心ゆくまでサウナを堪能できる3日間。まさに「日本最大級」のサウナイベントと言えます。今回のフェス、もう一つの柱は、新旧世代の融合とバトンタッチでした。

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「ならば祭りにしてしまおう!」

「レジェンドサウナー」と呼ばれる、サウナのよさを伝えた「第一世代」の土台に、自分たちの楽しみ方を加えていった「第二世代」。そんな「第一世代」によって始まったフェスを、今年、「第二世代」のメンバーが引き継ぎました。

サウナの新しい潮流に、「第一世代」は何を思うのか? サウナの楽しみ方を世に伝えてくれたサウナ大使・タナカカツキさんに話を聞きました。

サウナ大使ことマンガ家・タナカカツキさん。サウナーのバイブル「サ道」は今年TVドラマになりました。
サウナ大使ことマンガ家・タナカカツキさん。サウナーのバイブル「サ道」は今年TVドラマになりました。

――サウナフェスは今年で4回目とのことですが、以前はどのような感じだったのでしょうか?

実は5年前に「0回目」というのがありました。身内やサウナのスペシャリストを呼んで50人くらいで試してみたんです。オフィシャルなイベントとしては過去に3回開催しました。

第1回目から応募は殺到していました。全国のサウナ猛者たちが聞きつけて、、、ちょうどマンガ「サ道」が出た頃ですね。そんな感じで昨年までは毎年、応募を開始すると一瞬で枠が埋まってしまっていました。

フィンランドスタイル、フィンランドサウナを謳っているイベントなので、本来であればリラックスできるような、静かで落ち着いた雰囲気を目指してはいたのですが、こんな状態ではそれは難しいかな、と。ならば祭りにしてしまおう!と考えました。どんどん若い人や女性の参加者も増えてきて「フェス」っぽい雰囲気になりました。


――そもそもこのサウナフェスのメインテーマは何だったのですか?

「本物のサウナを体験していただきたい」ということでした。我々が普段経験しているサウナは都市型サウナじゃないですか。当然のように水風呂が付いているような。あれって世界的に見るとかなり特殊なものです。いわば変化球の効いたサウナの楽しみ方をしている。

そんな中、本当のサウナの楽しみ方を知って欲しいと思ったんです。湖に飛び込めるのがここ小海町・フィンランドヴィレッジの魅力ですし。

会場には貴重品ロッカーも完備。
会場には貴重品ロッカーも完備。

次世代にパスしたサウナ大使

――今年は会期も延長され、参加できる人数が増えましたね

今までの状況を見ていたのでイベントを大きくしなければ、と考えていました。参加できない人の方が圧倒的に多いので、逆にサウナーたちにストレスをかけてしまっている。

来年もイベント自体は大きくなっていくのだと思いますが、この場所自体は敷地も限界です。会場の変更や、様々な場所でのサウナフェス開催、例えば関西版サウナフェスのようなもの新たに開催するという案もアリだと思います。


――運営を秋山さんたちに引き継いだとのことですが、どのような思いがあったのですか?

ずっと運営はFSC(フィンランドサウナクラブ「フィンランドの伝統的サウナ文化を継承しサウナの本質的価値を追求する」ことを目的としたサウナ団体)がやっていましたが、私たちは運営のプロではないのでノウハウがありませんでした。

「ロッカーどうする?」とか「飲み物の協賛どう取る?」とか……。ですから、いつか運営に興味ある人に出会ったらその人にやってもらうしかない、と言っていたんです。

そんな中で出会ったのがTTNEだったんです。ただのサウナファンではなく、それを飛び越えて自分たちでサウナを作ったり、プロデュースしている人たちが現れたので、ならばその人たちに任せよう、と考えました。

荷物を預けられるようにクロークも用意されていました。
荷物を預けられるようにクロークも用意されていました。

「もう無茶苦茶にしてくれ」

――引き継ぐ時、何かお願いしたことはありましたか?

