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電車が通ると絵の中の少女が……どうなってる?「ふしぎ動画」が話題

電車が通過すると2次元の少女の髪がなびく「すこしふしぎ動画」=つのだふむさん提供
電車が通過すると2次元の少女の髪がなびく「すこしふしぎ動画」=つのだふむさん提供

目次

ノートに描かれている少女の髪が電車が通るとなびいたり、2次元の100円玉を取り出したり……。そんな「すこしふしぎ動画」をツイッターに投稿している若手マンガ家がいます。そのセンスは、トリックアートとして、テレビ番組にも取り上げられるほど。「前職のスキルと組み合わせて、僕ならではの作品ができました」。どのように漫画ができるのか、創作の経緯を聞きました。

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起こるはずのないことが起きる

マンガ家は、「コルクインディーズ」に所属するつのだふむさん@tsunoda_fummです。『ドラゴン桜』などを担当した編集者・佐渡島庸平さんのアドバイスを受けながら、今秋に縦スクロールでの新作マンガを発表する予定です。

つのださんが「すこしふしぎ動画」を始めたのは今年の6月。「新作の準備などで、SNSでの発表がおろそかになっていたので、ラフに作品を届けたいと思い始めました」

コンセプトは「イラストが不思議に動き出したり、起こるはずのないことが起きたりしている瞬間」。初めはイラスト遊びのつもりが、「色々できそうだ」と発想を広げ、注目を集めています。

「絵に描いた100円を一瞬だけ2次元に侵入して取りに行く」と題した投稿では、100円玉が2次元から3次元へと滑らかに変化。8千近くの「いいね」がつきました。

一言でいうなら「特撮」

実際の作品はどのようにできるのでしょうか。仕掛けについて、つのださんは「一言でいうなら『特撮』です」。色々な場面をスマホで撮影し、その素材を編集して動画が完成します。

例えば、少女の後ろを電車が横切る動画では、まず同じ場所で少女の絵と電車を別々に撮ります。その後、動画編集アプリを使って、素材をつなぎ合わせたり、加工したりしていきます。

「電車が来るまでノートとカメラを構え続けたので、地味に大変でした。また、ノートに水を垂らす動画も多いので、僕のノートはすごいしわしわです(笑)」

「すこしふしぎ動画」の制作風景=つのだふむさん提供
「すこしふしぎ動画」の制作風景=つのだふむさん提供

アナログとデジタルの掛け算

アナログな撮影とデジタルでの編集。つのださんは、二つのスキルを掛け合わせて、不思議なニュアンスの作品を作り出しています。

この掛け算については、「マンガ家を志す前の仕事が生きている」とつのださん。

「コルク所属前の4年間は、仲間と立ち上げた映像制作会社で働いていました。なので、映像の基本的なスキルがあります。大したスキルではないですが、それをマンガ業界にスライドさせると、思ったよりいい反応をしてもらえることに気づきました」

「一連の作品にはa-haのMVのオマージュがあり、映像業界にとって特別なスキルではありません。いまはマンガ家である僕が、アイデアを組み合わせることで、色んな人に喜んでもらえたのかなと思います」

つのださんの作品はTBS系テレビの『王様のブランチ』にも紹介されました。「少し複雑なんですけど、これまでアップしていたマンガより反応がいいことも結構あって。ブランチでは『トリックアート』という紹介で、『トリックアートだったんだ』と初めて知りました」

「縦スクロールマンガ界の手塚治虫」目指す

ブランチの放送後、つのださんのアカウントを訪れる人は増え、コメントもたくさん寄せられました。「存在を知ってもらうという点では、成功だったと思います」

ただ、「すこしふしぎな動画」は話題になってもあくまで、「副業」と位置づけています。「本業」では、フルカラー、縦スクロールのウェブ連載を11月に始める予定です。

「タイトルは仮で『りさこのルール』。偉人の言動を真似ばかりして、自分を持たない男『園田』は、絶望的な出来事に見舞われたある夜、圧倒的に自分の世界を持つ『りさこ』に出会う。その日から、園田は自分のルールを作って生きるべく奮闘するというあらすじです」

「今回の動画を通じて知ってもらった人には、『ああ、本来はこういうものを作るんだ』と思ってもらえたらいいなと思います」

佐渡島さんはつのださんを、「(担当した)『宇宙兄弟』の小山宙哉さんや『君たちはどう生きるか』の羽賀翔一さんと出会った時と同じくらいの衝撃を受けた」と評しています。創作の様子をnoteやSNSで公開しながら、ファンも一緒にその過程が楽しめるようにしているつのださん。最後に、意気込みを語りました。

「『縦スクロールマンガ界の手塚治虫』は世界中でまだ誕生していないと思うので、僕ががその王冠をまず手中におさめたい!!と思ってます。すこしふしぎ動画よりも、ずっと期待して待っていてもらえたら嬉しいです!!」

つのだふむさんのこれまでの作品はこちら

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