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サウナ「第一世代」から「第二世代」へ 我慢だけじゃない楽しみ方
長野県・小海町の松原湖畔で日本最大級のサウナイベント「SAUNA FES JAPAN 2019」が開催されました。昨年は3月の開催でしたが、今年は9月21日~23日に会期が変更され、開催期間も3日間に延長。1日に200人、計600人のサウナー(サウナを愛し、楽しむ人)たちが参加しました。会場で目の当たりにしたのは、日本にサウナのよさを広めた「第一世代」と、サウナの楽しみ方を開拓した「第二世代」の融合。そして、サウナ以外の要素とのマッシュアップを試みる「第三世代」の兆しでした。
今年からチケット購入は抽選制に。過去最大となる計3600人の応募があり、倍率は約6倍にもなりました。バスツアー企画も用意されており、バスが到着すると多くのサウナーたちが受付のために列を作っていました。
会場に用意されたサウナはなんと計19個。フィンランドヴィレッジに備え付けのサウナに加え、様々な大きさのテントサウナや、車を改造した移動式サウナもあります。どのサウナも入り放題。自分の好きなタイミングで楽しむことができます。
「大きな水風呂」こと湖にも自由に入れますが、それとは別に水風呂もしっかり用意されていました。
会場ではスポーツドリングやコーラが飲み放題になっていました。大量に汗をかくサウナでは水分補給が不可欠。サウナに入った時、サウナーが欲しいものがしっかりと用意されています。
各所には休憩スペースを用意。サウナで「ととのう」ためには欠かせない休憩。高原の心地よい風を堪能しながら、じっくりクールダウンできる。そして、食欲をそそるサウナ飯もゆっくりと楽しむことができます。
ちなみに、「ととのう」とは、サウナで味わえる爽快感を表現した言葉で、爽快感を得ることを指す場合もあります。「今日もサウナでととのった」などと使われます。
多種多様なサウナ、目の前に広がる大自然、クールダウンに最適な湖、サウナ-のための細やかな配慮、美味しいサウナ飯。サウナを楽しむため環境の中、心ゆくまでサウナを堪能できる3日間は、まさに「日本最大級」のサウナイベントと言えます。
進化を遂げた「SAUNA FES JAPAN 2019」のプロデューサーをつとめたのが、「サウナ師匠」こと秋山大輔さんです。
今回のフェスは新旧のサウナ好きが一緒になる場でもありました。
秋山さんがサウナ「第一世代」としてあげるのが、マンガ家でサウナーのバイブル『サ道』の作者であるタナカカツキさんなど、古くからのサウナファンです。
「カツキさんは、サウナ大使としてサウナの素晴らしさを発信されてきました。そんな、カツキさんを始めとする『レジェンドサウナー』たちはいわばサウナ『第一世代』。そう考えると、僕らは『第二世代』だと思うんです」
「『第二世代』には様々な形でサウナに関わる活動をしている人たちがいますが、一緒にイベントをやる機会は無かったので、このタイミングで一つになれたらいいな、と思いました」
秋山さんはさらに下の世代、サウナ「第三世代」が盛り上がることが必要だと話します。
「今後はサウナ『第三世代』が重要です。僕が今40歳。タナカカツキさんたちの世代が50代。今では30代、20代がサウナを楽しんでいます。この『第三世代』がぐっと育つと、サウナが一瞬のムーブメントで終わらず、カルチャーとして育っていくと思います。今は日本におけるサウナの転換期に来ているのだと思います」
サウナ「第一世代」のサウナ大使・タナカカツキさんは、サウナフェスの来場者について「今の若い人たちは、昔のような『サウナは我慢が当然』みたいな状態ではないのが良いですよね」と話します。
「参加者のみなさんは最初から『ハッピー』を求めに来ている。それが昔と全然違いますね」
大使はそんな若いサウナーたち、サウナ「第三世代」がさらにサウナの楽しみ方を進化させることを期待します。
「次の世代の人たちは、もっと色々な『合体技』を身につけてくると思うんです。テクノロジーとサウナとか……色々と組み合わせていくのではないかと思います。楽しみですね」
サウナの楽しみ方を世に広めた「第一世代」。その思いを受け継いで、様々な形でサウナの楽しさを進化させている「第二世代」。彼らの思いがたっぷり詰まった「SAUNA FES JAPAN 2019」の会場には、サウナを中心としながらも、自由に自分たちの「ハッピー」を求めるサウナーたちの姿がありました。
サウナの楽しみ方を知った上で、自分たちなりの新しい楽しみ方を模索する。そこには、すでにサウナの「マッシュアップ」を実践するサウナ「第三世代」が生まれているのを実感しました。
サウナの入り方が広く紹介され、サウナを楽しむ人が増加。それに呼応するかのようにサウナの楽しみ方も多種多様に進化しています。
サウナ初心者でもきっと自分に合った楽しみ方を見つけることができるでしょう。サウナフェスで老若男女、様々なサウナ-の「ハッピー」な姿を見ると、改めて日本でサウナが盛り上がっていること、そして確実に一つの文化として定着しつつあることを感じました。
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