気をつけたのは「過去にとらわれないで欲しい」ということでした。私たちも素人なりに工夫してやってきましたが、全てがテスト・実験でした。現状、サウナの楽しみ方は多種多様で、正解が無いような状態です。

最初は「フィンランドサウナを楽しむ」ということを掲げてスタートしたこのイベントですが、回を重ねるごとにどんどん変わってきました。ですので、自分たちがピンと来るやり方で、楽しめる方法で、私たちに気を使わないで実験してくれとお願いしました。

「もう無茶苦茶にしてくれ」と言ってパスしたんです。

なので、今回のサウナフェスについては、私はほぼ何も知らないでこの場所にいます。今まではスケッチ描いたりしてこんなイメージを、とやっていましたが、今回は何もコントロールしていません。

参加者は自由にサウナを楽しむことができます
参加者は自由にサウナを楽しむことができます

「ハッピー」を求めに来ている

――サウナ「第二世代」を見ていてどのように感じていまか?

本来では私よりさらに上の世代もいますが、このイベント、この場に関しては私たちが「第一世代」ですね。「第二世代」の人たちは、おそらく「お互いを知ってはいるけれど面識はない」状態だったんだとおもうんです。それがなんか居心地が悪かったのかもしれません。ならばまず会ってしまうのが良いと思いました。ケンカになる前に(笑)。

今の若い人たちは、昔のような「サウナは我慢が当然」みたいな状態ではないのが良いですよね。フェス参加者のみなさんは最初から「ハッピー」を求めに来ている。「汗をかくぞ!」みたいな感じではなく、気持ちよくなるために来ています。それが昔と全然違いますね。


――参加者の皆さん、特に説明がなくても積極的にサウナを楽しんでいますね

ですね。ロウリュのやり方も知ってますしね。「ネイティブ」サウナーたちが来てますよね。最初にサウナ祭りを始めた時はそういったサウナに関する知識とかお作法をすごく説明していたんです。

普通だと「セルフロウリュ」とか意味わからないじゃないですか。でも、今では説明不要で好き勝手にサウナを楽しんでいる。それがすごいと思います。

ロウリュ

熱くなったサウナストーンに水をかけ蒸気を発生させること。体感温度が上がり、発汗が促進される。

 

本当に日本は「サウナ王国」

――進化しているサウナフェス、参加者にも変化があるのでしょうか?

年齢層が全然変わりましたね。回を増すごとに若くなっています。第1回目はやはりその道のプロフェッショナルたちが集まっていました。中心だったのは40〜50代。

それが今では20〜30代が中心になっています。一番変わったのは女性の参加者。毎年どんどん増えていきました。


――今後、サウナフェスがどのようなイベントになって欲しいですか?

今回、規模が大きくなったとはいえ、3600人の応募で参加できたのは600人。これは大変忍びないと思っています。せっかく長野までサウナを楽しむために来てくれようとしているような、ポテンシャルのある人たちを断っているなんて。

キャパを増やすか、各所で開催するか。もちろん安全に開催することが大前提ですが、日本各地で運営できる人たちにやってもらえれば良いな、と。町の再生とか、いろいろな可能性があると思います。

あとはやはり川。日本は川が良いので、もっと使っていきたいですね。水が良いという点において、本当に日本は「サウナ王国」を狙えるポテンシャルがあると思います。


――サウナ「第三世代」おそらく今20代の人々かと思いますが、どんな人たちだと思いますか?

次の世代の人たちは、もっと色々な「合体技」を身につけてくると思うんです。最初、私たちは「自然とサウナ」をちゃんと掛け合わせたかったのですが、今後はテクノロジーとサウナとか……色々と組み合わせていくのではないかと思います。楽しみですね。

大使と師匠、サウナへの愛が溢れていました。
大使と師匠、サウナへの愛が溢れていました。


     ◇

「本物のサウナを知って欲しい」とその楽しみ方を世に広めたサウナ「第一世代」。その思いを受け継いで、様々な形でサウナの楽しさを進化させているサウナ「第二世代」。彼らの思いがたっぷり詰まった「SAUNA FES JAPAN 2019」の会場には、サウナを中心としながらも、自由に自分たちの「ハッピー」を求めるサウナーたちの姿がありました。

様々な世代のサウナーが心ゆくまでサウナを堪能出来るこのイベント。今後どのような形になって行くのかとても楽しみです。

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